800. 先行感想 - ムヒョとロージーの魔法律相談事務所(第14条「となり」)

記念すべき800投稿目は、「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」先行感想+α。

今週号の「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」について、大きくネタバレを含んだ感想記事です。未読の方は閲覧を控えて下さい。

DEATH NOTE亡き後、月曜朝に単独先行感想する漫画といえば”ムヒョロジ”を置いて他に無し…ッ! 他のWJ感想サイトを置き去りにしつつ(むしろ置き去りにされる側だ)、ムヒョロジをどこよりも早く特集させて頂きます。前回のムヒョロジ単独感想は5週前で、これが魔法律協会編の直前でした。今回は魔法律協会編が一区切り付いたので、特集感想するにはタイミングも良いですよね。


草野の才能開花を振り返る
先週のムヒョロジは、単に演出と魅力度を評価すれば満点を上げたいほど熱い展開でした。しかし内容を吟味すると、あちこちに不満が出てくるのもまた、ファンとしての正直な気持ち。

不満点として一番に挙がるのは草野の才能開花。魔法律って真に素質次第なんですか? 草野は「魔封じの筆」を手にして間もなく協会に訪れました。この間、練習や努力をする暇は一切なし。それでいて、知識も経験も十分積んだ周囲の人々より、草野の方が「魔封じの筆」を使いこなせました。普通に考えるとありえません。ひょっとすると草野って洋一より強いんじゃ…。

魔法律の世界は「努力が意味を為さない」「素質だけがものをいう」特殊な業界だと説明されれば、それで納得もできるんです。例えば、霊感の無い人が幽霊を見ようと努力しても、元から強力な霊感を持つ人と比較したら、努力派はきっと叶わないでしょう。その発想と同じで、魔法律の能力レベルは「素質」のみで決まるならば、先週の演出も納得することができます。

魔法律を扱うための能力には何が作用するのか。霊感か念力か、はたまた特殊な精神力か。現状はこの設定部分が不安定すぎて、読者に余計な疑問や心配を抱かせているのではないでしょうか。


魔列車の刑
今話は、一話丸々使ってのダイナミックな魔法律演出に、思わず息を飲みました。

多量の目で霊を確認し鷲掴みにしていく魔列車。大量の霊を一括に裁くことができる魔列車は、今回の対処に見事なほどマッチングした魔法律と言えます。魔法律の「刑(魔列車など)」は「罪(大量殺人未遂など)」によって決定されると思ってました。が、今回の演出だけを見ると、執行人が「刑」を操作しているように見えました。「刑」はオートかマニュアルか、さてどちらでしょう?

ここでムヒョロジトリビア魔列車は、本誌読み切り時に第741条『物体無断寄生』の罪状で登場しています。今話は「第1742条」と数字も心なしか共通点あり。単純に「物体無断寄生」=「魔列車の刑」ってことなんでしょうか?


魔列車の刑」の謎

魔列車の刑は「強力すぎて高名な執行人でさえ使えない魔法律」らしいです。なんと魔法律には難易度設定がありました。執行人は全ての魔法律を扱える訳じゃないんですね。当然、六氷にも使えない魔法律や、ギリギリ使える魔法律があるんでしょう。先々週、六氷が魔法律を使いながらも眠らなかったのは難度の低い魔法律を使用したからという説が浮上しました。

魔法律は数千種類に及び、その全容は不明点が多い。したがって「魔列車」が高難度であると説明されても、正直読者はピンとこないのが普通でしょう。しかし、何が難しくて何が簡単か、基準を提示するのもまた難しいところ。ここは素直に「へぇー…」と納得しておくに限ります。難度の基準を求める方が野暮ってもんだ。


草野の自信
魔法律協会編は全編通して、「草野の自信」にスポットが当たりました。

草野は「天才六氷の助手」を意識するあまり、己のへなちょこさを恥じて、次第に自信を失います。「六氷の助手がどうして僕なの?」「自分よりヨイチさんの方が…」とまるでヒロイニズム全開!(※ヒロイニズム=ヒロイン主義) そんな草野の心理を、綿密に掘り下げてきました。

なよなよしまくり。目にいっぱいの涙を浮かべまくり。「これぞ21世紀の真ヒロインである!」「青年男子でありながらヒロインである!」と誇示し訴えかけるかのような、見事なヒロイニズムっぷりでした。(※草野は男なのにヒロインだから魅力があるわけで、彼がもし「女の子」だったら普通すぎてつまらないのだ。だからどうか、「草野が女だったらなぁ」なんて言わないで、草野の独創性を買って欲しい。)

その後、草野は洋一の励ましで自信を取り戻します。自信復活に呼応して魔法律の能力も開花しました。草野の才能開花は、彼の内面に潜む『自信』こそがキーとなっている可能性があります。この場合、草野は今後精神的な成長こそを目指す必要があります。これは作中テーマにもそぐう美味しい展開だと思われます。

また、今話でも「六氷に見捨てられるのでは」という自信の揺れっぷりを、それこそ少女漫画のヒロインのように丁寧に描写して下さいました。もうお腹いっぱいです!


六氷と草野の約束

「くたばんねェようにしっかりついてこい ってこった」
「…そんなこと言われなく…たって… ついていくもん…」

「ついていくもん…」


「ついていくもん…

「…そんなこと言われなく…たって… ついていくもん…」

成年男子は語尾に『もん』って付けませんからーーーッ!!!


