1248. メリークリスマス

「いい子にしてなきゃサンタさんは来てくれない」は世の常套句でしょうか。うちの家庭には「悪い子の元には青いサンタさんが一番大切なものを奪っていく」という話がありました。

当時はファミコンブーム真っ盛り。例に漏れずゲームに大ハマリだった少年は、『ゲームは1日1時間まで』の禁を容易く破る常習犯でした。スーパーマリオブラザーズの8-2のブロス地帯がどうにもクリアできない日々に悶々としたものです。

普通、この年頃の男児と言えば、クリスマスに「新しいゲームを買ってもらおう」と期待に胸を膨らませます。しかし少年は違いました。「青いサンタさん」の話を信じていた彼は、大切なファミコンと大切なマリオを青サンタに奪われてしまうのでは、と青くなりました。母親にファミコンを隠されるのとは、全く次元の違う話。なにしろサンタさんはどこに住んでいるか分からない。奪われたら二度と取り返せないのです。

その年、小学校で「サンタさんにお願いを書こう」という作文を書かれました。「新しいロボット」「FCディスクシステム」「シルバニアファミリーのコテージセット」「漫画本のセット」など、子供達の夢膨らむ作文で溢れる中、少年はこう書きました。

青いサンタさんへ
ぼくのいちばん大切なものは
「トランスフォーマー 〜コンボイの謎〜」
です。まちがえないでください。


その年のクリスマス、赤サンタさんがオレにプレゼントしたのは「元祖西遊記スーパーモンキー大冒険」でした。二年連続クソゲーかよ赤サンタ。


赤サンタ

赤いサンタさん達は、今年も世界中の子供達に夢と希望をプレゼントします。メリークリスマス!