1755. 週刊少年ジャンプ45号 - バクマン。 8ページ『アメとムチ』

月曜日までに感想を逃すと、途端にマンガ感想を書くモチベが下がる不思議。どっかで意識改革せねば…。

今話の要点

  • 秋人の家庭環境が語られ、現在は放任主義と判明した。
  • 服部編集も明確な評価はできないまま、とりあえず最高たちを「キープ」した。
  • 原作へのダメ出し、絵へのダメ出し、共に無難な内容だった。
  • 秋人のリアクションは大きく、最高はノーリアクション。
  • 恋と仕事は、二人の反応は正反対。
  • 成功するマンガ家は「天才タイプ」「計算タイプ」の2タイプある。
  • 大ヒットを飛ばせるのは圧倒的に天才タイプの方。
  • 計算でヒットが出せる人は連続でヒットを出して出世できる。
  • 「作品をヒットさせるのは博打」の一言で、最高は服部編集を信用した。
  • 最高と美保の席が隣同士に。今週も周波数はぴったんこ。

ポイント考察 - 斉藤編集の評価
先週の感想では、斉藤編集どんな反応を示すか、評価ケースごとに予想しました。

  1. 持ち込み原稿 → 褒める  最高と秋人の評価 → 才能を買う
  2. 持ち込み原稿 → ダメ出し 最高と秋人の評価 → 才能を買う
  3. 持ち込み原稿 → ダメ出し 最高と秋人の評価 → 最高だけ評価される
  4. 持ち込み原稿 → ダメ出し 最高と秋人の評価 → 秋人だけ評価される
  5. 持ち込み原稿 → ダメ出し 最高と秋人の評価 → ダメダメ

結果は(2)でしたね。前回の言及で懸念していた下の条件も、ひとまずクリアです。

『18歳までにアニメ化』を達成するには、(1)か(2)でないと間に合わない気がするのですが…。

斉藤編集は『オトナの意見』として、同じマンガ十人十色の評価を抱くと述べました。ですが、プロである彼自身の評価はまんざらでもなさそうです。編集部に戻り「3年後には(新妻エイジを)追い抜いてると思います」と言い切った点からも、斉藤編集個人はずいぶん高評価したと見て取れました。

最高も作中で述べましたが、「誰もが突っ込みそうな欠点」の指摘は、本人も大小あれ自覚しているものです(秋人は違ったけど…)。その辺りのダメ出しはあってないような空気評価ですし、この二人なら近々にも改善できることでしょう。

今回の見所は、斉藤編集が本質的なところで二人の才能を買ったという一点に尽きます。


ポイント考察 - 「挫折しない」という不幸
先週はバクマン。の感想を手広く読み回っていたのですが、世論はずいぶんと『最高と秋人の挫折』をご所望の様子です。当然、オレもこれまでの感想では、『挫折』を期待する言及を繰り返してきました。ですが、多数派の予想に加勢してもユニークな感想は書けません。この辺りで、オレは反旗を翻すとします。

つまり最高と秋人は、極端な挫折をしないサクセスストーリーを歩むという予想です。

考えてみますと、挫折しないというのは実に不幸なのです。『失敗は発明の母』というコトバの通り、常に順風満帆であるよりも、多少は敗北を期して土の味を知った方が、成長の機会に恵まれるのです。負けを知ることで無用な自惚れも削れます。負けることで貴重な下積み経験を重ねることだってできます。

例えば、若手の時期にしか下積みできないことってあるじゃないですか。最高たちがストレートに連載を持ったりすると、彼らはアシスタント経験もなくマンガを描くことになります。アシスタントの実体験があればスムーズな共同作業が適うのに、それを知らないことで無駄が発生したり、無用な衝突を招いたり…。

階段はワンステップずつ登ってこそ、地力が付くもの。華々しい活躍の連続で「挫折の打開」や「下積み」の機会を失うことは、単純に成功し続けることよりも損をする可能性があります。早すぎる出世は下手なプライドを生みますし、周囲の評価も一段と厳しくなります。

