1673. フィナーレ感想 - 遠隔魔法律編

『吼千峡』や『禁書』の大風呂敷を畳めなかったのは、残念でならない。特に禁書は、非常に読者興味を十二分にそそらせる紹介だった。結果として、投げっぱなし(行方不明)になったのは悔病まれる。原因を追及すると、『禁書』へ最も密接に関わった理緒先生を、今編で早々に奪還したのが敗因? その背後には大人の事情も介入したんだろうけれど…。

理緒先生は吼千峡に居た頃の記憶が曖昧だった。これは暗に伏線で、禁書の呪いに当てられていたとか、箱舟編やベクトール編の後に「禁書編」を予定していて、そこで理緒先生の呪いが覚醒しちゃうんじゃないかとか、連載当時はものすごく中二病を煩ってしまっていた。ああ、気になるよ禁書の行方。

今編前後の物語展開では「イサビ戦→ミック戦→ティキ前哨戦」と魔法律バトルが連闘する。コミックスにして1巻半程度のロングスパンでバトル主体の展開が続き、『かつてのムヒョロジ』らしくない息苦しさを受けた。あるいは「ジャンプマンガらしくなった」と皮肉ればよいのか。

すでに何度も述べたが、西先生は人情を主軸にした構成で物語を描く方が、よっぽど見栄えよく映る。ペイジさんの度重なる失態はどうあれ、「命に替えて小さな希望を守りたい」という想いを訴えかける第88条『希望』は、たいへん読み応えがあった。

理緒先生の顛末も同様だ。紆余曲折を経て毒島が理緒を認め、全員の想いが一つに重合してティキを撃破するに至る構成。綺麗事すぎる嫌いはあるし、ティキの裏工作も出来すぎな後付け設定に聞こえるが、物語の内容としては手短に纏まっていて上手い。人の心情をリアルにえぐるような、生身の想いを伴ったバトルなら、西先生も十分戦えると思えた。

思い出のワンシーン
思い出というには少し違うのですが。作品完結時にアロロパシーの謎が明かされた後、イチから読み直しても、どうしても解けない謎が残っておりまして…。もちろん他の謎と同様、未回収という可能性は高いのです。しかしさすがに、この謎が未回収では、ちょっと酷いだろうと思ってまして。

【コミックス12巻 - 第97条『ふりだしとアロロパシー』】
六氷「チッ もうか…!!」

google先生に問い合わせたら、答えはお前の中にある的な回答しかしてくれません。

「コイツを開発するのは俺様だ!」とか思ってたらすっかり開発し尽くしちゃって「チッもうか」なんですかね! どなたか、これを読み解いた猛者の方がいらっしゃいましたら、こっそり教えてくださいませ。