1803. 週刊少年ジャンプ19号

5代目となる「週刊少年ジャンプ感想更新チェック」の wjchk 様が開設されました。ジャンプ感想界隈は脈々と受け継がれてくのですね。こうして時代をつなぐことのも大切ですが、過去を綴って記録することも同じくらい大切です。ところで、前世代のジャンプ感想者有志がかつて集った奇跡のコラボレート同人誌『初』を読めば歴史の一片を感じ取ってていただけると思うんですテマ。

今週のWJアンケートハガキ

「10ポイント配点投票方式」の結果はこちら。


作品 id:SnowSwallow id:iolite 合算
★ 恋するエジソン 2 2 4
SKET DANCE 2 2 4
ワールドトリガー 1 1 2
  めだかボックス 2 0 2
  新米婦警キルコさん 1 0 1
  黒子のバスケ 1 0 1
  BLEACH 1 0 1
  暗殺教室 0 1 1
  ハイキュー!! 0 1 1
  食戟のソーマ 0 1 1
  ONE PIECE 0 1 1
  ニセコイ 0 1 1

『キルコ』『クロスマネジ』はものすごい勢いで死臭が漂う、今週のボッスン状態に。ここ最近のWJは読後の疲労感がパないです。あまりの充実ぶりに、あとから巻末を眺めて『トリコ』の休載を知る始末。恐ろしくパワフルな雑誌です。

以下、本号でアンケート票を投じた作品を感想します。

* 恋するエジソン(渡邉築) - 第17話「試験(暗記編)」 / 第18話「試験(カンニング編)」

今週の二話掲載は内容・時系列が繋がっていて、本来は分割の必要がないんですよね。あえて二分した理由は「二話掲載のがアンケが伸びる」と作家側も認識したのかも、と邪推。改めて感じますが、地続きの話が分離されてると、話の切り替わりで気持がリセットするんですよ。二話目をイチから楽しめるこの感じを「ガリ効果」と命名したいです。

ヒロインに座薬とは型破りな。今週も多数を引かせて少数を惹かせるマニアックさが光ってます。「エジソン像から流動食」も狂ってましたが、渡邉先生「ははっ、俺に付いてこられるかな!」感が心地よいです。でもこれ小学生女児を妊娠させた尾玉なみえ先生と同じ道辿ってるよ。

「歴史を固めて」「すべて流れ出た」とフレーズで言いくるめて説明を放棄してる投げやりさも大好き。「スピカが一晩中直腸で薬漬けしてた」と集約できる読後感がトチ狂ってます。性的な保健体育などを固めて座薬を打てば、この発明はクリムゾン入りするレベル。

スピカがノーパンだった理由は絵で再理解。秤とケンカしたら尻相撲の流れはお約束なのね。先週時点で気付ける余地があったとは、信者失格でした。

二本目は、試験開始と同時に発明してる二人の割り切り方が素敵。スピカから攻勢を仕掛けたのが意外。こゆのって主人公は普通、専守防衛に徹するんだけどな好感度的に。カンニングマシン」「早弁マシーン」とワンパターンな発想ですが、これこそ期待していた「スピカらしい発明」の表れなのかも。

* SKET DANCE篠原健太) - 第276話「大人はつらいよ」

「スケット団はもっとチュウさん周辺の飲食物にいいかげん警戒すべき!」をヒメコが代弁してくれました。突っ込んだからには、発明トラブルも今回がやり納めなのか。

今週は服を弄ってからの社二病あるある、ヒメコが翻弄され、ボッスンが老衰を迎え、若妻が老夫を見送るドラマティックなエンディングに到達。室内劇なのに見所が多すぎる。トラブルのスケールもデカイ。ワンアイデアでオチない。週刊連載の最中でこの筋を完成させてくる篠原先生は、どういうアタマの構造してんだろ...。

大人ボッスン&スイッチが腐女子好みの耽美さを纏い、奇妙なほど等身が伸びるネタ描写が、いちいちクスッときます。高校生の十年後を身体的に成長させることに、そもそも無理があったんだ。社会人数年目から「フィックス」「プライオリティ」「インシデント」「見える化」「脱属人化」とかが口について抜けなくなる症状、すごく共感できます! このあたりは、脱サラ作家・篠原先生ならではの切り口でした。

