840. 週刊少年ジャンプ - 21・22号

合併号なので、特集枠をいつもより一つ多く取り、じっくり感想しました。

表紙
 WJキャラの笑い顔、というか恥ずかしい顔をお披露目。顔が命のテニプリがこんな顔していいのかすごく心配になったり、ユート様はいつもこんな顔やんと困惑したり、ネウロがまるで月影先生だったり、カズキの笑顔が一人哀愁漂ってたり、様々なツッコミどころあり。この表紙から察すれば、今年のプッシュは昨年の三大バトル漫画+アイシールド21か。テニスとアイシーが入れ替わった格好に。

健闘枠BLEACH DEATH NOTE 武装錬金
特集枠: BE A HERO いちご100%

* 1(5) ONE PIECE
ルフィ達四人が地力で脱出すると思いきや、ここで意外にもパウリーの協力が。アナタあれだけ瀕死だったのに、僅か数時間で復活ですか。って、それはルフィ達にも言える話だけど。私的には、船大工の仲間はパウリーと信じてるんだけど、しかしパウリーの縄技って技名が出てないんですよね。仲間キャラは一通り必殺技を技名を持ってるので、ここに不安点あり。一方のフランキーは、技のバリエーションも、必殺技の名前も持ってるし、強力なライバルだ! パウリーさん、縄の縛り方を思わず菱縛りに訂正したら仲間確定なのに。ハレンチが嫌いだから彼。

ナミがエニエス・ロビーの存在を知っている点で、まさかナミの過去と繋がるのかとドキドキしました。ただ知識として知っていただけのようで残念。

いくら暁が敵とはいえ四体一で痛めつけた上、完全に記憶から忘れ去られてる鬼鮫さんが不憫でなりません。見た目とは裏腹に礼儀正しい態度や言動からも、鬼鮫さんは完全に萌えキャラ。イタチも敬語だけど、こっちはサスケ過去編が散々だったのでそんな気も起きない…。暁にすれば、ナルト(尾獣)の方からのこのこ現れたのは願ってもないチャンスでは? どうして敵の思うツボにハマっていくかな、バトル漫画の主人公って。

今更ですが、尾獣は一尾〜九尾の九体って話について先週言及できなかったので。「忍びの隠れ里」が九里、暁メンバーが九人、ナルトに封印された尾獣が”九尾”って名前から、律儀に説明入れるのが野暮なのは明白なのに…。

菊丸バズーカと聞くと身体が反応して笑ってしまうのは大亜門先生の所為だ。その他にもデフォルトで二人になったりナチュラルにビームまで放ったり彼はやりたい放題。バズーカ・ビーム・分裂と出て周囲からは「凄ぇーっ菊丸先輩止まらない!!」とまで賞され、彼は軍の兵器ですか。甲斐さんも横方向に縮地法使えばいいやん! 君らの使ってる縮地法は視覚的な錯覚を利用してないから。ホントに瞬間移動してるから。

* 4(1) DEATH NOTE
こちらで先行感想しました。

  • [1P3c] ベーベベ参戦、わざわざスネ毛でバイク走らせなくても…。彼ら一族は手足より毛の方が器用なんでしょうか。
  • [5P1c] ろくBLUEなんて20代中盤辺りの読者じゃないと笑えない! ターゲット層間違ってるよ。
  • [5P4c] 天の助は注射針なんて痛くなさそうなのに涙目。奴に痛覚はあったのか。
  • [7P3c] ダンスの方が内容も描写も映えそうなのに。毛だと映えるつーか生えるよ。今上手いこと言った賞、一個獲得。
  • [8P7c] さらりと「ゴミクソン」と名付けるブーブブお嬢様はやはりドS。
  • [11P5c] へっくんの怒り方がだんだん可愛くなってきました。
  • [14P5c] 第一話のエピソードまで持ち出して無理矢理に伏線化しやがった! 伏線でもなんでもなく、「最近コミックス読み返して思いついた」に一票。

* 6(3) BLEACH
バラバラ散らされた伏線が、一本キレイに繋がった整合性はおみごと。先に本筋を立て、作中でネタを小出しした作風なんだけど、惜しむべくはBLEACHの作風には独特のキーワードが多すぎたこと。個々のエピソード・キーワード・伏線らしき出来事に、読者がいちいち注意を持つのも諦める。それほど大風呂敷を開きまくり、伏線を乱雑に広げているので、こうして整理してもらってようやく頭の整理がつきました。

