1663. フィナーレ感想 - 魔法律事務所編

一話完結型の依頼解決モノが連続する構成。初期の特徴として、物語は『依頼者の心情』に重きを置いている。魔法律・使者・悪霊の設定紹介は必要に応じて小出しするに留まる。ムヒョロジ序盤では、ファンタジー設定は事件解決の補助的な要素として利用しているにすぎない。

設定は空想面にありながら、メインテーマはあくまで現実面(人物の心情変化)を描くギャップが面白い。そうした作風が、魔法律ありきのしがらみから開放された構成を打てている。いわゆる『設定主導の説明臭いマンガ』を脱するに成功できているという。結果、起承転結が小気味よく運んでいるのも好印象を残す。

この頃の六氷と草野はキャラクタが定まっていない。六氷が明るくお喋りして振舞ったり、草野が男らしい態度や言葉遣いを見せたり。これに限らず、西先生の描くキャラクタって、しばらく話数が経過しないと個性が定まらない。この辺りの特徴から、設定の作り込みが浅いという弱点が覗き見える。


思い出のワンシーン
一回目のスノウムレイディオで話題にしたこの場面。自分の中でムヒョロジがブレイクしたのは、この回がきっかけでした。男の草野が女々しくぷんすかしてる「ギャップ」に笑ってしまい、すっかり引き込まれた一幕です。

【コミックス第1巻 - 第4条『プレゼント』】
草野「ムヒョのバカ…!! バカバカバカ」
(どす どす どす どす)←椅子に座って地団駄

草野→六氷の一方通行な片思いというか、おせっかいなお母さんというか。そうした空回りっぷりがとても愉快でした。まったく男らしい要素が見当たらない乙女っぷりをエンジン全開で噴かしたのは、この回が初めてだったと感じます。