1335. 先行感想 - メゾン・ド・ペンギン 第一回「耐性強度は偽装してません」

今週号の「メゾン・ド・ペンギン」について、大きくネタバレを含んだ感想記事です。未読の方は閲覧を控えて下さい。


ジャンプの定番を逆手に取って武器にした、大石浩治先生の新連載「メゾン・ド・ペンギン」。主人公のペンギンは、主人公なのにお飾りという一点だけでも独創性あり。表紙弄りから始まり、「○○ページへ急げ!」「プレゼントコーナー」「多く読者は人気漫画に飛ぶ」「〜〜なのは○○だけ!!」など、週刊少年ジャンプそれ自体が大好きな人間には堪えられません。すべてが計算尽くのギャグ漫画です。

大石浩治の「計画通り」
オレ自身「ジャンプの全部」が大好きですから、本誌構造を弄る小ネタその全てに共感しました。きっと来週は「連載二回目は必ずセンターカラー」を皮肉るネタを使うし、三度目以降で連載順が下降する定番も自虐するでしょう。その後も、一見して『人気がないから○○になった』様に見えるものは、全て自虐ネタに取り入れそうです。まるで全盛期のテキストサイトで加熱した、自虐系ブームの格好です。ジャンプの定番を先回りして、ギャグに組み込むテクニックは、ジャンプの仕組みを判ってないと使えない。大石先生は、ジャンプ大好きっ子に違いありません。


残念だった表紙ネタ
「表紙を模写したカラー扉」は、つい先週ボボボーボ・ボーボボが、センターカラーで同じ事やってんですよ。新連載で渾身の一発ギャグが、大御所ギャグ漫画と痛恨の丸被り。かくして全く新鮮味がない。編集サイドもその辺は配慮してやりましょうよ。更に、巻末コメントでは皮肉たっぷりの一言が。

澤井先生「大石先生、新連載頑張ってください。一緒にギャグで盛り上げていきましょう。」

してやったりです澤井先生。初連載にして、早速ジャンプの洗礼を見舞われた大石先生でした。そんな事情はつゆ知らず、大石先生は自身の表紙デビューを奪ったムヒョロジを、巻末コメントで大応援。けなげすぎて泣きそう。大石浩治先生、めげずに生き残って!


各シリーズの感想
四コマ漫画は感想が付け辛く、次週から感想に苦労しそうです。今回は連載初回ですし、各シリーズに全て言及しておきます。

バカ兄弟(一回目)
 カラーページで全裸になる偉業を達成。予想通りの「タワシ大量ゲット」は読者だけに突っ込ませ、話の本題はジャンプ弄りに徹する姿勢が大好き。それにしても兄ちゃん、背中とケツが草野次郎レベルで美麗です。早くも草野ファンが兄ちゃんに流れそうですよ!(ないない)
バカ彦くん
 「バカ兄弟」「バカ彦くん」と、バカで被るタイトルは残念。大人しく「兄弟仁義」にすればいいのにね。今回はあまり笑えなかったけど、金未来杯の時のバカ彦くん(マンホール墜落の天丼ネタ)は絶品でしたよ。それにしてもバカ彦くんと友達の彼が優しすぎます。この二人でカップリング本が生まれそう。こんな感想しか書けないオレは、もう出家した方がいいと思いました。次週も二人の友情に期待。
美少女ツキミちゃん
 虫も殺さぬ幼い顔で、家庭環境から教師の不倫劇、果てはリストラオヤジや政界にまで、社会風刺の毒舌で痛烈に口撃し続けるツキミちゃん。誰も彼女を止められません。幼女にいたぶられたいM男は100%ハマりそうです。今週はパロまでやっちゃったって、編集長もツキミちゃんを止められないんじゃなかろうか。
エロ江口
 「コンマの反対!?」オレらも中学生時代、同じ事を女の子に言わせようとしてイタズラした時期がありました。オチに到達するまでの真面目な空気作りが上手い。毎週「連載のため」という口実で、こうしたエロスネタを考案して「先生すごいです。感動しました」(なんと先生呼ばわり!)と、男子からは羨望の眼差しを受け、女子からはモテまくる状況が羨ましすぎます。通称・タモリポジション。
おおいしこうじ
 作者が出しゃばる漫画は好きじゃないです。
カップ
 絵柄のキモさとセリフのクサさをミスマッチさせて笑いを誘うバカップル。あ、これにも「バカ」が付いてるよ。ネーミング被りが気になるなあ…。個人的には三本指に入るほど好きなシリーズ。金未来杯の際の、キレまくった台詞回しは薄れてしまいました。「オラの頬まで赤く染ちまいやがって…」は読めなかったなあ。明日使える口説き文句です。
サード・ゲイ鈴木
 思えば金未来杯の時、鈴木くんが「あててんのよ」をやったから、今の連載があるのかも。「背番号3」「サード」「青髭」「口調」からして長嶋監督を彷彿させるギリギリ感が、このシリーズの笑いをますます白熱させますね。「バットじゃない ケツを!!」とか、こういうホモネタで笑いを狙う方向性は大好き。本当にキモイよなあ鈴木くんは。(褒め言葉)
文字郎くん
 このシリーズだけ人外だから、あまり好きではないシリーズ。世界観の統一性が損なわれちゃって、どうも辛い…。「しゃべるな!!」の理不尽さには笑。
部長と課長
 ヤバイ、笑いの狙い所がワカラン…。ボキャブラ天国で例えると「渋知10・10」くらい意味不明だ。このシリーズって、いったい何の年齢層をターゲットにしてんだ大石先生。
ゲンキマン
 ジャガーさんに出てきそうなヒーロー「ゲンキマン」。病院のネタはキャラクタとシチュエーションのミスマッチさで笑えました。お医者さんは目すら合わせてないし! 二本目はボツネタすれすれの域じゃない? 他に思いつかなかったからページの穴埋めで描きました的なノリ。
ツンエロ委員長
 文句なし、一番面白かったシリーズ。一般人にはあまり聞き馴染みのなさそうな「ツンデレ」に付いては何の解説も一切せずに、いきなり『ツンエロ』を捻じ込んだ男・大石浩治を絶賛したい。偉そうにお高くツンツンとまった委員長キャラはそのままに、デレではなくエロに変身させる発想は新しい。そうでありながら、どうして今までVIPネタにならなかったんだというくらい馴染んでいる。パンチラ漫画は反対だけど、ギャグとして自らパンモロするのは凄く良い手法ですよね。委員長に恋する男のリアクションも面白い。ツンエロ委員長だけは、毎週追いかけて行きたいくらいツボにはまりました。
バカ兄弟(二回目)
 ホントの兄弟じゃないんだ……!
○○だけ!!
 「お米だけ」の切なさと、伊東美咲さんへ「呼んでみただけ」のプライベートな伝言ネタが大好きでした。完全に外してるネタもあるけど、数打ちゃ当たるの方針でいいと思いますよ。次の同窓会には呼ばれるといいですね…。

ツギハギ漂流作家』とどちらも捨てがたい今期新連載。HUNTER×HUNTERが長期休載のおかげで、とりあえず四月まで連載維持の猶予期間あり。是非とも奮闘して、一年は生き残って欲しい漫画です。当面は、画力向上が最大にして唯一の課題か。