感想は、先週の内容をフォローしつつ二週間分の内容をできるだけ簡略に。

死神の虚化、虚の死神化
死神と虚が対局の立場で描かれる本作。いよいよ、それら存在が何者なのか核心に迫った。そもそも『死神』や『虚』という存在は、作中でもいまいち不確かな生命体。死神・虚が生まれた理由、その成り立ちや因縁など、根本の設定・エピソードも作り込まれている気配。

「死神の虚化、虚の死神化」と表現される”極限を超えた存在”、いわば「死神」「虚」という垣根を越えた存在も、過去には存在したんじゃないか。ここに、BLEACHの世界観が『現世』『尸魂界』『虚圏』と三種の世界を併せ持つ理由も潜んでいるはず。

死神に近い存在の虚
ソウル・ソサエティ編直前に顔見せした四体の虚のこと(と思う)。中でも『グランドフィッシャー』は一護の母の仇。志波海燕を死に追いやった虚はいわばキルアの敵。ソウルソサエティ編に続く伏線も着々と用意されており、先は長そう。

崩玉の行方
ルキアは崩玉入り義骸を借り受けた後、ルキアが一護に死神の力を託した。ここに、一護は死神の力のみならず崩玉の力をも託された。一護が死神でありながら虚の存在を飼う特異状況は、そうした背景から説明付けられる。

狛村と東仙
狛村と東仙が過去が明かされ、当時五番隊副隊長の藍染と繋がる。東仙藍染に感化されているが、藍染と狛村は果たして決別したのか、狛村が我を貫いたのか?

噛ませ犬
さて、BLEACH屈指の萌えキャラと成り上がった”ワンワン”こと狛ちゃん。だからって文字通り噛ませ犬にしなくても。噛ませ犬だから当然、卍解描写は完全カット。「萌えキャラ伝説」がまた一つ積み重なった。

破道
縛道・破道は数字が大きいほど難度が高くなる。いつか「九十九」の縛道か破道が出たと思う。あれってそれほど壮絶な技だったのかと今更ながら思い知る。

律儀な藍染
メガネパワーで謎解きを語る藍染の前に狛ちゃんの乱入。バトルに入って謎解きは良いところで中断か…と先週は残念に思ったんだけど、狛ちゃんを仕留めた後律儀に謎解きを再開する藍染様。普通の悪人なら話が中断したらそれまでなのに、さすがメガネの人は変なところが誠実だ。

美味しいトコ獲り
これ以上ない絶好のタイミングで白哉兄さん登場。おそらく近場にいた兄様は、藍染の話を一通り聞いていたに違いない。キルアの刑がハメられた不正なものと分かった今、兄様がルキアを救わないわけがない! 満身創痍で分の悪い兄様だが、ここからは妹のために命を張るはず。妹を庇い立ち向かい静かに怒る姿は、もしも対藍染戦で善戦すれば、あるいは感動を呼ぶキーパーソンに一気転身だ。

* 7(10) 銀魂

  • [4P6c] 「帰るぞテメーラ」でホントに帰ってしまう主人公達。前代未聞だ!
  • [5P1c] くノ一カフェのデザインが斬新。ダイヤのマークが入ってたら完璧だったのに。
  • [5P5c] ござる語尾に完敗。でも主婦でドムな人がくノ一コスは反則だよ…。
  • [6P7c] ちゃくちゃくとドMキャラの階段を昇るさっちゃん。メガネ属性、お姉さん属性だけでは物足りないというのか!
  • [7P2c] あんまり銀さんがSっぷりばかりを発揮すると、大きな女性ファンの方々がときめいてそのリビドーをイラストに描いて人気投票が同人色に染まるから。
  • [7P4c] メガネ無いからって顔にケーキぶつけませんから!
  • [8P1c] 銀さんのさっちゃんメガネコラボ完成。ああ腐女子様のリビドーが募ってしまう。
  • [8P4c] 「ああ…もっといじめてほしい」今週のMVP。気持ち悪くない! はっきり言ってめっちゃ可愛いですよ!
  • [12P2c] 今週のさっちゃんはどうしてもドMキャラ属性の確立を目指したいんだ。
  • [12P6c] そんなことより「ルージャ」は無理がありすぎると思います。ツッコミがないと意味わかんないよ…。
  • [14P6c] 神楽さんは二つ結びの妹属性で対抗。ヒロイン争奪に必死だなオマエら!
  • [17P3c] 存在感の薄さをキャラにされた新八は、もはや真のヒロインだと思った。

