1757. 肛門外科医マンガ「ふたりはおしり愛」を読んでみた

先週末は大阪に帰省し、二夜連続の関西オフ(初オフおっぱいオフ)を堪能しました。二日目のおっぱいオフで、「マンガ本のジャケ買いプレゼント交換」を行いまして、当方はサヤカさんからこの本を頂戴しました。


ふたりはおしり愛 1 (ジュディーコミックス)

ふたりはおしり愛 1 (ジュディーコミックス)



高田りえ先生が『Judy』で連載中の「ふたりはおしり愛」です。


作品紹介

この本をジャケ買いされた張本人のサヤカさんは、その内容までご存じなかったと思います。どうしてサヤカさんはこの本を手に取ったのか。結論からいくと「タイトルがBLっぽい」とかそんな次元の低い話じゃありません。その動機は、コミックス第一巻の背表紙で述べている、作品解説にありました。

患者の心に花を咲かす罪な男…久楽武童。
しかし、顔も仕事も超一流な肛門外科医の正体は、ただの自己中男だった!?
武童の腕に惚れこみ、久楽医院に住み込みで働くことになった麻子。
しかし、白衣を脱いだ途端ダメ男に豹変する武童の生活まで面倒を見ることになる。
ナンダカンダ言いつつ、何やら2人の雰囲気はイイ感じになっていき…?

なるほど、肛門外科医ですか。

武童が一流のオペでメスを執れば、女性患者はたちまちメス犬状態なんですね。武童が菊という名の患部を慰め、患者の心に菊という花を咲かせる展開ですね。なんて罪作りなイケメンドクターでしょう。背表紙の解説文だけでも、あらぬ妄想が膨らみます。これをジャケ買いするのは当然というもの。



作家紹介
オレは週刊少年ジャンプ以外のマンガってほぼ守備範囲外で、特に少女マンガといえばこんなネタ感想しか書き残していません。そっちの業界に疎いので、『Judy』が一体どの読者層を狙った雑誌なのかも読み切れません。本作を読んだ感触から行くと、大学生〜働く女性層の20代〜30代中盤がメインターゲットでしょうか。

作者の高田りえ先生も、もちろん名前は尻…知りませんでした。Web上を眺めても情報は薄く、「ふたりはおしり愛」が二作目らしいことしか分かりません。どうやら最近でビューされた作家先生のようです。作画はしっかりおり、登場人物の顔がコロコロ変化する表情の豊かさは特記に値します。美形を崩しても描ける点は好感が持てます。

本作の主人公・麻子は、高田りえ先生のお尻合い、もとい、お知り合いがモデルなんだそうで。モデルの方も『肛門外科医の麻子先生』らしく、当人には相当な羞恥プレイになっていると思われます。作中の麻子ははつらつで元気な女の子ですが、可愛らしく描かれている分、余計にこそばゆいだろうなと。

コミックス第一巻では、一話完結の短編ベースで小気味よく「久楽医院」周辺の人間模様を広げています。一話単位での起承転尻、もとい、起承転結がキチンと構成されていますので、息抜きしやすい作品でした。読者をグイグイ引き込む重力は弱いけど、安らいだ気持ちで読んでいられる作品です。


ジャンルは「医療」より「恋愛」がメイン

序盤こそ「肛門外科」に纏わる医療・医学のキーワードが続々登場するものの、話が進むほど肛門エピソードは薄れます。武童や麻子をとりまく人間関係にスポットが当たり、誰々が付き合っていただの、因縁関係だっただの、恋愛要素が膨らむ辺りは、いかにも女性向けマンガという心象を抱きました。

『肛門外科』というテーマはあくまで出オチだったわけで、後半に入るほど「久楽医院は町の小さな診察所なら肛門外科じゃなくてもよかった」という尻論、もとい、結論に行き当たります。あるいは、(編集部の意向やファンの想いを汲んで、恋愛要素をいメインに描くよう補正したのかもしれません。

しかし、一男性読者、一ファンとして述べさせていただくならば。『肛門外科』なんてオリジナリティ溢れる題材だからこそ、高田りえ先生には、他の女性向けマンガには真似できない、絶好調にマニアックな描写・展開を期待してしまうのです。コミックス2巻以降では、ぜひ挽回されると嬉しいなあ。


一般受けしそうな題材

『肛門外科』はある種の秘匿的な世界観が成立しています。大多数の人間には、ソレがどのような現場か想像が尽きません。あるいは、現場で働く肛門外科医の本音にも興味があります。一日に何十本、何百本もの『他人のお菊様』を直視しながら、彼ら・彼女らはどんな心境にあるのか。どんな面白エピソード、過酷エピソードを握っているのか。題材がお尻だけに、掘れば掘るほどいろんな具材が出てきそうですよね。

『人間の一番恥ずかしい局部』を世界一視姦している職業としては、風俗業にならんで同率首位と思います。「風俗業」をテーマにした作品は世に溢れる一方、「肛門外科」の作品は数えるほどしかありません。未開拓の領域に切り込む作品としては、多大なエンターテイメント性を秘めているのですよ、本作は。

かように低俗な発想ばかりで恐縮ですが、いつ化けてもおかしくない作品だと断言したいです。


まとめ

コミックス一巻の印象としては、「恋愛要素が多く、医療要素が少ない」という尻点、もとい、欠点が目に付きました。繰り返しになりますが、肛門外科医の医療現場をもっと生々しく観察したいです。

「イケメンにして一流ドクター」である武童のような完璧男は、男性読者から疎まれるのが普通です。ところが、崩すところはキチンと崩していて人間味があるし、常に本質だけを見つめて行動できる男なので、人として尊敬できます。そのあたり、男性読者から好感を得ている秘訣かもしれませんね。

麻子&武童はキャラクタの完成度が高く、女性読者にも男性読者にも好感を得られやすい人物です。「物語の続きが尻たい(知りたい)」というよりも、「こいつらの日常をもっと眺めていたい」という訴求力がありました。

さてさてマンガ、『肛門外科』を深掘りして恋愛要素と医療要素の二本柱が磐石になれば、TVドラマ化も狙える題材でしょう。先述したとおり、未知の世界を紹介するエンターテイメント性は注目を集めますし、主人公格に好感を抱けるので、役者を応援したくなります。

コミックスは既に三巻目へ突入したとのことで、続きも読んでいきたいです。