大人二人にやり込まれるヒメコが初々しくて、イラつきつつも最終的には丸め込まれてるのが可愛らしい。十年後のボッスンが完全にたらしなのは、悲しいというか、頼もしいというか。この夏は「遊真と藍にもてあそばれてトリオン顔(早口でトロ顔みたく言う!)になる修」の薄い本と、「大人ボッスン×小娘ヒメコ」の薄い本が厚くなりますな!(この言い回しはお気に入りに登録されています)

* ワールドトリガー葦原大介) - 第9話「木虎藍」

修を認めながらも、絶妙なバランス感覚で意地を張れている藍の性格が可愛らしいです。さすが、照れ屋で素直じゃない女子の描写に定評のある葦原先生だ。藍が修を見直した裏で、遊真も藍の評価を改めています。最弱で情弱の修だけど、他の誰かを正しく導ける個性を放っていて、主人公らしさが伝わります。ここまで9話、各人の内面を丁寧に描いてきたからこそのメッセージ力なのかも。

きっと今週、WJ感想界隈から「釘パンチじゃないんだから!」と総ツッコミを受けるであろう、遊真の七重。連載三年目には五十重(読みづらい!)に到達してそう。これって『強印』の威力じゃなく遊真の筋力が七倍なんでしょうか。一方の実力派エリート迅さん(19)は、イルガー数体を爆破させずに仕留めていて、遊真との実力差がどの程度か見物です。

前回もモヤッとしましたが、19歳は若すぎませんかね。剣心くらいの年齢かと思ってましたよ。30歳前後で自分を「実力派エリート」と語っちゃうからオヤジギャグぽくて許されるのに、19歳に言わせたら自信過剰の痛い子だよね。第一話の冒頭では迅も中高生だったと気づいてメガネくんがメガネくん呼ばわり!? ってなりました。

ボーダーは世界の最終防衛ラインを担う、いわば地球防衛隊ってイメージを抱いていました。これが『武装連金』の錬金戦団みたく、人の目を忍ぶ組織なら若者メインでも頷けます。けど、ボーダーは現代社会に融和して成立できる組織なのかな。

世界中に認知されたボーダーは、それこそ国内官民の利権争いや、各国の複雑な思惑に巻き込まれて、これを若者メインで駆け引きするにはあまりに非力で非現実と思うんです。同レベルの疑問ですが、トリオン体が警察・軍隊・レスキューに応用されていないのも不思議でたまりませんでした。

次回からボーダーの内情が語られる展開ですので、こうした疑念をスカッと晴らす説得材料を揃えて「本格派SF」の看板を発揮してほしいなと期待しています。トリオンは未成年にしか扱えないとか「だったら仕方ないよね!」的説明で逃げるのが有効そう。

* ジェダの通学路(岩本直輝)

アンケ以外からのプラスワン感想。

「人里離れた村で暮らす主人公がチョコボモドキに乗って街を目指す」という題材がHUNTER×HUNTER』の読み切りと丸被りです。『HUNTER』から毒気を抜いて尺を凝縮したらこうなるのか……。

21ページの短編で、こうも基本を押さえた起承転結を箱書きできるのは驚異的ですよ。個々の事象には無駄がなくて、「必要最小限の情報に絞り抜いた構成」に見えます。捻りはないけど教科書通りで、テーマやメッセージは直球で伝わります。岩本先生のメインターゲット(小中学生)を狙い撃ちした戦略的作品だと評価したいです。

個人的好みで言えば、『さくらん(仮)』の全体ふんわり→山場のインパクト重視(グラビア水着)、というトリッキーな作品のが好みです。でも、そゆのばっかだと読者の心根も歪んでいきますからね。企画全体のバランスを調整するような、こういう作品が一つは必要なんです。

あとオレがサンドデビルクラブなら、握り飯になんて目移りせずユリカルを食べてたね。鍋にしたい。


今週もWJ感想の一大お仕事を乗り切った……。愛娘さんが頻繁に寝返りを打ったり、「ママ」とか「イヤ」とか言うように。生後半年を過ぎてからその急成長たるやWJの主人公並です。ますます目が離せません。