985. 第28回 - 頼朝非情なり

ウタノマエ
平家は京の公家達の立場を乗っ取り、法皇天皇らと結束して政治を担った。一方源氏は、朝廷が距離を置き、東国で新たに武家主導の国を建て政治を奮った。こうした源平の政治手法の違いから、源頼朝中井貴一)は時代に名を残すに至った。


重衝と三種の神器

  • 戦いに敗れた平家は、三種の神器と帝を握ったまま神宮に退去した。
  • 一方、義経滝沢秀明)の名声は一日にして都へ轟いた。…毎週こればっかりです。
  • 駿河次郎うじきつよし)「みんなこの通り怪我一つしてないに!」ノーミスで一ノ谷ステージをクリア。どこのプロゲーマーですか。
  • 平清盛の五男・重衝(細川茂樹)の身の振りを巡って会議。義経の案で事が進む。
  • 平家一門、重衝の文を巡って会議。三種の神器の返還を拒否する。
    • 宗盛(鶴見辰吾)は神器の返納を拒否。坊ちゃんの場合、源氏や院への意地・プライドばかりかも…。
    • 重衝の妻・輔子(戸田菜穂)は夫の救命を悲願した。今週は源平共にこのパターン。
    • 平家のブレイン・知盛(阿部寛)は、神器を返納しても重衝は戻らないと賢明な判断。
    • 兄とは違うのだよ兄とは。
    • 時子は終始静かに皆を見守った。目に力がありません。悲しい表情が印象的です。
  • 今の平家は三種の神器にすがる他、自分たちの官軍権限を主張できなくなってるようですね
  • 平家が返納拒否とあって、都では重衝の斬首を決定した。
  • 重衡と兄弟のように過ごした義経も、最後はこれに承諾。


鎌倉送り

  • 頼朝より重衝を鎌倉に送る命が下る。その役目は義経が担う。あれ、義経って鎌倉に戻れるの?
  • 義経と静(石原さとみ)は再びお別れ。静を気遣う義経に「ご安心下さいませ」と健気な対応。でも次週には再会するでしょ。
  • 義経は重衝護送の途中、駿河の国で重衝と語らい昔を懐かしんだ。義経が平家の人間と二人きりで語らうのは久々。
    • 義経「平家を恨めたらどんなに楽だったか」と本音を漏らしたのが印象的。
    • 重衝「私にも弟が出来たとおもうていた」の吐露が心にしみます。
    • 子役の回想はマジでヤバイって! あの頃の義経は名作でした。涙腺緩みます…。
  • まさか頼朝・義経の再対面。これってオレの勉強不足? フィクション?
  • しかも一ノ谷の働きを褒めるばかり。頼朝の命なく勝手に都入りした咎めはなしですか。
  • まずは学者の大江広元松尾貴史)と善信(五代高之)を紹介。武家の政を助力すべく、二人を呼んだ。この場面からも、義経の理想『源氏の国』と頼朝の理想『武士の国』に思想的相違があることを伺い知れますね。
  • 北条家親子と面会。義高&大姫の面会を許される。政子様(財前直見)は着物で正装するとますます威厳が出ます…。


義高と大姫
義仲の死を知る義高(富岡涼)。何も知らない大姫(野口真緒)。義仲(小澤征悦)討ち取りに活躍した義経三者の微妙な立場が緊張感を誘いました。義経は子役が絡む演出が素晴らしいですよ。

  • 大姫… 無垢な大姫ちゃんは義高のために義仲の話をずけずけ尋ねてしまいます。
  • 義高… 涙目を浮かべながらも、大姫を気遣って話を合わせる義高くんは紳士だ!
  • 義経… 二人の間で賢明に意を組み、義仲の言伝を託した。


重衝取り調べ
重衝は僧・善信の前で、清盛(渡哲也)の寺院焼き討ちの罪を被る。「平家を侮辱した仏僧が憎んだ」と嘯くが、これは視聴者からも嘘とバレバレ。だがそれでいい。頼朝にも易々と見抜かれました。見抜かれるようにやったろ重衝!

武士の首打ちは恥ではないと立派に語ったのも、福原で知盛と語り合った件が伏線なのでしょう。そんな武士魂を持つ重衝を頼朝はいたく気に入ったようで、鎌倉に迎え入れ協力を煽ることに。義仲・義高には厳しいくせ、平家の重衝には変に甘いよ。重衝は伊豆流し。


義高出奔

  • 義経らは久々に千鳥(中島知子)と再会、宴を催す。
  • 家来達が義経を持ち上げるのももはやお約束。こんな時には一番うるさい弁慶が、今日は一人静か。
  • 宴の後、千鳥と弁慶が二人きりに。なんだか弁慶が千鳥を見る目がエロいんですけど。
  • ところが、千鳥が京に行きたがる話を聞くうち、弁慶の機嫌が悪くなっちゃいました。訝しげな表情で嫉妬?
  • 義仲の死や、その討ち取りに義経が加わっていたこと、全てが大姫にばれる。
    • 「義高は頼朝に命奪われることもあるのか?」
    • 「義高様は私が、なんとしても御守りする」
    • な、涙ぐましいよ大姫ちゃん…。今週のMVPは大姫ちゃん、キミを置いて他に居ないッス!
  • しかし義高は大姫の館から脱走。父の生まれ故郷を目指した。北条時政小林稔侍)の放った兵にあえなく捕まる。エッ! ダメパパ時政が初めて役に立ったよ!
  • 頼朝は義高を目にして初めて狼狽えた。
  • 政子が大姫のためにも、と義高の救命を願い出る。しかし頼朝の決意は変わらなかった。
    • てっきり政子様が義高の斬首を進言・強行する展開と思ってました。
    • 政子様が情をみせたのも初めてでは? 今週は初めて尽くしですよ。
    • 頼朝の非情さも含めて、全てが意外な展開に。
  • 弁慶、次郎、三郎が義高の斬首を伝え泣き崩れた。喜三太の存在感はますます薄れるばかり。
  • 義経は大姫から拒絶され、どんどん悲劇のヒロインへ落ちてゆく。


源氏の世と武士の世
義経と頼朝の面会。頼朝は色々言いつつも、義高斬首の件を言い訳して義経に許して欲しかったのかも…。先週も触れたけど、頼朝は過去の経験からして義高を斬首せざる得なかったし、「義高の出奔は我らへの裏切りだ」と語ったのも頷ける。自分を慕ってくれている義経には、そういう意図を汲んで欲しかったんでしょうね。

頼朝が熱心に「武士の世」を語ったのも、実のところ義経の協力が欲しいから。協力が必要ないならわざわざ説得しないですからね。だから義高を斬首したことで、むやみに義経と壁を作りたくなかったのでは? と感じました。

  • 義経… 源氏一門が結束して新しい世を築きたかった(源氏の国)
  • 頼朝… 身内でなければ結束できぬということもない(武士の国)
  • 新しき世は源氏の世というわけではない。源氏や平氏も関係ない。頼朝が作りたいのは「武士の世」であると改めて明言した。ここには、義経が目指す国とはズレがあった。
  • 最後に頼朝は、義経に帰京を命じた。
  • 義経と頼朝はこれが最後の対面となった。