「平成の大盗賊・あびる優「魔具師の我孫留優」ことビコの登場により新章突入。魔具職人の登場により、草野が新たな魔具を使用して活躍する可能性大。また、六氷の同級生ってことで、優の口から六氷や円の新たなエピソードが聞けるかも? 再び魔法律協会関連の「魔監獄」を訪れるにあたっては、洋一まで登場。VS円のイベント発生をひしひしと感じるよ。

しかし、ナナが乱入する必要性は全くなし。「依頼人とは二度と会わない」ムヒョルールが完全無視されるのは、一ファンとして永遠に気になるテーマだ。…いや、漫画的にはお色気要員のナナは必須だけどさ。ホラーとエロスは密接な関係なんだね。これぞB級シネマの法則。

今週の草野くん
[15P3c]から[15P7c]にかけて。

優「今ごろ向こうは……!!」
六氷「……オマエのせいだと思ってるのか?」
優(コク…)
六氷「一緒に行って調べて欲しいと……?」
草野「(涙目)」

草野、涙目…! 草野、三年付き合った彼からプロポーズを受けて嬉しさのあまり感涙するような表情で涙目…ッ!! 草野、映画「仔犬物語」でラストシーン愛犬ペソがご主人様を想いながら静かに死んでいくラストシーンに感動するような表情で涙目……っっ!! 今週の優の話は、切なげな表情で涙を堪えるほどじゃないよ。何だよその萌えフェイスッ!

「陸……」「上部に入ろう!」石丸さんおいしいとこ取りしすぎ。冒頭から陸・セナそれぞれのランを見せて両者活躍。『緩急をつけて走る』はセナの専売特許だったが、セナは強引な加減速、陸は洗練されたステップワークと、同種のランでありながら特性の違いを見せたのは面白い。

進はセナの解説になると途端に饒舌になる法則。普段は無表情にキメて「………」とそびえ立ってるくせに、セナの事となると居てもたっても居られないらしい。セナ限定反応な進の性格は、腐女子がもっすごい喜びそうな設定だなぁ...。

オムレツにチーズって美味そう、今度試してみよう。ネウロの犯人の動機っていつも異常だな。社長は死亡直前に携帯電話で話してるんだけど、死亡直前に携帯電話で通話した記録が残ったら犯人判明するでしょうよ。今週もネウロのドSっぷりと、弥子のビュティみたいなツッコミに満足。吾代に餞別しようとしたメロン。そのメロン先週は弥子がプレゼントされたモノなのに、ネウロってばひどいよ! もはや推理パートはおまけですよ。ネウロはギャググルメ漫画、略してギャグルメ。

* 11(6) D.Gray-man
D.Gray-manって、一章分に十話程度かけて、章内ではほとんど時間が進まない(それが実感できない)。それだけに、今度のように大局が動くと新鮮で、物語がギュッと引き締まった。今まで神田達の小出し登場は人気取りだけに存在した印象だったので、こうやって話に絡み始めたのは一安心。
現代の少年漫画は、伏線引きに数話割き、バトルに数話をかけ、謎解きにまた数話、締めで感動を誘うのにまた数話と、このゆっくり進行こそがウケる傾向にある(他の人気漫画を見ても)。別格人気のデスノや、CDドラマでメディアミックス展開中のミスフルなど、多少の例外も含むけど。一話詰め込み系の武装連金は「じっくり型漫画」の流行に乗れなかったのが、一つの打ち切り理由になったのかも。

ウザイ内藤にウザイ牛が混ざったら、途方もなく気が滅入ることが判明。混ぜるな危険シールを貼らせて欲しい。今週は本当にハルが頑張ってくれた。ハルが積極的に天然パワーで前へ出たおかげで、なんとか最後まで読み切れたよ…。内藤の部下達にもスポットが当たり出したが、ルンガは意味不明。パンテーラはパンチーラじゃなくてよかった。じゃなくて、完全に内藤狙いなのが良い味出してる。そのまま命まで獲っちまえ! 内藤を狙う理由は、彼の浮気性(?)へ嫉妬とか?

