687. 週刊少年誌感想サイトの作り方

ややシーズン過ぎちゃった「WJ感想サイト論」に反応するシリーズ、第三回。

電情舞台裏 NEC花子さんによる「週刊少年誌感想サイトの作り方」についての概論です。記事の内容は、その種のサイト作りについて、成功の秘訣を凝縮して詰め込んでいます。まさに、行列ができる感想サイトの『教科書』と呼べるでしょう。

その教科書ですが、有効となる対象者はいささか限定されます。まずはその理由から。

この記事を参考にする人は「これから感想サイトを始める新人さん」か「感想サイトを運営中の感想主さん」のツータイプが存在するでしょう。新人さんの場合、どのようなサイトに人気が集うかを勉強する教科書になります。また、感想主さんの場合、集客数を伸ばすための手法として役立つ教科書になり得ます。

しかし、両者共にそもそもどのような意志をもって感想サイトを運営する(している)か、その姿勢が重要です。

  • サイトアクセス数を稼ぐために感想を書く
  • 感想の発言場所としてサイトを立ち上げる

最も大きな相違点は、前者は「大きなサイトを運営する(有名になる)ために感想を書く」であり、後者は「自分の感想を書くためにサイトを運営する」ということ。この二つはつまり「動機」と「目標」が全く逆です。


前者:「大きなサイトを運営するために感想を書く」における成功

  • アクセス数・集客数の増大
  • 被リンク数の増大によるアクセス数メインの交流
  • サイト自体への賞賛や被言及

後者:「自分の感想を書くためにサイトを運営する」における成功

  • 広範囲の交流(他の感想主、お客さんとの交流)
  • 意見交換の場所形成
  • 感想自体への賞賛や被言及

上記は、前者と後者の成功をより厳密に分別化したものです。当然のことですが、前者の人にとっても「感想を褒められる」ことは喜ばしいし、後者の人にとっても「アクセス数が跳ね上がる」のが嬉しいのは然りです。

しかし機械的に「目標の成功」を分離すれば、まずは上記の成功こそが必須です。つまり、前者の人は感想を褒められても「アクセスが伸びない」なら残念がるし、後者の人はアクセスが伸びても「感想に対するコメントがない」なら失敗です。


話は本題に戻ります。

週刊少年誌感想サイトの作り方」は極めて前者を優先した教科書ということに注意したいです。つまり、「サイトの成功」を第一目標にした手順書だということ。そして、必ずしも後者を成功に導く教科書ではないということです。

より突っ込んだ発言をするなら、この教科書は「サイト成功論」であって「感想成功論」ではない、ということです。集客の大小に寄らず、多くのコメントを頂くための感想書式を学ぶ方法はまた別の人が書いてくれることを期待します。また別の人が書いてくれることを期待します(心の声が漏れたのだ!)。

「自分の感想を書くためにサイトを運営する」としながらもアクセス数を気にするなら、この教科書は参考になります。また、集客数が上がればコメントされる期待値も高まります。後者の人間はこの教科書がさっぱり役立たないわけでは決してないことを心に留めて下さい。

※SnowSwallowは後者路線ですが、集客数が上がってもコメントは少ないという、失敗の典型です…もっとガンガン交流させて!!

特に感想サイト運営中の感想主さんには、動機やら目標以上に大切な何かを掘り上げる可能性が高いです。「サイトありき」か「感想ありき」か、大分長々と前説しましたが、どちらにしても一読する価値は非常に高い…とまとめさせてください。


それではいよいよ、著・NEC花子先生の教科書内容について触れていきます(ドキドキ)。まず、重要なキーワードだけを拾い上げます。

  1. なるべくすべての漫画を感想すること
  2. 最低でも半数以上の漫画を感想すること
  3. 感想の量は2〜3行にとどめること
  4. 感想の量は最長でも5行には抑えること
  5. 感想の量より、言及漫画の量を重視すること
  6. 感想を懲りすぎないこと(写真・イラスト挿入、長文は慎むこと)
  7. 早筆を最優先すること
  8. 気合いを入れすぎて自身を追い込まないこと
  9. 週刊少年誌感想サイトは継続すること

それぞれの理由・内容については、元記事を参照して下さい。特に「サイト成功論」として学ぶならば、強調した三つのポイントについては全て必ず厳守してください。

加えて、「他サイトから感想言及があればお礼リンクすること」「リンクやアンテナ追加されたらお礼リンクすること」などもアクセスが伸びそうです。ニュースサイトで日頃よくやってるアレです。「漫画名、作者名、話数とタイトルまで明記すること」なども検索に引っかかるポイント。他には「タイミング良く寝ること」「AM2:00の雑誌入荷時にはコンビニ待機必須のこと」 …って、趣旨がどんどんずれてるぅぅぅ!!

