1131. 第41回 - 兄弟絶縁

対面叶わず

都帰りの旅の途中、「何か重いものを抱えておるのでは?」と宗盛(鶴見辰吾)から指摘される。あの自己中ヘタレ坊ちゃんが、今週だけは他人の事を気遣える子になっとるゥゥ!! いやいや、宗盛だってやればできる子だと思ってたよ。

その宗盛、都でどのような処遇を受けるか、都に戻る前に処刑されるのではと、彼自身も気が気でなかった様子。そんな状況下で憎き宿敵・義経を気遣うなんて。今日の宗盛坊ちゃんはひと味違いました!


頼朝の疑心

  • 義経の今後の動向を疑心し、頼朝は次の手を打って出た。
  • 義経に対する決定後、頼朝はいつもながらの浮かぬ顔。
  • 北条政子財前直見):義経の処遇は御家人を納得させるに不可欠だったと慰めた。
    • 頼朝:気を止んでいたのは「そのことではない」と一蹴。
  • 北条時政小林稔侍):このような処遇で義経が謀反を企てないか警戒を促した
    • 頼朝:悩んでいたのはまさにそれ。時政正解!
  • 大江広元松尾貴史):力を削ぐべく24カ所の領土を没収を提案。
    • 頼朝:平家の残党と結束すれば侮れぬ勢力となる。いかに力を削ぐか策を巡らせた。


重衝の最後

  • 山城の木津に送られた重衡(細川茂樹)。仏門を焼いた大罪の是非を問われた。

東大寺興福寺を焼き討ちした罪を認めた重衡は、翌日に即刻処刑となる。重衡護送の噂をどこからか嗅ぎ付けた重衝の妻・輔子(戸田菜穂)だが、寺院内は女人禁制で通されず。門番の僧兵は、職柄の所為もあるんだろうけど女人に容赦ないなぁ。

処刑直前に輔子の乱入。一ノ谷以来の対面で今生の別れ。重衝は己の髪を噛み切り形見に持たせるんだけど、このシーンが非常に人間くさい。美も芸も見せず、「処刑前」の雰囲気をあるがまま表現してる。絶品の出来でしょう。「共に白髪を迎えると思っていた」「私の後を追ってはならぬ」「寿命尽きるまで生きよ」「来世にて巡り会うこともあろう」数々の名言も。今話前半、最大の盛り上がり場でした。


それぞれの胸中

  • 義経:現在の源氏を省みて、改めて平家一門の仲睦まじさに憧れと敬いの念を述べた。
  • 宗盛:平家一門強固な結束の中で、自分は弟達にも恐れを抱いた、心が狭すぎたと告白。
  • 後白河法皇平幹二朗):もはや宗盛は用無しと吐き捨て、それよりも九郎義経に夢中だった。


宗盛の処刑

  • 宗盛は旅路の途中にも斬首を覚悟したが、近江まで来ればと安堵した。

宗盛は、都に戻ったら法皇に誠心誠意謝罪する気持ちを固めた。もし許されるなら仏門に入ると思い描く。これには義経も、自ら法皇に働きかけ善処すると力付けた。第一話から長く続いた義経と宗盛のわだかまり。それが今話一気に解消され、何とも清々しい気持ちに浸れました。

と和やかな決着に見せかけ、直後に宗盛斬首。

今週の脚本は鬼脚本ですね。心を浄化して救済しておいて最後にでっかくストンと落とす! なんちゅうドS脚本ですか。何もこんなタイミングで、義経と宗盛の仲直りが果たされなくったって…。頼朝の命を悲壮な顔で承知する義経。処刑を悟りながら義経と昔話を興じて気持ちを整理した宗盛。両雄、やり場のない怒りと、やり場のない悲しみが痛いほどに伝わってきました。いやー、今週の脚本は神。マジで。


父親らしく

  • 宗盛が最後の頼み。平家・清盛の血を絶らさぬ思いから、「清宗(渡邉邦門)の命だけは!」と息子の命乞いを願い出た。

宗盛はホントに、今週どうしちゃったのさ!? ここまでデキる子なら、平家はもっと繁栄できてたよ。今さら慈愛に目覚めても遅いって。一時は清宗からも見損なわれた坊ちゃん。最後の最後、父親らしい面影が見られて大満足でした。


兄弟絶縁

  • 先に清宗が処刑されたと知り宗盛も覚悟を決め、ついに斬首された。

斬首のシーンは、義経のみならず郎党達の無念さも強烈に伝わってきました。宗盛が斬首に倒れ、拳を握りしめる義経。これで清盛の血筋が潰え、義経にとっては「父」に次いで「兄弟」の全ても失いました。その夜、仏前で涙し、怒りを滲ませ刀を揮った。家族(平家一門)に向けた涙、頼朝に向けた怒りの感情が、義経の形相からジンジン伝わってきました。

宗盛を討てるか試した頼朝が許せない。その様な思いばかりなら、もはやこれまでと決断。義経と頼朝の壁はやはり「理を重んじ情がない」これに尽きました。この後は頼朝と別の道を歩みます。「我らは常に、共のお側におりまする!」と郎党達。嗚呼、郎党達の死亡フラグきたこれ…。


今週は尻つぼみにならず、高いクオリティを保ったまま終われました。今週の義経は見所が多く、実に面白かったです。