大場先生はまさに、「挫折しないことによる不幸」の表現に焦点を絞っているんじゃないか。この予想へと路線変更します。


ポイント考察 - 「挫折しない不幸」を描くのはどの時期か?
そうは言っても物語にはスリルの起伏があって然るべきですからね。「挫折しない不幸」という挫折も必ず描かれるハズです(ややこしい!)。つまりは、ここから先、最高達が振るサイコロは怖いくらい成功判定が続くのですが、最も重要な局面で不幸(=「挫折しない不幸」という挫折)が訪れるということです。

まずは、成功判定が下る主なイベントを書き並べてみましょうか。これは、第3話の感想で逆算した『18歳までにアニメ化が決まるまでの道のり』をベースにします。(年齢は満年齢とします)

  • (15歳)持ち込み原稿で好評価を受ける
  • (15歳)持ち込み原稿であっさり「月例賞」を受賞する(佳作など)
  • (15歳)最高と秋人が谷草北高校に合格する。(たぶん香耶も)
  • (16歳)声優の進路をとった美保とメール交換し、連絡のやりとりも順調にいく。
  • (16歳)読み切りの掲載が決まる。
  • (16歳)赤マル掲載が決まる。(連載マンガのたたき台)
  • (16歳)本誌読み切り掲載が決まる。(赤マル原稿の焼き直し)
  • (17歳)最高&秋人がWJで連載を開始
  • (18歳)アニメ化決定

補足しますと、このリストは『ジャンプマンガは連載開始から(最短でも)一年半ほどの期間を経てアニメ化する』という逆算に基づきます。高2で連載を初めて、大1でアニメ化になっても、ギリギリの範疇で「18歳までにアニメ化」の条件を満たします。(満年齢で表記するとちょっとややこしいよね…)

ここで考察すべきは、『挫折しない不幸」という挫折』をどこに当てるかということ。作中目標が「18歳までにアニメ化」としているので、18歳までにもう少しでアニメ化……と言うところで打ち切りとするのが、実のところ最も劇的に思えます。

逆説的な予想をしますと、この過密スケジュールをして、中途半端なところで挫折されたら18歳までにアニメ化が間に合わないんです。読み切りや赤マルで不評だった程度ならなんとかリカバーできるかもですが、「連載10週で打ち切り」という挫折は時系列的に不可能という。

そうであるならば、いっそ『サクセスストーリーの呪い』に流されてアニメ化直前まで行き、クライマックス(?)でどん底に落ちた方が、作中目標を有効活用できるのです。


次回予想
今週の最高はとってもリアリストだったので、その反動から次週はとってもロマンチストになりそう。美保の隣で美保のシャンプーの香りを感じて骨抜きになってそう。

一方の秋人は、今回のダメ出しに深く傷付いてそう。彼は結構涙もろいところがあったから、実はナイーブな心を持ってたりしてね。でも慰めたらすぐに復活しそうですけども。頭脳明晰でおよそ挫折を味わってない秋人だからこそ、今回の些細なダメ出しにも過剰反応して凹んでそうな姿が浮かんでくるのですが…さてどうか。

次回以降は、秋人も最高も今回の指摘を受けて欠点を克服している最中、編集部では「月例賞」が決定する…という並行展開になると予想しておきます。でも大場先生のことだから、次週にはどちらの結果も出てたりしてね。


残存するキーポイント
これまでの感想で予想した内容をまとめています。

  • [高][08-] 最高も秋人も挫折しない。「挫折しない不幸」を味わうことになる。
  • [高][08-] 『二つの地球』が月例賞を受賞する。(佳作でもOK)
  • [高][05-] 第5話の『作画講座』同様、『原作講座』も大々的にページを割く
  • [高][03-] 最高の父の正体(マンガ編集者の部課長クラスと予想)が明かされる
  • [高][07-] 服部は編集者の立場として、最高&秋人の強い味方になる
  • [中][03-] 父とおじさんの過去エピソードが語られる
  • [中][06-] マンガ雑誌『少年スリー』は今後も何らかの形で再登場する
  • [中][07-] 香耶も谷草北高に進学する
  • [中][07-] 高校進学以後、秋人は香耶を使って「美保の情報」を入手する
  • [低][03-] 祖父の正体が明かされる
  • [低][06-] 中学の同級生「石沢」は意外とプロになっちゃう


これまでのバクマン。感想