1680. フィナーレ感想 - 腐れ糸編

ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」のクライマックスにおける想いは、前回の『ベクトール編』で粗方語り切った。さあ、泣いても笑っても、これが最後の本編感想。語り残しの無いよう、最後まで気合い入れていくぞー!

ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 18 (ジャンプコミックス)

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ベクトール編で言及されていた「赤い糸」の云々が、アロロパシーの伏線になっていたという構成。ベクトール編から、六氷と草野のアロロパシー設定は確定していた訳ね。二人の間に見られる『腐れ糸』は、ベクトールの持つ『赤い糸』と異なり、実は霊根でもないと結論付けている。『腐れ糸』の正体は明かされることなく、残念ながら丸投げのまま作品は完結した。

恐らく『腐れ糸』の設定は、アロロパシーの言及時点(遠隔魔法律編)、さらに遡ればリリー&マリルの登場時点(魔法律検定編)からの構想だったと予想できる。リリー達が六氷と草野の情報通だったことにも納得がいく。

作中では『腐れ糸』を呪いと仮説立てていたが、個人的にはこの糸、むしろ祝福じゃないのかなって思う。過酷な運命に呑まれても、いつもいつまでも隣にパートナーが居てくれる。孤独じゃない、手を貸して、手を借りて、二人が並んで立ち向かえる。例え災いの渦に身を投じても、その「腐れ縁の関係」ってのは、すごい幸せな祝福だよ。羨ましいもんな。

さて、ベクトール編では本来の構想を強引に軌道修正した。巨大な船体をガリガリ削りながらも、どうにかこうにか着地してくれた。しかし今編は、最終回までの尺をキチンと計算した、無駄がない無難な構成となっている。世界の終末を阻止する一大決戦でもない。誰かの生死を賭けた殺伐な展開でもない。六氷のパートナーに最も相応しいのは?」という、本作の原点回帰をテーマにしたクライマックスとなった。まっことムヒョロジらしい!

そして、魅力的な女の子キャラは他にたくさん居るハズなのに。どうしてこのマンガは、男ばっかりで六氷を取り合う展開に走るのか! 勝負の決め手なんか「赤い糸」だもんな。一般読者、全員ボーゼン。でも、それでこそムヒョロジ最終回だったよ。色々と煮え切れない部分はあったけれど…でも。最後はネタで締めくくったおかげで、スッキリできた!


思い出のワンシーン

六氷「半年後の試験で一級書記官」
草野「…うん…」
六氷「その2年後裁判官補佐になれ」
草野「う…ん」
六氷「助手扱いはその辺りからだナ ――ああ 後な 今後泣き虫一切禁止な」
草野「―…いじわる… そんなの無理だもん…!」
六氷「だな」
草野「バカ… バカムヒョ…」

不合格だったら草野はクビにするとか言ってくせに。不合格だったら洋一と組んでもいいとか言ってたくせに。いざ解散となったら、いざ草野が完全に諦めてしまったら、最後の最後は六氷が止めてくれました。

きっとね、実技試験で怪我をした試験生を助けてなかったら、逆に六氷は草野をクビにしたと思います。だってほら、ペイジさんだって言ってたじゃないですか。魔法律家に一番必要なことは、人を思いやる心なんですよ。

そして二人が再び手と手を取り合ったこの場所は、第一話で悪霊と戦った駅のホームです。なんというドラマティック乙女。そうです! これこそ、オレ達が愛した「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」なのでした!