1744. 週刊少年ジャンプ42号 - バクマン。 5ページ『時と鍵』

姫路旅行で乗り遅れた挙げ句、仕事がゲリラ豪雨の状態です。ジャンプ感想は平日に書くモンじゃないよ…。


今話の要点

  • テスト中に爆睡した最高。「私も眠る なんて」とか思ってそうな表情の亜豆。
  • 最高が秋人へ仕事場の合い鍵を渡す。
  • Gペン、カブラペン、背景、トーン、ホワイト……マンガの描き方講座。
  • 最高と秋人は進学レベルを落として「谷草北高校」を目標にする。
  • 「馬鹿な学校の方が勉強する必要ない」
  • 『男の五大条件』『おじさん流マンガ家の三大条件』を提示。
  • 「こうして 毎日ひたすら僕は絵を描き シュージンはマンガを読んだ」
  • 15歳の超新星新妻エイジ手塚賞準入選を獲得!


ポイント考察 - 高校進学します!
前々回の感想で述べた『中卒コースは確定』という予想は見事に打ち砕かれました。

それでは逆算してみましょう。18歳までにアニメ化が決まるまでの道のりを

18歳 ... アニメ化決定
16歳 ... 最高&秋人がWJで連載を開始
15歳 ... 新人賞受賞、赤マル掲載、本誌読み切り掲載
14歳 ... 新人賞に応募、あるいは持ち込みで評価を受ける

はい、改めて言わせてくださいね。18歳でアニメ化て。これで中卒コースは確定です。

少年誌で中卒を推進する物語性は問題があると常々考えていました。もしも最高が『本気でマンガ家になるためには高校の勉強なんて一切不要』といった極論を唱えていたら、マンガ作品に感化されやすい小中学生に及ぼす影響も深刻です。道徳的な意味合いにおいて、最高や秋人に『最低限の高校進学』をもたらすのは重要とも思います。

  • 「18歳までにアニメ化 1秒も無駄にできねー」
  • 「俺 高校もう谷草北でいいと思ってる」

振り返れば上のセリフだって、最高の意見はチグハグなんですよね。一秒も無駄に出来ないほど絵の練習をしたいなら、一般教養を勉強してる暇もないハズです。彼の口振りからして、高校進学は「母親を心配させないため」だけの理由でしかありません。最高自身が高校から得ることは何一つないというスタンスが気になります。 そんな中途半端でいいの? とか思っちゃうわけですよ。


ポイント考察 - 高校生活で最高が得るものとは?

オレ個人の意見ですが、高校教育の最大の存在意義は『将来の選択肢を一つでも増やすため』と考えます。物語を作るためには多様なる知識を摂取すべき秋人はともかく。既に『漫画道一筋』を決意した最高に、高校教育は不要な気がするんですよ。(勉強だけが高校じゃないけどね!)

先に述べた『道徳性の事情』とは反する感想になりますが、この期に及んで高校に行く気満々の最高には、まだまだ油断も隙もあると思わざるをえません。加えて言えば、バクマン。』という作品において高校生活は必要かとも感じます。

そりゃ、学生生活を挟んで新キャラ投入や脇道の伏線も組めるけどさ。バクマン。』に期待する読者が望んだ展開になるかという問題。一般生活(高校進学)と特殊生活(漫画家志望)の比重は、極論、どこまで前者を切るかが課題になります。

『18歳までにアニメ化を目指す』というアンリアルな夢を実現するに、『道徳性(高校進学)』を取るか『現実味(漫画家志望)』を取るか。そういったリアリティの側面を頭の隅に残しながら今後を読み進めると、制作サイドの胸中もちょっぴり読み取れそうな気がしてします。


ポイント考察 - 毎日ひたすらシュージンはマンガを読んだ
東大を諦め三流高校を目指し、毎日ひたすら漫画を読み始める秋人。彼は着々と『ダメンズ』化しています。
もちろん、漫画を読むだけでも地力にはなるでしょう。ですが、秋人が今すべきことはネームの何たるかを知ることじゃないかと。

