1469. 先行感想 - ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 第70条 「判明」

さて、空気みたいなムヒョとロージーの魔法律相談事務所の先行感想です。とことん根に持ちます。

トーマス戦その後の状況整理。長期戦の後の息抜きとしても程良い分量。長期戦の所為で目的意識が曖昧になっていましたが、悪い空気の入れ換えにもなりました。一話にして状況が目まぐるしく急展開。初期のムヒョロジを感じさせ、良い傾向に思います。


箱船と協会の行く末
恐らく読者的には、「箱船」も「腐敗した協会」も、同一に叩くべき悪の巣窟と感じるでしょう。現状、箱船が過激に活動するおかげで、円との闘争劇を主軸に物語を進めていられる。今は協会が、箱船の日陰に潜んでいるのだけなんです。やがてはペイジ一派(というか六氷一派)と協会との対立が、本格化するハズです。

ところで、協会は腐敗してると言えど、組織の全てが悪ではない。善人の魔法律家も(小規模かもしれないけど)存在する。彼らは「腐敗した協会」を多少なりに察しており、この協会を変えたいと考えています。

一方、箱船の中には、「腐敗した協会」に恨みを抱く者と、根っからの悪人・罪人の二種が存在する。理緒先生は前者。トーマスは後者。円は恐らく両要素を兼ねている。箱船の中でも「腐敗した協会」に恨む者が、善なる魔法律家と結束する可能性は、あり得るでしょう。

真の敵が協会へとすり替わる事で、円や理緒が和解するキッカケにもなります。協会の諸悪を叩く事は、協会の善行化も促進されます。現在の二大問題、箱船の悪事と、協会腐敗の行方が、同時に消化される展開に。おそらく本作のシナリオは、このようなプロットが描かれているのではないでしょうか。


ペイジと六氷
毎度思うが、六氷とペイジが同時に登場すると、相対的にペイジが頼りなく見える。師弟関係を超越し、もはや人間性の問題か。魔法律検定の一件が、こうまで心理的に尾を引くとは思いませんでした。挽回の機会を祈りつつ、今は捜査本部長の座で静かに指示する立場のみで居て欲しい気分。

六氷も今のペイジを、本心でどう思ってるか気になる。そのうちお説教を垂れそうな顔つきで接してるからね。ただ、ペイジも魔法律協会の中では、比較的まともな意見を唱える側の人間なんだ。そんなペイジの手元で育ったから、六氷は協会の腐敗に侵されず済んだのかもしれない。その点の功績は、称えてやりたいと思う。


五嶺と恵比寿
恵比寿のために千羽鶴を折る五嶺五嶺のために致命傷を押して元気付ける恵比寿。男同士の友情が再構築された…と呼ぶにはなんだか色々と女々しい気もする、まるで喧嘩した女の子同士が和解したような、義之先生らしい仲直りを見せて頂きました。

特に五嶺ファンの読者は男女問わず、「ごちそうさまでした」と口にしたくなるのでは? 「五嶺と恵比寿が仲直りした!」という素直な説明だけでは表現しきれない何かが、二人の間に芽生えてました…。


理緒と優
法律書のヒントを欲する優と、禁書を解す助手を欲する理緒。互いの存在を欠いたまま、窮地を自力で乗り越えるべく精一杯に振る舞う姿が切ないね。この二人の頑張りを見るたび、最終的に理緒は救われない死亡フラグめいた薄幸エンドをひしひしと感じてしまう。義之先生ならやりかねない。

あの人は、不幸を描く事に掛けては生粋のドSだ。


円と草野
ムヒョロジファンが長らく期待して止まなかった夢の対戦カード。「草野次郎VS円宙継」の戦いが、ついに封切りとなりました。勝者に与えられる商品はもちろん、六氷透ゥゥ! というわけで、円も本格的に草野を嫉妬してくれたため、純然たる三角関係の泥沼デスマッチへ展開する事になりそうです。

一次成長を遂げた直後の草野にターゲットが向くというのも、なんだかバトルマンガのお約束展開で熱いんだか残念なんだか。このマンガ、もうサスペンスホラーモノに戻ったりしないのね。直球で魔法律バトルを突き進むのね…。ただ、円「ムヒョの隣にぴったり くっついてるあのコ…」の一言で、少年誌的バトルってか、昼ドラどろどろ愛憎劇になりそうな気配が!


車の中で
僅か4ページの車の中で、ここぞとばかりに涙する草野、総計六コマ。今日も涙ポイントを稼ぎまくり。心なしか左近さんまで乙女化伝染。短いやり取りの中で各人の性分に触れて、キャラ掘り下げに余念がないのもいつもながらの手口。

  • 六氷の性分は寝意地
  • 草野の性分は感涙
  • 洋一の性分は乳揉み(※そのうち犯罪に手を染め実刑で裁かれそう)
  • 七菜の性分は首を突っ込みたがり?
  • キリコの性分はおせっかい?


宗教法人・魔法律協会!
六氷達に感化され、魔法律は本来「救いのためにある」事を教わる左近や五嶺、恵比寿ら。次は必ずや、心強い味方として登場する事でしょう。

同時に、魔法律協会や五嶺グループがどれほど歪んだ道徳の上に興った組織か、思い知らされる。なにしろ魔法律協会って、特にライバル組織もない独裁企業状態だろう。欲と利権に歪んで当然かもな。それから、MLSにも問題はあるよね。本来は義務教育を受けるべき期間に、(多分)魔法律だけ勉強するから、次世代を担う子供達の性格も自ずと歪みそう。教育を施す側が既に歪んでるもの。

…アレ? 魔法律協会って実は巨大な宗教法人の組織じゃね!?


五嶺グループ
腐敗した協会とは、また違った形で歪んでいた五嶺グループ。赤川団地の戦いで「馬鹿な女だ。娘が死んだら、また産めばいいものを」とまで言わしめた五嶺の過去に、どれほどの惨劇があったのか? その辺りを丁寧に明かして頂けないと、なかなか五嶺への同情心が芽生えません。

例え38億円の負債を背負っても、金銭トラブルと倫理は別次元のお話です。おそらく描かれるであろう過去編も踏まえ、五嶺&恵比寿はそう遠くない頃合いで再登場するハズです。目も当てられない悲惨な過去を描く『西義之先生メソッド』が炸裂するぜ!


一番活躍を期待したい今井さんは終始無言でした。次回は主人公勢、どのようなパーティを結成するでしょうか? 今までのルールから行って、洋一・七菜・キリコはメンバーから外れる可能性高し。優は魔法律書を作る必要がある。「六氷・草野・ペイジ・今井」のアダルトなパーティになるとか?

優が草野に持たせた魔具が、消化されずに終わったのも疑問点。この伏線は次シリーズへ引き継ぎかな?