* 13(17) Mr.FULLSWING
連載開始時は、野球パートよりギャグパートの方が面白かったのに、今じゃ完全に逆転。野球やってる方がよっぽど面白いよ。とにかくコマが小さいセリフが多いで、デスノートより文字数多いよこれ。作者は作中ヒロインの凪さんに飽きちゃったんだろうか。野球パートじゃ男祭りなのに、ギャグパートで新しい女の子投入しちゃ、凪さんの存在がどんどん薄まるよ。「オレ達青学テニス部より年上なんだし」は笑うってよりビックリした。あのなみいるド変態達は全員中学生だということを、思わず再認識させられた。

* 14(-) BE A HERO!!
序盤はホームドラマ。貧乏設定は多少嫌みな表現がある者の、多兄弟設定は話を練り込めば感動を呼べそう。主人公の顔がマッストレートなのがどうも拒絶反応を誘うが、そんな先入観を除けば下地はなかなか。特に物語構成は起承転結の文量バランスも良く、よくまとまっている。

キックスメガミックスとの対比
前連載「キックスメガミックス」では、描写力のムラがひどい印象があった。格闘技描写では手足や身体の姿勢にごまかしが見られたし、コマにより絵が手抜きだったと思う。本作は(読み切りだし時間的余裕があったからか)そうした荒削りな面はおおよそ改善されたと見受ける。

マッストレートとの対比
マッストレートと対比すると「男臭さ」が若干量減少した。ただ、他のWJ連載陣と比較すればまだまだ汗臭い。男臭さや汗臭さを含む、ある種の劇画的描写を持つ少年漫画は、今や流行らない。

スポーツ漫画の性バランス
事実、同じスポーツ漫画でも、ユートやテニプリは「男臭さ」を意図的に見せず、全面的に中性的な描写をアピールする。アイシーもここ一番の見せ場にだけ男性描写を演出して、普段はそうした描写を控え、メリハリを効かせて描き分ける。ミスフルに関しては、漫画全面に男臭さが溢れるものの、女性ウケする中性的なキャラクタを大量投入することで、全体として性のバランスを保った。

例え非ファンタジー世界のリアルなスポーツを題材にする漫画と言えど、漫画全面に男臭さを漂わせては、少年漫画のマーケティング的に見て(メインターゲットは小/中の男子&中/高/大の女子)にふさわしくない。吉川先生の場合はもっと垢抜けなければ。このままじゃ、例え二度目の連載を勝ち取っても、長期連載には勝ち残れない…。氏は中性的なキャラも描けるので、是非ともそのスキルを伸ばして欲しい。

* 15(16) HUNTER×HUNTER
ダツのキメラアントだからダーツの能力。能力名「BAR DOUBLE BULL」からダーツを題材にした念能力とは察したけど、予想以上にエグい設定。ダーツ針が人間に突き刺さる描写は、先端恐怖症の人間にはちとキツイっス。同時に、キメラアント側は「制約と誓約」を理解している事を暗示された。ダーツ能力を硬で防ぐこともできそうになく、こうなると防戦一方のキルア。肉弾戦が無理なら心理戦の頭脳プレイで攻め入るのがキルア。敵を崩す鍵は「兄妹の絆」か?

合併号なのに次週休載。次次週の間違いだろ。二週間の休みはズルイ! 冨樫先生は休み方まですっかり頭脳プレイです。

PART1ってことは、次週以降シリーズが続くんですか。警察っぽい話に立ち戻ったけど、あまり期待感を抱けないのはどうして。後流悟のチビっぷりに影響され、後半両さんの頭身も下がってるのが痛々しい。後ろに立つんじゃない→ぐるぐる回るネタは、某芸人のコント丸パクリ(もしくは丸被り)。千手観音がピースするオチに笑いました。

* 17(14) ユート
今週のユートはまるで、こち亀のうんちく話みたいだ。話の進展が一進一退でなかなか光りどころがなく、地味さだけが際立つ。気が付けば掲載順も後半固定。ユート本来のターゲット層である小学男子が(立ち読みや回し読みで)読むには苦しい位置。
純粋に夢や希望を見る子供。本音と建前を使い分ける小狡い大人。そうした人物造型は確かにリアルで惹かれる。たけど、読者が一番期待するのはスポーツパートのハズ。ホームドラマでグズグズしすぎないで(こういうのも好きだけど)、雄斗のショートトラック克服のための特訓や、同級生を震え上がらせる逸脱性など見せてほしい。

