1388. おいでよ、ビジネスの森! - 005

03/18 02:44 内容を一部修正しました。

【これまでのあらすじ】
仕立て屋の姉妹店員に纏わる過去を妄想し、涙ぐむのであった。
その帰り、たぬきち商店でただ働きする自分の身を思い出し、再び涙ぐむのであった。

その日も商店に出勤すると、たぬきちはいつにも増してごきげんだった。ヤツはいい笑顔で「君のおかげで仕事がきれいに片付いたよ!」と告げた。アルバイトも今日で終わりだと言う。もちろん、賃金は未支払いのまま。

オレの直感が『――今夜消される!』と警鐘を鳴らす。その夜、神経を研ぎ澄ませヤツの刺客を警戒したが、何事もなく翌朝を迎えた。「なんだ…本当に仕事が片付いただけか…」と胸をなでおろし、早朝の村を散歩する。

初めて目的もなく歩く村。土や、花や、森の樹木達から、ぽかぽかした自由の香りがした。

ふと、村役場の掲示板前で足が止まる。看板に掲示された趣味の悪いポスターに目を奪われたのだ。次の瞬間、オレの全身にかつてない衝撃が走った。

たぬきち商店 明日、新装開店!!』

野郎、オレの賃金踏み倒して店を改装しやがった!