以下、強調ポイントについての言及です。

感想の量より、言及漫画の量を重視すること
感想を書いて読み手に読んでもらい、漫画(雑誌)の楽しみを共有するということが週刊少年誌感想スタイルの意義である(私は)思うので、初めのうちは量はできるだけ抑え、労力を減らす代わりにコメントする漫画の数を増やすことに重点をおいたほうがよいと考えます。
「なるべくすべての漫画を感想すること」を突き詰める理由は上記の内容です。

「感想の発言場所としてサイトを立ち上げる」という動機で感想サイトを始める(運営している)方は、この条件を飲むことが難しいかもしれません。しかし、サイト自体の成功も考えたい方は、現在のスタイルから「感想漫画数を増やすだけ(しかも2-3行感想でいい)」で集客数が伸びるかもしれませんね。…ぶっちゃけ、最後はプライドの問題だと思います…。

早筆を最優先すること
発行されるスパンの短い週刊誌感想の場合、感想をアップする時間も閲覧者から求められていると思うので早めに書くほうがいいと。
「早筆を最優先すること」の理由は上記の内容です。

もう少し突き詰めて書くと、週刊誌感想によるアクセスのピーク点は発売日です。「サイト成功論」として読み進めるならば、最もアクセスが集う発売日(の早め)には感想を仕上げることが必須です。

週刊少年誌感想サイトは継続すること
閲覧者はデータベースとして見ることもあるので(というかそちらの機会のほうが多いと思う・・・)、ストックすることにも意義があります。(中略)一度閲覧者が気に入った感想サイトは次も感想が書かれる事を間違いなく期待しているので、遅れても感想書くようにしたほうがいいです。期待には答えましょう。
「週刊少年誌感想サイトは継続すること」の理由は上記の内容です。

二点ありますが、まず過去記事の利用価値について。こちらは他サイトの実体験を交えた意見も入っているので、内容は元記事を参考して下さい。

昨日の記事「685. ジャンプ感想サイト好きに10の質問」の話では、『(5)過去のジャンプ感想は読む?』という問いにおいて、あまり遡った感想記事は読まれないという結果がでました。過去ログをリスト化しまとめることに限っていえば、大衆へのアピールというよりも、ごく少数のファンサービス行為と呼べそうです。

今まで書き上げた感想を有効活用できるという意味では、データベース化して損はない事だと思います。自分は「極力乱雑な作業を除く」主義(昨日の記事参考)なので、リストは作ってないですが…。


最後に、「サイト論」であり「感想論」ではない、などと大口を叩いてしまってますが、これは便宜上のものです。決して悪意を込めた言いがかりだったり、この諸説を否定的に捉えた言い分でないことだけ、どうかご理解下さいませ。そもそも、こちらの論は「教科書」と呼べるほど成功精度の高い説だと思っております。

また、NEC花子さんがこうした文章を仕上げたことで、その手の業界は明らかに活気付きました。論を述べる云々レベルでなく、話題となる発端を生み出し、この界隈を盛り上げた成果は偉大です。

自分はこういう説を横から突っつくことしかできない”二次キャッシュ”なので、こうした記事をオリジナルで生み出せる才能が羨ましいです。最後に電情舞台裏様の更なる発展とご活躍をお祈りします。大変興味深く楽しい記事をありがとうございました。


追記。自分はもうバッリバリのどツッパリで「後者路線」なので、NEC花子先生の教えとはかなり逆走したWJ感想を書いてます。全漫画が長文だし…。一作の漫画感想に50行突破することもざらだし…。更新遅いし…。2〜3行感想の方が逆に縛りきつくて書けないし…。極めつけは、WJ感想でもないのに気合い入れすぎて自分追い込んでるし。(※SnowSwallowはただ今修論発表直前でございます。)