913. 第23回 - 九郎と義仲

05.06.20誤字訂正 「越後の神」→「越後守」、「伊予の神」→「伊予守」

実は先週の義経をまだ見られていないので、今週の感想は控えめにやります。感想中の疑問点で「それは先週やったよ」ってネタがあったら生優しくご指導下さい。


平家の都落ち
義経滝沢秀明)はうつぼ(上戸彩)から「平家の都落ち」の噂を聞きつけ都入りを果たす。仮にも戦中にどうしてうつぼが義経の元まで(偶然にも)辿り着けたり、義経がいとも簡単に都入りしちゃったり、フィクションだからってやりたい放題のご都合主義。まあ、例えうつぼが知らせずとも義経超能力とフィーリングで悟ると思うし、平家や義仲の兵にバレたって義経と弁慶が数百の人間をなぎ倒すのが大河・義経なんだよね。気にせずが吉?

さて、『頼朝の命に許しなく、勝手に都入りしてはいけない 』の命を早速破ったことで、後の展開が薄々予想できます。頼朝(中井貴一)が義経と政子(財前直見)様の板挟みに合い、苦渋の決断を果たす苦い顔も濃々予想できます。


義仲の都入り
木曽義仲小澤征悦)の都入り。頼朝に勝ったと宣い、御所で源氏の棟梁を名乗る。武門の義仲は公家の作法を知らず行家(大杉漣)に後れをとる。行家が義仲に取り入った理由は「公家を知らない義仲の代わりに行家が立ち回る」約束だったので、今回行家が義仲を出し抜いたのは、完全に行家の裏切り行為。こういう行家みたいなヤツが早死するんだよね…。

後白河法皇平幹二朗)は義仲と行家に都を頼むが、その裏でニヤリと黒い笑み。会見後、法皇丹後局夏木マリ)の熟女カップルのトークも真っ黒。義仲を「粗野」「利用する」などなど言いたい放題。むしろ鎌倉の源氏・頼朝を気にしてるようで。この法皇さん、かつて平家に怯えた姿は見る影もなく、ちゃっかり元気を取り戻しましたね。


清盛の供養
平家は都を落ちて福原に。かつて栄華を極めた平家が地に落ちたことに、維盛(賀集利樹)は涙する。戦に出ては負け続けた己を責める維盛くんを知盛は慰める。平家はいつからか「武門ではなく公家になっていた」と語る知盛、いやいやキミは三男なりに一人で頑張ってたよ。そして宗盛(鶴見辰吾)坊ちゃんは、どんどん悪人に仕立て上げられる…。坊ちゃんだって不憫だよ...。

そして時子(松坂慶子)の爆弾発言。清盛を思い「時子をお叱り下さいませ」とM女宣言! 熟女でM女宣言! 幻影の清盛(渡哲也)が時子を宥めたり、ホタルのCGがいびつだったり、今週の義経は(どうやら先週にも増して)やりたい放題ですねー…。一応歴史・史実をなぞってる大河ドラマで、幻影や露骨なCG演出が際立つと、首を横に傾げてしまいます。

平家は自らの手で福原に火を付け西国へ落ちる。というか、なぜ福原に火を掛けなきゃいけなかったのか、その辺の苦悩と理由も深く描き切って欲しかったです。ナレーションだけでもニュアンスは伝わるけど、そこがドラマの描きどころなんじゃないのかなぁ…。


法皇と義仲
武門の義仲が政治に口出しした事で法皇はご立腹。一方の義仲も、自分の主張が通らなかったことにご立腹。両者いがみ合いになると思いきや、やっぱり法皇さんは恐がりでした。あんだけ虚勢を張っておきながら、義仲に「越後守」や「伊予守」の位を与え、裏では頼朝に頼るところなんか、逃げ腰戦略で好感が持てません。

法皇の「武門は御上をただ守るだけの存在」「出る杭は他の武門に打たせる」など武門を差別するお言葉の数々から、公家ら武門嫌いが過去にも増して一層に露呈しましたね。


義経と義仲
義仲が都入りして三ヶ月。義仲の兵が都を荒らし、もはや義仲にも手に負えない状況らしいんですけど、どうして総大将にも手に負えない状況なのか。ナレーションでスルーするの狡すぎ。都が故郷の義経は、義仲に腹を立て一対一で会うことを決意。義仲の屋敷に忍び込み、従兄弟同士で腹を割って会見する。しかし、義経が義仲に会いたがってるという情報を、義経はどう伝え、義仲にどう伝わったのか! 無茶しすぎだ、このドラマ...。

義仲は最初義経を懐かしむも、頼朝の配下と聞き態度豹変。しかし都のことを言われバツが悪そうです。あれだけ都に憧れた義仲が、どうして都の管理を行家に任せるのか。公家の作法を知らないからなんだろうけどさ…それならそうと、本編で語って欲しい。痒いところに手の届かないドラマ、それが大河義経ですっ。

新しき国のために源氏同士がいがみ合うことなく平和を作りたい。そんな理想を語る義経義経ってもう25歳も過ぎてるのに、なんでここまで純なんでしょ…。しかしながら、嫡流の頼朝、現棟梁の義仲、両者譲らず。中間管理職の義経は大変ッス。

平家で育ち「身内の絆」の力強さを信じる義経。対する義仲は「情に甘えると裏切る」「信用しなければ裏切られない」など、そもそも信用や絆の類を真っ向から信じてません。この対比表現は、義仲が討たれる時にも別の形となって完結しそうです。


義高の言付け
絆の話、源氏が協力し合う話は最後まで平行線。そこで義経は、伝家の宝刀・義高(富岡涼)を引き合いに出します。「息災しております」と伝えるも、義仲は源氏で結束することをを頑なに拒んだ。それに引け目を感じたのか、義高に「すまぬ」と伝える。突き進みすぎた義仲、もう後には引けないんですね…。ラストシーンは義仲の武士の仮面が緩み、一瞬お父さんの顔に戻ったところなんか、とても切なかったです。