1670. フィナーレ感想 - トーマス編

トーマスと五嶺。トーマスと六氷。トーマスとペイジ。それぞれの因縁を一つ解き明かす度、トーマスは復活し、あるいはパワーアップする。手品を変えて激化する戦い。連載時には、トーマス戦が述べ二ヶ月半続いた。読者にとっても文字通りの死闘と言えた。当方はこの頃から「ムヒョロジについていけなくなった」「なんの話なのか分からない」なんて感想を耳にするようになった。

敗因は、禁魔法律家トーマスに、他キャラとの因縁を詰め込みすぎた所為だろう。トーマスに因縁を集中させる必要はあったのか。特にペイジさんとの因縁は、彼の評価を余計に下げる無用な演出だったとつくづく思う。箱舟メンバーは他にも沢山いたのだから、もっと分散してもよかったのでは。

因縁によるイベントの他、物語の流れ上から発生する見所も多数あった。五嶺と恵比寿の和解。成長した草野の能力をお披露目。キリコの意外な活躍。煉の追加で二段強化できる使者の設定。トドメの冥王の召喚。五嶺グループと六氷事務所の融和。そして、六氷と草野の間に完成されたパートナーシップ。

これだけ見所を出した結果、トーマス一人の断罪というのは、よっぽど効率が悪い。まさか他6人の箱舟メンバーも、そして円やティキとの戦いでも、このボリューム感で戦っていくのか。読者はそんな予想が脳裏に巡り、軽く絶望感に浸れる。

内容だけは充実しているので、展開効率との歯車が合えば十分挽回されるハズなんだけども。


思い出のワンシーン
この戦いにおいては、いつになく六氷が草野に甘いんですよ。甘いといっても、十分ツンツンなんですけども。特に下の場面では、胸が熱くなりました。

【コミックス8巻 - 第68条『在り処』】
六氷「オメェなら1分もつ 禁魔法律書をぶっ壊してこい ペイジのしごきで鍛えた根性オレにも見せやがれ……!!

六氷がこれほど素直に、草野の能力を頼る場面は、もしかしたら他には最終回までなかったかもしれません。