1671. フィナーレ感想 - パンジャ編

改めて読み直すと、ミック初登場時(第72条)から『魔の根』がキチンと表現されていた。またパンジャも、箱舟のおまけ的存在で描かれている。西義之先生の設定作りは、決してその場凌ぎのものではなく、最低でも一章分の設定は作り込んでいる印象を受けた。

ただ、『吼千峡』や『禁書』の大風呂敷がオジャンになった例もある。察するに、当時はそこまで連載を継続させてもらえる保証が無かったから、後で軌道修正できるよう、曖昧に描いておいたのかな。あるいはその逆、もっと尺をもらえるはずだった予定が、大人の事情で期間の短縮を求められたとか。

パンジャ戦は、バトル一辺倒の展開を回避されたのが嬉しい。『あやつり』の正体を突き止めるミステリ展開。六氷が刺される衝撃の演出と、騙し合い。そして手短に終わる魔法律バトル。それらが程よいバランスで配合されている。お話自体もシンプルなので、今編は高いモチベーションを維持して読めた。

パンジャの過去編も、やけに丁寧に描かれたのが印象に残る。彼女の不幸な生い立ちは強引だし、生前もストーカー行為を働いた事は許し難く、ティキが目を付けたのも過分に偶然すぎる。そうでありながら、草野たちはパンジャを簡単に許し、その成仏を静かに看取ったのだ。その光景はキレイごとなんだけど優しい気持ちになれて、パンジャを許せる自分がいた。

思い出のワンシーン
強烈なネタを投下してくださった、西義之神に敬礼ーっ! パンジャって多分『ヤンデレ』に分類されると思うんですけど、猟奇サイドに倒れたときの言動が抜群に可愛らしくて(※他人事だから)、連載時はずっと彼女に注目していました。

【コミックス9巻】
「草野様の悪口を言うな!!!(第72条)
「自慢の面を噛み砕いてやろうか……!!(第72条)
「手ぇにぎっちゃった……… 洗えないわ(第73条)
「ロージー君に近づくな コノブタ女め…!!!」(第73条)
「私の白馬の王子様…!!」(第74条)
「ずっとロージー君を独占しやがってこのチビめェー!!!」(第74条)
「あのオカッパ女とどっかに隠れたザコをころせばついに結ば…」
「おのぉ れぇええ おぉのれぇぇ ぇぇぇ 死 ね」
「このあと私はロージー君と結婚して!! 幸せな家庭を築いて!!」

コミックス9巻の帯び『恋する殺人者』という煽りが秀逸です。これ考えたの誰なのかな?