1664. フィナーレ感想 - 魔法律協会編

初の長編、舞台は魔法律協会。キュートでファンタジックな『異界景観の描写』は、西義之先生の絶対の強み。今編においては、先生の才覚をジャンプ紙面で堂々見せつけた。当時のジャンプでは他類ないセンスを表現できていたし、ここで一気にファンを増加させたように思う。

今編をきっかけにして、六氷と草野の深堀が本格化する。キーパーソンの洋一、菜々、円を交え、本作が目指す着地点(エンチューとの決着)を改めて決定付けた。長編としながら、実はコミックス1巻分に満たない「中編」程度の内容。このボリュームで様々な重大テーマをスマートに描き切っている。

  • 六氷と円の過去を語った
  • 草野の乙女挫折的展開を見せた(※以後、定番のお家芸になる)
  • 円の同時多発テロ攻撃に『魔列車』で逆転勝利した
  • 草野が秘めたる才能を発揮した
  • 円との本格的な戦いを前に、六氷と草野がパートナーシップを強めた

とりわけ今編の構成力は、全話通して見直してもハイレベル。その辺りも、今編で作品人気を高めた理由にあたるのでは。

思い出のワンシーン
魔法律協会編は少女漫画的展開が盛りだくさんで、見所を一つに絞るのがもったいないくらいです。その中でも、一際に威光を放っているのは、本作でも屈指の名シーンのこちら。

すべてにおいて問題作

【コミックス第2巻 - 第14条『となり』】
洋一「ムヒョはオマエを選んだ」
草野「ムヒョオ…!!」
六氷「あ?」
草野「そんな事…言われなく…たって… ついていくもん…

はい、皆さん声を揃えて、せーの! 「 気 が 狂 っ と る !」

当時の感想で、このページだけ読むと誤解しちゃうと記述していました。しかしながら、本作が完結した後、改めて評価してみると、誤解じゃなくてそれは真っ当な感想だったと再認識させられました。何度見てもジーンとくるし、そして笑えちゃうんだよなあ。