* 18(18) 武装錬金
『笑うが勝ちよ ジャンぷっぷ』がテーマの21・22号。武装錬金は笑えません。

剛太
再殺編に入ってから様々な作中テーマがありましたが、その一つである「戦友」について、一つの完結を見せます。握手はしないけど「俺達は戦友だ」と、あの剛太から言わしめたのです。ここに和月先生は、今後カズキが再殺部隊の面々や、戦団の人々や、そしてヴィクターとも「戦友」になれる希望を見いだしたのだと思います。

パピヨン
もうビンビンのパピヨンは、一人ラボで白い核金を作ります。「俺の目的は! 「人間・武藤カズキを蝶・サイコーの俺が斃す!!」 そのためには白い核金が必要不可欠」というセリフの裏に読める、蝶・素直じゃないパピヨンの本音。パピヨンは、カズキが白い核金をヴィクターに使うことを、もしかするとカズキ本人以上に分かってるんです。

ヴィクターを救い、カズキが死ぬ結末。パピヨンはそんな結末を、カズキや斗貴子さんと同じレベルで恐れています。なぜならカズキが死ぬと、パピヨンは自身の存在意義を失う事になるから。斗貴子さんとカズキが一心同体の関係なら、パピヨンとカズキは『表裏一体』の存在。パピヨンはだから、白い核金に纏わる原理と事実を、誰よりも冷酷にDr.アレキサンドリアから問い正したのだと思います。

「お前がどの様に決めようと 俺はお前との決着を諦めない!」と結論付けたパピヨン。カズキの専売特許「諦めない!」は、いつの間にやらパピヨンにも影響されていて、更にパピヨンがカズキに「諦めるな!」と力づけたことで、諦めない精神が巡り巡ってカズキに返ってくる。この辺りの諦めない精神論は、次回の最終章でも最大限に使われることでしょう。

カズキ
「オレがみんなを守るから、誰かオレを守ってくれ……」のモノローグ。常に前しか見なかったカズキが作中で唯一みせた弱音。主人公が初めて弱音を吐いて読者の涙を誘うなんて、そんな演出聞いたことがない。それだけに、すさまじい負の感動量を秘めていて、それが切なくて。同時にこのモノローグは、カズキが白い核金をヴィクターに使う意志で決まってることを、うかがい知ることもできます。

斗貴子
武装錬金の壮大な世界観を、最後は「カズキと斗貴子」の狭い世界に凝縮し、完結させてきました。確かに、これ以上には対処の取りようがなかったと思います。最低限の完結方法を選択し、その内容を最大限まで昇華した「BOY MEETS BATTLE GIRL」。最後は割とあっさりな締めくくりだった感も否めません。だけど、海浜で誓い合った「キミと 私は 一心同体だ──…」に再帰して完結する手法は、いかにも武装錬金的、和月伸宏的な結末で、一ファンとしては安心できる終わりでした。

パピヨンが人食いしなくなった理由、毒島の素顔(これは明かさないで!)、千歳さんの武装錬金は何だったのか(バールのようなものでいいのか!?)他、未消化の伏線も多々あり。死の恐怖、孤独感、初めて足を止めたカズキが、斗貴子さんを守りたい気持ちで再び前方を見たカズキが、最終章ではどのようなカズキっぷりを見せるのか? 大いに期待して、楽しみに待ちたいと思います。

* 19(15) いちご100%
今週の成り染めを巡り、審議の結果が待たれます。いちごファンの方々が形成するであろう「しないよ・するよ派閥樹形図」の完成が楽しみで仕方ありません。オレも色々考えてみたけど、正解はこの中にあるのでしょうか?