今話に至るまで、ネーム作成の描写が一切見当たらないのは違和感がありありです。今話は『作画講座』だけに集中して、次回は『原作講座』になる構成上の分類が為された可能性もありますが…。俺はまだ本気を出していないだけですか。

あるいは、ネームの勉強は大量の漫画を読んでからでも遅くないという、秋人なりの余裕でしょうか。彼は学年トップクラスの成績を維持できるほど要領のいい人間です。きっとネームの方も、早々にコツを掴み『素人以上プロ未満』の品質で仕上げてきそうな、最低限の説得力は残っています。

ただ、今現在「原作作家」に憧れを持つ小中高生がバクマン。を読んで、秋人に憧れ、彼の影を追うように毎日ひたすらマンガを読んだらダメ人間になるよ! 思うに、最高や秋人の意見からは「現実を知らない素人から見た下手の考え」感が抜けないから、彼らの考える『これから展望』や『修行法』にも、いまいち不信感が募るのです。

この点、「これは最高や秋人だからできるキレ芸」だと信用させていただきたいです。


ポイント考察 - 絵も話も上限ないじゃん
個人的にこの下りは名言でした。

最高「絵も話も上限ないじゃん より良い方がいい」

絵や話や音楽や、芸術、芸能など『表現の世界』には天井なんてない。出来ない者から脱落する。妥協した者から成長が止まる。一作品作るごとに満足心と充実感を得てモチベーションを上げながら、次の作品に繋ぐ『向上心』が必要という話ですね。

バクマン。』は名作漫画というより、名言漫画寄りのノリなんですよね。「すげー!」と面白がって読むよりは、「へぇ〜…」と感心しながら読むタイプのマンガ。


ポイント考察 - 東大出の漫画家はカッコ悪い?
これは異を唱えたい点。いつも面白いなと思ってた人が、低学歴だったと知っても、「学が無くてもこんなに面白いのか! この人が真面目に勉強したらすげーんだろな!」と感心します。高学歴だったと知っても、「こんなに面白いのに勉強も出来るんだ! 万能人間だなあ、反則じゃないか!」と感心します。学歴はあって減るモンじゃないと思うなあ…。

特にネームを描く人間なんかは、万人の読者を感心させるために『頭脳プレイ』が効きますよね。作中に取り込まれる小道具も多彩になるし、高学歴故の「知識」は立派な武器になるんじゃないかなあと。


次回予想
同年代のライバル『新妻エイジ』が登場しました。小畑作品で例えるところの、ヒカルに対するアキラ、月に対するLのようなポジションですね。

今後、最高&秋人は挑戦者の立場として、エイジに挑むことになるのでしょう。先に登場した「絵も話も上限ないじゃん より良い方がいい」という話もありましたので、囲碁や知能戦と違い、完璧な白黒が付かない世界でのマンガバトルをどのように展開させていくかが、本作の見所になりそうです。

エイジもまた15歳ながら、彼は一人でネームも作画もできちゃうわけです。最高としても「作画でもエイジを追い抜きたい!」って気持ちが膨らまないかな? これまでも「まだ彰人と組むと決まった訳じゃない」発言がちらほら出ていましたので、最高が作画にも手を出して早々に挫折するという展開も予想できます。

ゆくゆくはエウイとの漫画バトルに入ったとして、読者視点からは見ると2人vs1人という構図がアンフェアに映らないかなと心配にもなります。この辺の対策をどう講じるかも見物。むしろ、マンガバトルなんてしないという予想が正解なのかも。


残存するキーポイント

  • [済][03-] 秋人は「18歳までにアニメ化」の無茶さを思い知る → 谷草北高へ進路変更を決意
  • [高][05-] 第5話の『作画講座』同様、『原作講座』も大々的にページを割く
  • [高][03-] 最高の父の正体(マンガ編集者の部課長クラスと予想)が明かされる
  • [中][03-] 父とおじさんの過去エピソードが語られる
  • [低][03-] 祖父の正体が明かされる(個人的希望)
  • [低][05-] 『新妻エイジ』の登場を巡り、最高もネーム熱が急上昇する


これまでのバクマン。感想