1143. 第42回 - 鎌倉の陰謀

今話を入れて、残すところあと8回。義経と頼朝の勢力分けも明確になり、東西くっきり別れました。クライマックスに向けて、着々と悲劇の準備が作り上げられています。

7月

頼朝(中井貴一)と対面叶わなかった義経滝沢秀明)。後白河法皇平幹二朗)は手厚い情の言葉を掛け慰めた。さすが人使いが上手い法皇様、言葉巧みに義経の気を引きます。義経が一番欲しい言葉は計算済みなのですね。「九郎がおれば都は安泰」の言葉通り、疫病&地震のコンボも義経のおかげで打開。まるで義経一人の働きで都が平穏を取り戻したような表現のナレーションは、序盤最高の笑い所ですよね!

頼朝の力を封じるには、義経を手元に置くしかない。平知康草刈正雄)と丹後局夏木マリ)もこれに賛同し、義経を今以上に手厚く取り立てる機会を窺った。一方で鎌倉での義経の評判は、謀反の疑惑が強まる一方です。宗盛(鶴見辰吾)斬首の命を義経に伝えた安達盛長草見潤平)は「義経に謀反の心が無いことが証明された」と報告する一方、法皇義経を利用しかねないと懸念。でも、そもそも義経の気持ちが鎌倉から離れたのは、全部頼朝が余計な命令したからだ!

静の慰めも虚しく、義経は思想の違いから「気持ちは鎌倉の御家人ではなくなった」事を告白。萌(尾野真千子)さんはどうするのと問われて言葉を失います。どうやらそこまで考えてなかった様子。仮にも正妻なのに…。

8月

流行病と地震でうつぼ(上戸彩)の夫が亡くなる。というか、いつ結婚してたんだよ! そこって結構重要なポイントじゃないの!? 「わしを頼ればよい!」と言いかけて、思わず「わしら」と言い直す喜三太(伊藤淳史)。幼馴染みだし、彼はうつぼに惚れていたのかも…。義経の情を断り、女一人で生きたいと決するうつぼ。精神弱り果ててる時に、よくそんな決断ができるよ。神仏の思想根強い当時「神のお言葉」とあれば、それを心の拠り所にするのも頷けますけど。

義経に何としても褒美を取らせたかった法皇。今が絶好の機と伊予の領土を与え、義経を朝廷の勢力に括り付けてしまいました。頼朝とは違う新しい国を築きたい義経は、伊予で新しい国作りに励むと決意。これを『謀反ではない』と言い切る義経も、チョット都合が良すぎます(後で行家にもツッコミ食らってたけど)。

伊予に大臣を置き都から納めて、殿が目指す新しい国を作るのだと、郎党らは妄想を膨らませた。一方で鎌倉側がどう思うかを考える、各自表情が曇る。決別の日が近いことを、みんな薄々は感付いてるみたい。

9月


梶原景時の「都には仏具の買い付けで参った」という言葉をすっかり信じ込む義経天然キャラすぎる。いくら何でも悠長に事を構えすぎてるよ義経さーん! 萌との対面で、彼女の父から「東国に戻るも由」と言葉を伝える梶原さん。しかし萌さんは義経が愛しいのか、その気は毛頭無しと拒絶。萌さんは萌さんなりに義経の事を愛してるのに、義経には彼女のことなど頭の片鱗にも置かれてないのでは…。萌さん、あまりに哀れです。

ついに萌さん、義経と頼朝の諍いを受けて「私はどのようにすればいよい?」と義経を問いつめます。「殿の元を離れねばならないか?」と問いかけに「それには及ばず」と、ちょっと釣れない返事。それでも萌さんは嬉しそうな顔を浮かべました。こんな僅かな気遣いの言葉でも幸せなのか萌さん。それはそれで余計切ないよー…。

しかし安心しました。「君が帰りたいなら帰りなさい」とかサイテーな言葉を平気で吐きそうな雰囲気持ってるもの、義経は。

政子様がみてる

  • 今の義経の心中は手に取るように分かる政子(財前直見)。義経のことは我に任せよと談判した。

水を差し出しても、飲む気が無ければ飲まないもの。義経が水を飲んだのは鎌倉への抗いとみた。政子様のこの推察はとても印象的でした。でも政子様って毎週意見が変わってるから、彼女に全てを任せるのは非情に危険ッス。義経のみならず頼朝の心中も掴んでいる政子様。頼朝の思想や迷い、ためらいも筒抜けでございました。最後には「武家の国を築くため、ためらうな!」ときつく叱りつける始末です。政子様は源氏の男と相性がいいのかも。

行家の説得

  • 行家は義経を訪問し「鎌倉に対し弓を引く支えになる」と協力を申し出た。

またきたよこのオッサン。ホントしぶとい。こういうウザキャラは最初の犠牲者になるか、最後まで生き残ってラスボス化するか、二つに一つしかないですね。しかしろくな死に方はしないよ、このオッサン…。
義経の天然っぷりに驚くも、梶原さんが都入りした真意も説明。行家おじさん、珍しく役立ってる!

頼朝は身内を信用してない。故に身内を討ち滅ぼす。だから頼朝を討ち滅ぼすべき。以上三段論法で義経を説得。これまで釣れない返答を続けていた義経が、今回は「謀反の心はないが、頼朝とは別の国作りを目指す」と、行家おじさんを喜ばせる言葉も。それは鎌倉にとって「謀反」だと指摘され、唖然とする義経。天然の義経くんも、やっと気付いてくれましたか…。