815. 第11回 - 嵐の前夜

奥州平泉の出来事は丁寧に描かれました。奥州藤原家の人々が義経に心打たれるまでの過程が、短い時間の中にも上手くまとまっていましたね。これだけじっくり事を進めてくれるなら、時間がないからとご都合主義で話を進展させるのもご愛敬か、と納得します。

しかし後半があまりにひどい。展開が早すぎて付いていけない。重大な出来事が次々に起こるんだけど、物語ではなく日本史の授業の如く出来事が闇雲に紹介されてくだけなのだ。ハッキリ言って、予備知識無しに一見しただけではとても覚えきれない。これだけの内容を素人に理解しろと?


ウタノマエ

  • 冒頭、家来達四人の告白をノンストップでオンパレード。
  • 見てるこっちが恥ずかしい。
  • 家人と家礼の違いについて。家人は一人の主に仕える。家礼は複数の主に仕える。
  • 九郎義経滝沢秀明)の家来は、そのどちらでもない珍しい例。家人と何が違うの?


義経の功績

  • 義経は夜通し藤原家の次男・泰衡(渡辺いっけい)を捜索。
  • あまり白くもない白馬の愛馬「白童子」に乗ったまま山を下る。よく頑張ったのは白童子の方で、義経だけがすごいわけではない。
  • だけど結局、義経は自分の足で山を降りてる…。
  • 崖に落ちて傷付いた泰衡を発見。足を痛めて川の水も飲めなかった。
  • 義経の胸に泣きじゃくる泰衡。この時の実年齢と年齢差が分からず、感情移入しようにも難しいものがある。義経は17歳だけど、泰衡はこの時何歳?
  • 藤原秀衡高橋英樹)は、無謀な行動を振る舞った義経を叱りつけた。
  • 長男・国衡(長嶋一茂)と三男・忠衡(ユキリョウイチ)が義経に質問。
  • 義経には二つの考えがあり、単身で泰衡の捜索に向かったと独白。
    • 1. 秀衡は本心から泰衡を諦めたように思えなかった。実親は子を慈しむはずだと。
    • 2. 武士としての武運と勇気を試したかった。
  • どのように泰衡を捜索したか?
    • 泰衡が木の幹に刀傷を残していたので、これを手がかりにした。
    • 方角は北斗星を確認。
    • 平泉の崖攻略は、鞍馬倉で修行をした賜物。
  • 義経の回答を聞いた国衡と忠衡。以後は義経を認めるのかな?
  • 泰衡は義経の勇気にいたく感謝した。義経に新しい立派な屋敷を与えた。
  • 秀衡も「無謀であったが…見事!」と義経に感激。立派な刀を与えた。
  • 義経の家来達にも馬が与えられた。藤原家一同から陳謝される。
  • 藤原家はいくらなんでも義経に貢ぎすぎだ。


新しい生活

  • 「うつぼ(上戸彩)もここに移り住んだことは、申すまでもございません」ってオイィィ!! いや、それはおかしいでしょ。弁慶が先週あれだけ危惧してた事を、こうもあっさり破るのかよ。つか、血気盛んな男ばかりの屋敷にうつぼが単身移り住むって、どう考えても危ないって。上戸彩は危ないって。
  • 馬に乗れない弁慶(松平健)。それを冷やかす伊勢三郎南原清隆)。家来達も仲が良くなってきており、微笑ましい。
  • うつぼ「兄の不始末の代わりに、一生かけて義経の役に立ちたい」と再度告白。うつぼはドラマが終わるまでに、何度コクることになるんだろ。
  • 義経は「うつぼはうつぼの道を見つけることだ」「夫婦となり、子の母となることだ」と説得。告白の返事を据え置くことで全ヒロインの同時攻略を狙います。
  • うつぼと義経の、このもどかしさはなんだー! もうお前等くっついちゃえよ!
  • 義経の武勇伝を聞きつけ、平泉の豪族たちはこぞって義経へ嫁取りの話を申し込む。義経は申し出を断る日々。
  • うつぼが義経の奥方であると噂されている。
  • 黒薔薇の家来四人衆が、現状の義経とうつぼの立場や関係を、視聴者に分かりやすーく説明。


うつぼとの別れ

  • 佐藤継信宮内敦士)と弟の忠信(海東健)が訪れる。「しのぶ」の結婚を断った事に異議を申し、「しのぶ様のどこが悪いのだ」と詰め寄った。
  • 義経は、住まいも居所もない自分には妻を得る器量が無いと説得。全ヒロイン同時攻略のためには止むなしの説得だ。
  • 竹とんぼを作る義経。和やかな夕暮れの最中、突然うつぼは都に帰ると発言。
  • 当然これは、義経とうつぼの間に立った噂を察しての決意。
  • 弁慶はうつぼの提案に賛成する。元は禁欲生活が普通の坊さんだから、弁慶がうつぼと共住を嫌う理由は分からなくもないんですよね。周りの人も、少しは弁慶の事情を察してあげてほしい。
  • 川を下って都に帰るうつぼ。家来達は口々に礼を言うが、義経は無言でうつぼを眺めている。
  • 喜三太(伊藤淳史)は無言の義経に「うつぼに何か言葉を」と発言を促す。
  • 「嘘だからね! こんなところ、つまらないなんて! 退屈だなんて!」「楽しかったよ! 都に、必ず都に戻ってきて!」うつぼは義経の邪魔にならないよう、精一杯の気持ちを伝える。
  • 「ああ!」えええーー! 義経さんっ、アンタ返事はこれだけッスかァァ!?
  • 船上で切なげに「必ず戻ってきてェ…」とつぶやく最後の台詞は、寂しさの感情がこもっていてお上手でした。


