1686. オトナファミの『SKET DANCE』インタビュー
現在の週刊少年ジャンプの中で、頭一つ抜けてお気に入りマンガが、この『SKET DANCE』です。赤マル掲載時から連載を心待ちにして、篠原先生情報を追っかけていましたし、他のマンガと違い思い入れも一層深いです。
- 作者: 篠原健太
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/07/04
- メディア: コミック
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近頃は、毎週ジャンプを買う度に打ち切りか否かでヤキモキして、精神力が磨り減っていますけれども。今週の表紙とかは心臓に悪すぎた。しかしアレさえも、篠原先生流の『読者を騙す企み』の一つだったと思います。オチが表紙と繋がってるのも、芸が洗練されていてお上手ですよね。
おっと、今回はマンガ感想じゃなくて、コッチの話題です。
2008年7月号オトナファミで、昨年に続いて二度目となる『NEXTブレイク漫画 青田買い! ランキングBEST50』のが発表されました。これに『SKET DANCE』が第10位にランクインしています。なお、『初恋限定。』が第31位にあることからも、オトナファミのランキングとWJ本誌の人気には、関連性はないと思われます。
オトナファミの読者層から勘繰るに、『SKET DANCE』も『初恋限定。』も、玄人好み(大人の漫画好み?)の作品なのでしょう。本誌の状況を見る限り、喜んでいられる状況じゃないってコトです。覚悟はしているけれど、さすがに今回こそ、打ち切り回避は難しいだろうなあ。…また話題が逸れてしまった。
この記事中に、篠原健太先生へのインタビューがありました。WJの連載作家が、連載中に他出版社の他誌でインタビューを受けるのは、極めてレアケースなことと思います。『オトナファミ』という、マンガ雑誌と競合しない雑誌だからこそ実現したのでしょうか。
インタビュー内容はそれほど長くないですが、気に留まった部分を取り上げておきます。
ボッスンは自分の分身のようなもの
ファンの間では語りぐさになっていますが、主人公・ボッスンは篠原先生の人物像とカブって見えるんです。きっと自身を投影した主人公を描いてるんだと思ってました。小ネタやツッコミ、セリフの節々からもそれを感じます。公式発言でご自身から認められているのを見て、微笑ましく思いました。
器用さだけが取り柄とか。主人公以上に目立つキャラが登場するとヤサグレるとか。絵が異常にウマいとか。肝心なところでヘタレちゃう精神力の脆さとか。そういったキャラクタの特徴までも、篠原先生っぽく読めちゃうのですけれれど…。どうなのかな?
漫画家になろうとしたきっかけは、勤めていた会社を辞めようとしたとき
元サラリーマンだったとは! デビュー作は2005年赤マルの『レッサーパンダ・パペットショー』でした。この作品も覚えています。この主人公が、ボッスンの原形(髪型が類似)なのかなと勘繰ってました。篠原先生”らしさ”ともいえる特徴、読者を騙す『トリック』もこの頃から健在でした。
子供の頃から絵が描くのは好きだったので(中略)具体的な努力はほとんどして来なかった
く、くそう! なんてエリートな発言を! 『SKET DANCE』の売りの一つに「七色の絵柄」があります。アレをデビュー前から会得していたと思うと、学生時代はもちろん、社会人時代にも絵を描き続けていたのかなと。その才能に嫉妬します。
同時に思ったのは、今現在、Web上や同人などで絵や漫画を描いて活動されている社会人の方も、篠原先生と同様のチャンスがあるってコトなんですよね。ちょっとしたキッカケから漫画家としてデビューして、とんとん拍子でアシスタントから連載作家に成り上がるという。漫画家への道ってすごく遠いように見えて、実は身近なのかもなあと思った次第。
連載が始まってからは、生活スタイルがかなり変わりましたね。週刊誌連載なので漫画漬けの毎日です。
自分も今、チョットした原稿作業に追われているので(マンガじゃないけども)、このコメントは共感できる部分があります。本を作る作業ってものすごく手間暇が掛かるし、アイデア一つひねり出すだけでも、相当の精神力を消費します。
こと『SKET DANCE』は、高密度・高濃度のギャグコメディマンガ。しかもキホンは一話完結型。原文ではサラッと流してますが、壮絶な日々だと思います。一つ言えることは、「漫画漬けは、絶対に楽ではない!」という…。
( 『SKET DANCE』は)自分の持ち味は「コミカルな部分と読者を騙そうと企むところ」と気付いたことで生まれた作品です。
この辺りは、読者の見解(少なくとも自分は)と一致しています。篠原先生はそういう目的で作品作りしてるんだろうなと、ビシビシ伝わってくるモノがありますよね。加えて言うと、『多彩なタッチでイラストが描ける』『奇抜なキャラクタ造形』あたりも、篠原先生ならではのウリだと考えます。
特にキャラクタ造形に関しては、こんなアホキャラ(褒め言葉)を量産できるからこそ、一話完結型のコメディが務まるのです。『SKET DANCE』は奇抜な事件や、妙なイベントなんか無くなって、部室でウダウダやるだけで楽しいんですよ。それは偏に、各キャラクタからそれぞれ異なった魅力が溢れている賜物です。
コメディタッチでたまに学園探偵的なノリにしたいという思いもありました。
といいますか、そもそもボッスンの『特技は集中力』というネタは、「学園探偵的なノリ」あってこその能力だったんですよ。それがコメディタッチ重視になったモンだから、ボッスンの能力は見事に空振りし続けて、現在に至ってるわけです。
それがボッスンにとって美味しい結果になったところまで、篠原先生の計算尽くなのかどうか気になります!
学園ものなので、ゆくゆくは行事関係のネタもやりたいです。
行事関係に手を出すと、やはり中編から長編を意識されるのでしょうか。ピクシィ見つけたの黒歴史の件もあったことですし、しばらくは短編を続けて、そっとしておいてほしいですが…。一方で、部室から離れての修学旅行や海合宿など、舞台背景を一新してのイベントを読んでみたいという欲求も高いです。
女の子キャラも多く、夏も近いことですし、週刊少年ジャンプですし*1、海イベントは鉄板かなあ。学園モノだから学校のプールを使って終わりそうな気もしますけど…。
たまには番外編も。
新キャラが溜まってきたら、そのキャラの意外性を見せるための劇中劇なんですよねコレ。レはアレで、学芸会的なノリで傍観することにしています。内容は本編よりも飛んじゃってて、やたらと高密度・高濃度ですし、申し分ないです。次は冬頃かな?
そして、やっぱりメインキャラの過去編、これを書く日が来るのを楽しみにしています。
このインタビューを受けた頃は、スイッチの過去編に差し当たった頃だったのでしょうか。ヒメコ過去編、ボッスン過去編、そして三人の出会い編。まだまだ隠し球がありますし、今後が楽しみな作品です。打ち切りを回避できればの話なんですけれど…。
『SKET DANCE』の連載が始まった第一回から、「ああこれはアニメ化まで行けるな!」とか余裕で思ってたんですが、今や生きるか死ぬかの境目。ムヒョロジにしても、エム×ゼロにしても、ことごとく自分は「選定眼」がないのだなあとガックリきます。
来週から新連載の波が来ます。どうかこの記事が最後の『SKET DANCE』特集になりませんように…。
【要注意】当方は打ち切り情報を極めて嫌う質の人間です。悶々とする期間を含めて週刊少年ジャンプを楽しんでおりますので、どうかネタバレコメントはご容赦ください。*2