1436. 先行感想 - 謎の村雨くん 第1話「絶対に秘密」

いやあ、懐かしい。何が懐かしいって、「謎の村雨城」ですよ。ディスクシステム持ってたんで、このゲームも遊びましたよ。村雨くんのストーリーも、村雨城のベースになぞったシナリオがあると面白いかも。


カラーページはプロの技
カラーの2Pに、主人公・村雨くんの情報全てを封じ込めた。「普通」を演じて密やかに生きる日常と、忍者らしい非凡な技で見せ場も作り。強いインパクトはないが、冒頭で主人公設定を理解できます。プロの安定感にうっとりします。グダグダもといグラナダの悪夢が再来しなければ、長期連載も手堅い。

表紙で先にレギュラーキャラを描くのは最近の主流。ツギハギ漂流作家でも同じ指摘をしてます。読み切りに登場した俳優志望の彼も居ますね。残るピンク髪の女の子、右から二人目の男子は未登場。各自、非凡な才能・個性が楽しみです。


学園モノ? 世界モノ?
忍者の達人、俳優の達人、剣術の達人……色々な個性が眠ってそうな脇役達。ならば幼馴染みのお姉さん・みちるも、実は非凡なる才能がある予感。例えば村雨くんさえも欺くスパイだったり、奇抜なのを求めたい。

彼らが非凡でないと、世界観が学園を飛び出した途端に全員レギュラー落ちです。武装錬金のように「主人公の日常」として妹や友人を描くならいざ知らず。もしもの時のため、村雨くんと助け合える才能を持って欲しいです。第一話時点では、学園か世界か、どちらに進むか読めません。このまま学園内で奇想天外なキャラが登場してワイワイするのが面白そう。だけど村雨くんの能力って、絶対にこの学園じゃ収まらないんだよねえ…。

学園のキャラ見せが終わったら、父親のライバルスパイの息子が転校したり、彼と友情を深めたりして。くノ一が登場して村雨くんに色仕掛けして。それにみちるが対抗意識を燃やしてお色気バトルに走り。これで十話越えて、その後は長期エピソードを描くと。我ながらなんてチープなシナリオ予想だろう…。


テーマは成長
下記のセリフ通り、この漫画の根底に流れるテーマは成長にあると感じます。

父「ちくしょうクナイの奴め とうとう俺の命令を破りやがったぜ とうとう… とうとう… 自分の意思で歩き始めやがった」

少年漫画はもう長いトコ、いわゆるワンピイズムの呪縛されてきました。主人公が保護者と別れることで物語が始まるアレです。「GUN BRAVE WEST」「サンタ-SANTA-」「グラナダ」「ツギハギ漂流作家」などが、この呪縛に破れ朽ちました。…ああ、ツギハギは続いてた。

村雨くんはこれに逆行しています。父親が保護者のまま健在し、主人公の成長に一喜一憂する。BLEACHやリボーンやアイシールドも親は健在ですが、それらの保護者とは別種の存在感です。欠点を正すべく鉄槌を下す事もあるだろうし、或いは任務上のライバルにもなる。

本作はぜひ『大人の包容力』を正しく見せるドラマも描いて頂きたいなあ。今の少年誌に足りない要素と思います。


その他の見所

  • 村雨くんの母親の存在は、リボーン並みに引っ張るべき。
  • バームクーヘンが好物になった背景は、お母さん絡みだったりするんだよね。
  • つまりバームクーヘンの理由も二年間は引っ張るべき。
  • いとう先生独特の「語り」は健在だけど、読切時より灰汁は弱まった? 慣らされただけ?
  • いとう先生の連載って、毎回これが賛否を分ける最要点だよなあ。
  • まさか女性キャラでテコ入れは意外だ。女の子を描く作家という印象がない…。
  • 腐女子層を囲う美形・親友キャラが不足しています!
    • その辺、いとう先生はスペシャリストだから心配しなくていいと思いました。
    • オレのイメージ中のいとう先生って一体……。
  • トラックを止めた後、小道具の証拠は残らないよう取り計らったのでしょうか?
  • 読切じゃ親父さんの「詰めが甘い」で解決したよね。あれで全ての矛盾点をねじり潰せた。