1676. フィナーレ感想 - ブープ編

アイビー編から以降、読者のテンション的な意味で怒涛の追い上げが続く。今編は、執行人抜きによる変則的な戦い方が魅力。洋一を主戦力に置いて、今井、銀次、キリコがサポートに回った。『通行証編』の感想でも言及したが、執行人抜きでバトルすれば、インパクト重視ではない知略戦を描ける。

ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 14 (ジャンプコミックス)

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執行人抜きの魔法律バトルとはつまり、バトルマンガ本来の土俵に立ったということ。平たくいえば、(マンガ展開的な)戦術の幅が広がるのだ。土地を生かし。魔具を活用し。五感を研ぎ澄まし。敵の能力を逆手に取り。あるいは今回見せた「交渉術」を用いて。

格下の敵を圧倒的戦力で踏み潰すのではない。格上の敵をいなして捌く戦いというのは、読んでいて燃える。様々な泥臭いアプローチを重ねて、頭脳プレイの末ついに勝利を収めた洋一たち。読者もその喜びを共感してしまう。これぞエンターテイメント。なーんだ西先生、ジャンプ色のバトルも描けるんじゃないの!

ブープ戦は一見ボリューム感こそあるが、ブープとキッドを同時に攻略した成果から考えれば、十分なペースといえるだろう。しかし、ミックやアイビーの木偶が登場したのは余計な印象で、展開が無用に間延びしたとさえ感じる。『多重木偶化の術』の効果だけで十分に危機感は煽れたのでは。

思い出のワンシーン
少年誌で少年を所有化するシーンなんて、掲載しちゃって良かったんでしょうか。女の子のセクシャルなシーンは規制が強いけど、意外と男の子の場合は素通りされているような…。

【コミックス14巻 - 第120条『解』】
ブープ「条件がありゅ キッドをワシによこしぇ」
ミック「なんだとこの変態ジジイ!!」
ブープ「ワシ以外にオマエラを相手にする奴がいるかにゃ??」
アイビー「汚い人…!!」
キッド「ボクやるよ 皆でパパとママを取り戻すんだ」

その後、キッドはブープに文字通り開発される訳ですが、深く考えるとキッドが一番不幸を背負ってて切なくなります。あえて美少女のアイビーを差し置き、キッドを選択した点が変態すぎますよね、ブープは。