経験非処女派

  • 「西野と真中は無事に結ばれたんだよ派」(純愛派)
  • 「西野と真中の結合は、今後東城とくっつく展開での悲劇演出だよ派」(東城原理主義派)
  • 「ページ数の関係で行為描写は次週じっくりやるんだよ派」(いちごはエロ漫画派)
  • 「真中は死んで詫びろ派」(デスノート所持願望派)
  • 「真中は地獄行きの刑に処されろ派」(WJの真ヒロインはロージー主義派)

経験処女派

  • 「真中の背中に哀愁漂ってたよ派」(先天性インポテンツ派)
  • 「童貞・処女の無知さから、間違った穴に突っ込んじゃったよ派」(処女過激派)
  • 「編集部がPTAを恐れて最後まで行為に至れなかったよ派」(心をなくした大人が嫌い派)
  • 「最後までヤっちゃったけど雷に打たれて処女に戻ったよ派」(ファンタジー処女派)
  • 「あの西野はどうせ三人目だよ派」(SF処女派)

未経験非処女派

  • 「コンドームが無い事に気づき行為に至れなかったよ派」(現実!堅実!誠実!派)
  • 「興奮のあまり暴発してインストール直前にロケットで突き抜けたよ派」(古典的青春漫画派)
  • 「キスだけでドクンドクンと暴発しちゃったよ派」(「オレとしたことが キスだけでイキそうだったぜ」の少女漫画派)
  • 「腰が砕けるような荒々しいキスの末に「…気が済んだか?」で済ませたよ派(真中が格好いいよ派)
  • 「神は我々にパレスチナを与えたもうたのでアラブ人は早急に立ち退け派」(大混乱派)

アブノーマル派

  • 「真中はアブノーマル趣向で、スタンガンダンスを求めてそれどころじゃなかったよ派」(無頼男愛読派)
  • 「真中のアブノーマル趣味に、ついつい西野も身体が反応しちゃったよ派」(残念ながら少年漫画ではこれ以上お見せすることができませんでした派)
  • 「真中は西野を抱きながら、頭の中にアイツの姿を片時も忘れられなかったよ派」(腐女子妄想派)
  • 「真中が脱いだら背中に純白の翼が生えてましたよ派」(漫画家は翼が好きだなぁ派)
  • 「西野が脱いだら股間にブツが生えてましたよ派」(桃栗みかん逆行派

ぶっちゃけオレは西野ファンでもいちごファンでもないのでどうでもいいんですけど、今週号のいちご100%を読み終えたとき、西野ファンの方々の反応が楽しみで仕方なかったです。こんな本音を漏らすと、西野ファンの方々に呪殺されそうで怖い...。

* 20(19) Waqwaq
シオがどんどん主人公らしく美化されていくのが嬉しい。第一話で父が撃破した機会集合体をブラフにしてキク自身は蜘蛛の糸に逃げおおせるなど、シオだけでなく読者すら騙す演出は相変わらずシビレる。ところでキクさんは、あれだけ声高々に小作り宣言したくせに、神さまを後ろからずっぽり刺しちゃったよー…。

  • [1P3c] このコマにして話のオチが明確に。フエ科の面々がどれほどの自虐を貫くか。この垂れ幕を目にすると期待が溢れます。
  • [2P3-5c] サキティーもタカーニャも無理がありすぎますから! なんでヨーロピアンなんだ。どこぞのサッカークラブの名前みたくなってるじゃないか。
  • [2P6c] そこは現状維持なんだ。
  • [3P1c] 「ハマーと言う名のラビリンス」で爆笑したオレは空気読めてない人ですね。自分でハマーて言ってるくせに「メドゥーサの涙」と呼ばせるんだ。
  • [5P1c] こうなると、コンパ以外のメモリストも見てみたい…。
  • [5P3c] 「新入生って言葉禁句ね!」「ヘコみますもんね その言葉」本末転倒をトリプルアクセルで大回転しちゃったかのような彼らのやり取りがたまらん!
  • [7P1c] どうあっても現実を頑なに否定し続ける、その姿勢に恐れ入りました...

読者コメント

  • 大場先生
    月の東大留年説が囁かれた最中、早速訂正されました。
  • 空知先生
    東京なのに馬糞の香り漂う、となると競馬場のある町ですか。
  • 星野先生
    オレも某ロンブーのTV見たので、あの写真集の中身が見てみたいです…。
  • 冨樫先生
    お願いだから仕事を妨害するような行為は止めて、世間様!
  • 和月先生
    今度は希望を燃やして頑張ってください…。できれば次回は他紙で、成功をつかみ取って欲しい!


文量が多めにならないよう気を付けたい反面、先週休んだ分の感想コメントも付けたくなる願望を抑えきれず、だいぶ冗長になってしまったかもしれません。社会人になってから時間も限定されているので、以前よりも時間の使い方を考えて感想を仕上げたいところです。