忠信との友情

  • 忠信と義経が夕陽を眺め語り合い。
  • しのぶには、前々から言い交わした許嫁が居た。
  • 義経は、忠信のしのぶに向けられた想いを察していた。
  • 視聴者サイドはそんなものを察する暇もなかったぞ。
  • 「我らはしのぶ殿に、袖にされたな」と二人が苦笑い。
  • 夕陽をバックに忠信と義経が相撲。
  • 「しのぶ殿の、何が良かったのだ?」「しのぶ殿は、なでしこのようで…!」「よーし、まいるぞ!」
  • 何この陳腐な青春物語ーーー!!!
  • 秀衡は義経を平家に引き渡すつもりはなかった。
  • 代わりに「奥州の産物を御所へやればよい」と。
  • 秀衡は義経のことに触れることなく、御所へ砂金や鷹の羽などを贈った。
  • これは間接的に「奥州藤原は平家を恐れていない」ことを示唆する意思表明だった。
  • このことが源頼朝中井貴一)にも伝わる。頼朝は奥州の態度を面白いと高評価。


時子の謀略

  • 後白河法皇平幹二朗)の隣には妻の滋子(中江有里)、帝・高倉天皇馬場徹)の隣には徳子(中越典子)。それら姿からも平家と朝廷の仲の良さが表れていた。
  • 平家の女子衆。大河ドラマ義経」で女ばかりが三人以上集えば、どろどろした密会が始まる……!!
  • 庶民の戯れ言に一喜一憂する女子衆。そこに清盛の妻・時子(松坂慶子)様が現れる。
  • 時子は「藤の咲く頃の 巌の鶴」
  • 重盛は「八重の白梅」
  • 重盛(勝村政信)の妻・経子(森口瑤子)は自分が「蓬」と例えられたことに納得がいかなかった。
  • 経子は「蓬」には花がないから不服だと。しかし時子は「蓬」は丈夫だと褒めた。
  • 褒めてるのか貶してるのか分かりにくい…。
  • 滋子が病に倒れ亡くなり、後白河法皇は悲しみに暮れる。
  • 少し時期が移って、天変地異が都を襲う。
  • 鹿ヶ谷で平家討伐の密議が行われていたことが発覚する。反乱を事前に収めた清盛。
  • 太っちょ重盛とノッポ知盛(阿部寛)は、朝廷にも何らかの制裁を加えるべきだと主張。特に重盛は「法王を死罪にせよ」と過激な進言までした。
  • 後白河さんは気が狂う寸前ですか? 極めて精神が衰弱してますよね。
  • 後白河さん、遂にはジャミラ化!
  • 人物出まくり、専門用語出まくり、時代流れまくり、場面変わりすぎ、マジメに訳が分からねェよ!
  • 総じて展開早すぎ。素人に優しくないにもほどがあるよ。もっと丁寧に進行して下され。


御所と平家

  • なんかナレーションが色々難しいこと言ってるうちに時代も流れてました。
  • 帝の子を孕んだ徳子は出産のため六波羅へ移る。
  • 時子様と領子(かとうかずこ)の秘密の密会。恐ろしく陰湿な会話が始まりそうな予感。
  • 領子「オッホホホホホホホ…姉上」高笑いから始まる密会。どこの悪の総本山だよ。
  • 時子は、もし姫(女の子)が生まれたら、男子として育て世を欺くと宣言。
  • 「帝の子の出産は、余にとっても嬉しいこと」「中宮の見舞いに参った」後白河さんは徳子を見舞うため、自ら清盛を訪れた。
  • 泥遊び? 土偶遊び? 粘土遊びみたいなものに誘われる後白河さん。
  • 中宮の出産を願い、女子達が心を込めてお守りを作っていた。後白河さんも作ると願い出る。
  • 後白河さんを眺める清盛の目は厳しい。何この微妙な関係。
  • どうやら、めちゃめちゃ時代が流れた最中に、後白河さんと清盛の関係に亀裂が入る原因が起こったようなのですが、何が原因でこんな微妙な関係になったのか未だ分かりません。一番重要なところをスルーしすぎだよ…。


脚本の構成が歴史初心者に親切設計じゃないのでしょう。登場人物の多すぎるし、その割にほとんどの人物は重要度が薄い(一部重要人物以外は登場しても毒にも薬にもならないギャラリーと同じ)し、情報が煩雑すぎて戸惑うばかりです。歴史好きな人は、有名な○○さんが登場するだけで喜んじゃうだろうけど…。マニアと一般人の格差は開くばかり。お願いだから、分かりやすさを意識して脚本書いてほしいです。

福岡で震度6弱地震。死傷者が多くて、本当に心配です。