1022. 先行感想 - ウサギとカメとストライク(第二回J金未来杯 エントリーNo.1)

今年の金未来杯感想は、以下の評価基準でレーダーチャート採点で楽に回避します。金未来杯が終わったら総合得点で順位化しましょうかねえ。切り口が面白ければ、今後の読切作品にもチャート評価を導入しようかな。

  • 画力:絵の上手さ、演出の上手さ
  • 物語:ストーリーの秀逸さ
  • 構成力:伏線、仕掛け、作中テーマの魅力や巧みさ
  • キャラ:キャラクタの独創性と好感度
  • ギャグ:ギャグのセンス
  • 読後感:読後印象の爽やかさ

採点
早速採点結果から。
レーザーチャート


採点評価の詳細

画力
 キャラ描き分け、背景、ヒロインの魅力、見せ場の演出、隅々まで申し分なし!! 画力だけなら十二分にプロの漫画化です。
物語
 こぢんまりしすぎたのが残念。エンディングでもう一歩世界観を広げ、他校と試合で三振の山を築くなどすれば、主人公に凄みが出たと思います。
構成力
同じフォームで緩急付ける「チェンジアップ」の仕掛けが見事に決まった。ここまで描けるならもうひと山、あっと言わせる仕掛けが欲しい。「努力する亀の勝利」の作中テーマは、ライバル役が人間としてショボすぎて肝心のカタルシスを全く味わえず。惜しいところまできてるのに。
キャラ
 灰汁の濃いキャラクタ多数(悪い意味で)。主人公とヒロインは非常に好印象だったのに、他が足を引っ張りすぎたのがもったいない。用堂蘭とマスコットには一言一挙動に寒気を覚えた。作品全体の質を劣化させたポイントは間違いなくココ。キャラで拒否反応を起こし、素直に楽しめなかったのが正直な感想です…ごめん。
ギャグ
 ギャグは控えめ。あっても生理的に厳しく、特にウサギ関連は猛烈に外れ。これならなかった方がよかった。でも、このノリで楽しめる人もいるだろうし(もしかしするとオレが少数派の可能性もあるし)、こうして全否定するのも気が引けます…。同人臭さが消えればいつでも連載レベルですよ。
読後感
 まるで進研ゼミ漫画のような読後感でした。ヒロインに好かれさえすれば、他は切り捨てです。ある意味潔いが、絶対もったいない。


総評
惜しむはライバルの山本が人として最悪すぎたこと。彼に一片でも好青年の気質があれば読後感は絶対的に違った。「サッカー部にでも行こ…」ってなんだよテメェ。丸瀬の才能に感化されもう一度野球を頑張るなり、共に全国大会を目指すなり、彼の処遇に良い芽はあったはず。

本来、女性読者が敬遠する汗くさいスポーツ漫画には「爽やかさ」が必要不可欠なのに、ラストの爽やか演出を殺したのは手痛い。ただ、ヒロインの可愛さが上手い具合に光って読後感の爽やかさを押し戻したのは称えたい。理屈抜きで画力のみで爽やかに見せかけたのは、もう一種の才能としか思えない。

D.Gray-manと似通った要素が多いので、キャラがハマれば一気に大化けの予感。