1394. 先行感想 - ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 第63条「嵐の前」

今週号の「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」について、大きくネタバレを含んだ感想記事です。未読の方は閲覧を控えて下さい。

ここんとこムヒョロジのを特集していなかったので、今週は濃縮。考察メインで深く切り込みます。


MLSの序列関係
コミックス五巻にて、今井さんは洋一の先輩、五嶺六氷の先輩と確認できます。

【第35条「約束」】
洋一「オレは今井先輩が炎の中で生きてた方が驚きだけどね 不死鳥かっての」


【第39条「計画」】
五嶺「…MLSの後輩で傲慢で鼻持ちならぬ天才六氷の事務所を 頂戴するってね」

洋一・六氷・円・優の四人は同級生ですので、ここにMLS出身の先輩後輩関係が把握できます。今井さんと五嶺はどちらが年上か、それとも同級生か。今度こっそり公表希望。

  1. 五嶺
  2. 今井?
  3. 六氷・洋一・円・優
  4. リリー・マリル


草野の成長
「四連・破魔の術」と思いきや、うち一つに『破魔竈の術』を仕込む高等テクを披露。もちろん四枚とも破魔竈の可能性はあるけど、現時点ではそこまで成長して欲しくないなあ…。破魔竈は通常の破魔より広い範囲、高い威力を誇る術のようで。

これを四連の中に仕込んだ草野の成長曲線は無茶です。鋭い二次曲線を描きすぎ。トーマスに「キミの助手はいいセンスをお持ちだ!!」と言わせて誤魔化そうったって、そうはいかん! せめて破魔竈が攻撃型の得意な玲子様直伝と確信できる伏線があれば、また違った感動と興奮があったんですが…。


五嶺&恵比寿善人化のフォロー
五嶺と恵比寿を善人化しすぎで、正直面白くないと思った方も大勢居そう。正直オレもこれには引き気味です。しかし、そうした読者感情を奈々に代弁させましたね。好感が持てます。

奈々「──私 昨日までこの二人ブッ飛ばしたかったけど」

つまりこれって、義之先生も自覚症状あるわけです。五嶺と恵比寿が、元はハイエナ野郎のゲス野郎(by六氷)ってことを。二人を安易に善人化した事に、一端の罪悪感は抱いていんだなあ。作家側のそんな気持ちを汲み取ると、こっちもちょっと複雑だ。

義之先生は『不幸の中の幸福』の感動シーンを描きたがる人間。つい、そっち方向の補正を入れてしまうんだろう。他にも、独特の手癖で漫画をねじ曲げてしまう作家さんは居ます。以下類似例。

  • 尾田先生「幼い子供が必死の我慢の末、ついに号泣するシーンを描きたがる作家」
  • 岸本先生「動画的に表現するシーンを描きたがる作家」
  • 空知先生「可愛い女の子がゲロ吐いたり下ネタ口走るセクハラシーンを描きたがる作家」
  • 荒木先生「人間が爆発するシーンを描きたがる作家」
  • 久保先生「人間が流血するシーンを描きたがる作家」
  • 大亜門先生「人間が徐々に奇妙なJOJOになるシーンを描きたがる作家」

こうした作家さんは、無闇に手癖を揚げ足とっては可哀想。だってそこが売りだもの。だからほら、義之先生のこの件も大目に見てやろう。トーマスが恋する乙女のように善人化しても大目に見てやろう。


キリコ&奈々のタッグ
一番避けたかった強烈タッグ「キリコ+奈々」のタッグがついに実現。これは痛烈だ。

キリコと奈々の性格は酷似しています。二人とも自意識が高くおせっかい。好奇心が強く、鼻につくセリフを吐き、何にでも首を突っ込んでは足を引っ張るくせに、最終的にはそれなりに活躍するから強く批判できません。つまり絶妙に腹立たしいキャラ。(褒め言葉?)

『奈々2号』ことキリコは、奈々の胸の谷間がマイホームですか。そこに定住するつもりですか。奈々をアネゴと呼び、奈々とセットで登場し、今までの二倍の威力で腹立たせる狙いですか。

パワーアップするのは草野の破魔竈の術だけで良いよ! なんで奈々の腹立たしさまで威力倍増するねん!


