1667. フィナーレ感想 - 五嶺編

今編は、『想い』と『自信』を備えて才能を発揮させた草野が、もう一回り成長するための序章となる。草野は依然として六氷への甘えや依存心が強い。六氷もそれが、草野の成長の枷だと悟っている。故に、冷たく振る舞う。六氷が菜々に口寄せを手解きした場面で、草野が「僕に何も教えてくれないんだろう…」と考えてしまう場面は、それが特に顕著に映る。故に、今編の最後でムヒョロジコンビは決別の結果を迎えた。

草野にその弱点を知らせるきっかけとして、赤川団地跡戦では「執行人と助手のパートナー性」に主題が置かれた。どちらが先に悪霊を退治するか? 探偵モノでよく見られる『早解き競争』をアレンジした発想は面白い。『神道針を悪用する恵比寿+奈々の結界を奪う五嶺』の演出も、物語を進行しながら新キャラの本性を紹介できており、効率性はまずまず。

それでもなお、展開のが遅さは否めない。六氷五嶺が直接戦わないので刺激が薄い点。特定の敵を倒せないまま人間劇が続いた点。全体として一つの事件に時間をかけすぎた点。そうした点が停滞感を孕んだ。加えて、この頃の五嶺と恵比寿は非人道的な行為が過ぎる。長期間に渡って不快感を抱き、結果として『勝負に負ける』とあっては、カタルシスもなくストレスが残留する。読後感はどうしても、暗くもたついた印象を抱かせた。


思い出のワンシーン
『ムヒョとロージーの魔法律探偵事務所』から思い出の一話をチョイスするなら、下記の回は確実に最終選考まで残ります。おそらく、男性キャラが一話中に20コマも泣いたマンガは、50年の歴史を持つ週刊少年ジャンプ始まって以来の快挙です! 泣き虫ホルダーの栄誉を欲しいままとしました。