六氷と草野の約束(再)
失礼、取り乱しました。

先ほどの「草野の自信」の話に繋がる話です。六氷が草野に「しっかりついてこい」と告げたことで、草野はようやく、確固たる自信と安心を取り戻しました。安心とはつまり『君の助手でいいんだね…!!(目に涙を浮かべる)』です。ここに、草野が自信を失いそれを取り戻すまでのテーマが完結したのですね。

「ムヒョのバカ…!!」

チビのくせに! バカバカバカ!(どすどすどす) ←以下永遠と脳内の迷場面特集が流れる


その他のチェック

  • DじゃなくてE!? そんなんでEーの?(今週は各地でこのフレーズを目にするはずだ)
  • 「ムヒョのバカ…!!」「うるさくて…!! きこえねーよ」に猛烈な友情を感じた。熱すぎ!
  • 友情を深めた上での口喧嘩ほど感動するシーンはない。
  • 口や態度が不器用な六氷。「黄泉送り」がニクい演出。
  • 皆で手を合わせて黄泉行きを願う場面もニクい演出。
  • 色んなニクさが相交わって感動の涙を誘いました。
  • ちゃっかり一級書記官に昇格しちゃった。(追記)正確には仮免許
  • ナナのスカートはいくらなんでもミニすぎだ。さすがスタイルもEカップです。


洋一の寂しさ
本来なら「六氷の助手」は草野ではなく洋一のはずなんですよね。それは洋一の実力、経験、友情度を考えれば、安易に想像がつくのです。しかし洋一は六氷の意思を彼なりに受け止めてます。自分では力不足であることを理解し、草野の力量を認めて信じました。そんな洋一の心中を考えると、もんすごい心が痛みますねえ…。


次週より
再び日常編に戻ることを期待。最新号の「ジャビン」も登場するでしょうか?

またしばらくは一話完結の短編に戻って欲しい。短編で二人の性格や能力を断片的に掘り下げて欲しいところです。エピソードを重ねて友情を育んでくれれば、今週の「約束」にも深みが出て、いい具合に感動を生むでしょう。また、未発表の設定も、軽い事件に織り交ぜ適所で徐々に明かしていって欲しいところ。

草野と六氷の出会い、草野の過去と才能の謎、六氷は真の天才なのか、魔法律の起源と成り立ち、円との第三ラウンド、洋一の再登場、六氷以外の執行官の登場、草野のライバルとなる一級書記官の登場、魔法律協会の対となる「闇の力」を束ねる組織の存在、ナナと洋一の今後、ナナのEカップはFカップに成長するか等々、今後のムヒョロジを妄想すると、そのネタはこんなに盛りだくさんです。何気に草野も六氷も両親や生い立ちが不明のままですし…。


今週の草野くん乙女チェック
こういうのはたまーにやるから良いんですよね。三度目の復活。[○P△c]の表記は、○P…ページ数、△c…コマ目の意味です。

  • [5P2c] 表情アップになると途端に女の子。
  • [9P1c] 「……!!」で困った表情になってる草野は、隣のナナよりも切なげ。
  • [9P2-3c] この辺りから途端に乙女濃度が上昇気流です。
  • [10P3c] 「……!!」見開いた目がヒロイニズム全開! 何この表情! コクられてビックリした女顔だろ!
  • [12P1c] 『ドキン…』ってお前は男だろうがァァ!
  • [12P4c] 『プイ』ですか! 青年男子が『プイ』ですか! ……。もう草野のことなんか知らない!(プイ) ←オレがやるとキモイだけだ
  • [13P2c] 「ムヒョオ…!!」”オ”が付くところが女性的。対する六氷の「あ?」って反応もすごく良い。草野の戸惑いが全く分かってないんですよね。六氷はあまり他人を思いやらない無神経なヤツだから。だがそれでいい。
  • [13P3c] 「ついていくもん…」 会心の一撃
  • [14P1c] 『君のとなりに居ていいんだね…』友情の物語で…良いんで…すよね?(なぜか戸惑う)
  • [14P2c] 「ムヒョのバカ…!!」乙女コマが4コンボヒット!(New Record!!)
  • [15P2c] 六氷を手に入れて安堵しきった草野さんなのでした。

毎回草野を取り上げてますが、お澄まし六氷くんもまた、底知れぬかわいさが眠ってるんですよ? こっちはホント、少年のあどけないかわいさです(※父親が息子を可愛がるような意味合いでかわいい)。意地っ張りで無理して頑張ってる感が、マセた子供っぽくてすごく良い。西先生は魅力的な男の子を描くのが本当にお上手です。


おまけ
今日はホワイトデーですね。世の男性は『プレゼント十倍返し』の儀式が執り行われます。
魔のホワイトデー

ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 第3月14条「ホワイトデー」より
「『彼女ができた』及び『バレンタインプレゼントをもらった』罪により」
「『プレゼント十倍返し』に──」
「処す」
「おお…!!」
「な なんと……!!」
「じゅ…十倍返し……!!」
「強力すぎて高名な記念日でさえ」
「使えないという あの贈り方」
ガッ
「ATMが 満席になりそうだナ」
ドンッ!!
「あ あれは…!!」
「──ま まさか……!!」
「──プレゼントのカスタマイズiPod mini
「ホワイトデー 今回の決着は」
ゴッ!!!
「女の子の勝ちだな」

ムーさん、勝手にネタにしてごめんなさい…。なお、「799. 2005年ホワイトデーに関するアンケート」より、ホワイトデーには下着をプレゼントするといいそうです(よくないよくない!)。


以上、「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」をこれでもかッ! つーほど猛プッシュしてみました。誰が望まなくても、単にオレだけが楽しい感想ですよコレ…ダメな感想例だ。毎度はっちゃけてスミマセン...