禁書
理緒の手元にある卵形の『禁書』は、魔法律協会から奪い去ったものでした。本来『禁書』は魔法律協会本部サザンタワーの『四賢人の間』に安置される代物。『禁書』が物語に初めて登場したタイミング的にも、魔法律検定編の混乱に乗じてティキが奪い去ったとも考えられます。

ここで察すべきは、ペイジ・クラウスの失態は禁魔法律家に謀られたという可能性。オニコマイヌ2匹にブイヨセンを仕込んだのは禁魔法律家。そうとも知らず、ペイジは円の計略にのせられる。あの混乱はしかし陽動で、騒ぎに乗じてティキが禁書を奪ったと。

しかしこの説、元より『ペイジの強化合宿を知る者(内通者)』が必要です。居ますよね…内通者候補の筆頭。

【第60条「トーマスという男」】
今井「いずれまた会うことになる それまで無事でいることが礼だと思え…!!」

い、今井さん……。*1


ペイジ・クラウス
それにしてもツイてないのはペイジさん。魔法律院院長の失脚だけで済んだのは、『四賢人』という特殊な立場故の特別待遇でした。本来ならばトーマスのように協会追放の処置だった様子。

特殊処置に甘んじたため、今回は『四賢人』の悪巧みを受け入れる様子。いや、ここは無言を保ったけど、次週で『四賢人』に逆らい事を公に晒し、自ら協会を出て引退するのかもね。次シリーズはどうやら、ペイジメインの物語展開に流れています。そこでペイジが死亡しても、何ら不思議はありません。

【第35条「約束」】
円「僕の計画をたずさえて 君の大切な友達や宝物を むさぼりにね……!」

これまで六氷側の犠牲者はゼロ。五嶺と恵比寿に生還フラグが立った今、そろそろ犠牲者が出てもおかしくない頃合いです。


サブタイトル「嵐の前」
草野に関して、ぜひ覚えておくべき伏線が一つ。優からもらった魔具の事です。

【第60条「トーマスという男」】
優「あった ハイコレロージー君」
草野「え? これは…」
優「とにかく持っておいて あんまりムチャしないことだね ムヒョも本もね」

今シリーズは、表向き「禁魔法律家の台頭」や「五嶺と恵比寿の再結束」がメインテーマに見えますが、その実草野の成長を描くお膳立てに過ぎません。

前シリーズの魔法律検定編でワンステップだけ心の成長を遂げた草野。彼がいかに変身したかを見せつける事こそ、今編最大の見所でしょう。じっくり描き上げた成長を、今編で丁寧にお披露目して、読者に充実感をもたらす狙いではないかと。

今話までも様々な場面で、六氷の手を煩わせない気配りができてます。しかし今話のサブタイトル「嵐の前」を見て、次週から六氷の身に危機が訪れそうな予感がします。監獄編で煉が尽きたピンチより、よっぽど絶望的な。それは同時に、草野の成長を遺憾なくお披露目する契機になります。

絶望的な状況に陥った六氷を救う手立ては? 優から託された魔具と、それを使いこなす成長した草野になると、期待させて下さい。


その他の見所

  • トーマスと五嶺は教え子と生徒の関係。
  • 今回は両者生き残り、後に五嶺はトーマスとリベンジマッチを果たすのでは?
  • 「許せない!!」「うわぁあああ」「ボク…なんてことを……!」成長してもやっぱり根が乙女。
  • 「ケッ」「取り乱しやがってアホめ」「チッ一発逃したか」なんだか六氷が過保護すぎます!
  • 「うん… ごめんなさい…!!」いつも呑気な草野が久々の敬語!
  • 久々の『職務を全うする男達の姿』がすごくいい。このギャップが燃えるのです。
  • 「メンドくせえな…」といいつつ六氷、ちょっと満足気じゃないかー!
  • 『二人でアイツをギャフンと言わせる』
    • 奈々:写真のシャッターを切っただけ
    • キリコ:大 活 躍
  • あれ? ぶっちゃけ奈々って必要なくね?二人とも頑張りました!
  • 「地獄の蟲とか飼っていいと思ってんの!?」
  • そう言う地獄の住人・キリコは、もう少しで奈々に飼われる勢いなのですが…。
  • 恵比寿が渾身の一撃。それに答える五嶺。言葉数少なくも二人の絆が伝わってきました。
  • 賢人長が幽李に見える件。


すごく真面目に考察しても、最後の小ネタ漁りで台無しな気がしてなりません…。

*1:ネタとして書いてます。そもそも今井さんは、監獄編でティキに襲われているので、内通者なハズがありません。