551. 第46回 - 東へ(キャラ別感想)

今週はタイトルにも注目。第12回、浪士組が京都に向けて出立する時のタイトルは「西へ!」。対して今回、江戸へ帰る時は「東へ」。行く時と帰る時の気迫の違いを、タイトルでは”!”を抜いた勢いの違いでみせている。すべては「もう少しいい形で帰ってきたかった」と悔やんだ近藤さんのセリフに終始します。

近藤勇香取慎吾
 終盤に入りぐっと成長をみせている近藤さん。命懸けの説得で伊東さんまでも和解を成立させた人の良さだったけど、カマキリ将軍には通じず。ほぼ日でも言われていたけど、政治を語って説得したのがマズかったんでは、と思ってしまう。このドラマの主人公・近藤は、政治でなく人間性で今まで数々の問題を解決させてきたはずなのに。政治を語れるほどの成長が、逆に仇となってしまったのでは…。
● 佐々木様から託される
 同志でありライバルからの最後の言葉を受け止める。これが近藤さんの心に決心をもたらしたのか。後の展開でも松平様に「戦って、戦って、戦い抜くのです!」と力強いセリフを浴びせる。地に落ちた幕府の状況を考えては、そのセリフすらも虚しいです。
● 幕府の裏切り
 カマキリ将軍が大坂城での戦に出陣するという期待は見事に裏切られる。これにより大坂の敗戦は決定。佐々木様に託されたほどの固い決意は、簡単に打ち砕かれてしまう。これも後の展開に引くが、なんと近藤の戦略は勝海舟の考えと同一のものであった。さすが戦で負けたことがなかった近藤さん、やりますなあ。カマキリを説得できていれば、と悔やまれます。
● つねとの再開
 父周斎の仏前で、「もう少しいい形で帰ってきたかった」「私は、勇様が戻って来られただけで満足でございます」というやりとり。これだけで既にお腹いっぱい。つねの内心をものすごく同情して、涙が溢れてしまったよ。試衛館の食事を取る懐かしい風景を前に、近藤さんがつねを強く抱く。これが観たかったんだオレは!(再び涙)庭で星空を見上げる姿も、このドラマでは何度も出てきたシチュエーション。今までは希望を胸に空を見上げていたのだが、今回ばかりは失意を含んでいる。「母上様」「お勤め、ご苦労様でございました」ふでさんの涙目ですごく優しかったあの表情が忘れられない。(←周斎の最後でも泣き続けているので四度連続の涙)
土方歳三山本耕史
 自分が築き上げた新選組が無惨にも半壊。近藤さんの立場は悪くなる一方。志半ばに京を離れる土方の悔しさを、とても強く感じた今週でした。
● 書類の処分
 山南さんが命じた記録作りも、こんな状況下では仇になると、書類をずいずい燃やす。過去に興味はないといいながら、最盛期の組織図だけはそっと胸に仕舞っていた。リスト上には山南さんも平助も源さんも、伊東も観柳債も居る。みんなが居る。今を思うと切なすぎる。
● 「悪いが、俺はここに残る」
 以前(芹沢殺害後かな?)大名にすると誓っていた土方。その話題をここにもってくるのか。伏線消化しつつ土方の悔しさを画面いっぱいに表現。またもや切ない土方さん。
● 船の上で
 多摩三人組が、昔のように日本を何も知らなかった青年っぽく振る舞う。何もかも懐かしい映像だったりする。周斎のモノマネをしてみたり、榎本の洋服を「俺の方がもっと似合う」と強がったり。でも土方さん、愛部下・山崎へも何かコメントしてあげてよ!
沖田総司藤原竜也
 こちらは源さんへの言及なしだった。船の上でちらっと触れたけど、それだけなのか総司よ! 次回予告のみつさんの叫びが切なかったよ...
● お考への愚痴
 まるで面倒を見てくれなくなったお考へ愚痴る。面倒観てた時はうざったい素振りだったのに。こういうシーンを見ると、ダーク沖田の気配はすっかり抜け落ちている。すべてはお考さんのおかげかな。
● 「古い友人だ」
 荷物扱いされて荷車に乗せられている総司。ちょこんとしてて深くにもかわいいと思ってしまった。最後の最後で、ひでに見送られる。なぜ男装してるのか意図が不明だったけど…ファンサービス?? 好きな人との最期の別れになるんだから、普通はおめかしして行くよねぇ。でも総司の「古い友人だ」にはグッときた。他に言いようがないんだけど、『友人』という遠慮した言葉には泣けそうだった。
● 行く時帰る時
 行く時は大勢だったのに、帰る時には山南さんも平助も、源さんも居ないのだとコメント。視聴者の気持ちも同じです…!
原田左之助山本太郎
 まさとの別れを惜しむ。三ヶ月で新撰組の立場は激変し、お店の危機どころかおまさちゃんの命すら危ういんだね…。その対処として、佐之助はなんにもしてやれない。あんなに愛してるのに何力にもなれないでいる佐之助が可哀想でもある。佐之助生存説の、清国で山賊になる伝説(龍馬暗殺後、満州に亡命して馬賊頭目になったという伝説)をこんなところに持ってくるとは!
永倉新八山口智充
 こちらは佐之助と対比した描かれ方。薩長兵が永倉さんより一歩早く家を荒らしていた。おそのさんが無惨にも斬られていて、これを永倉さんが発見。彼女が抱き上げられて、最後の言葉が「宇八郎様……」ときました。うわぁ。うわぁ。うわぁ(エンドレス) 切なすぎる。永倉さんの今までの思いが、全部見事に裏切られてしまってたと思うと切なすぎる。しかも親友の名だから恨めない。その直後、薩長兵の元に走り「待て!俺の女房を斬ったのは、おまえ達か!」と問い正し、斬殺。薩長兵があまりに悪役っぽく描かれすぎでは? と不満も多々ありますが、不器用に真っ直ぐにしか生きられない永倉さんらしい締め方であったと思います。
斉藤一オダギリジョー
 土方と同行した一くん。書類処分時に土方がこっそり懐に仕舞い込んだ書類をチェックしてたのは侮れない。「とっておけよ、新選組はあんたが作ったんだ」と、すべてを分かっていた風に諭す。渋すぎますッ!!
滝本捨助中村獅童
 薩摩にも長州にも土佐にも見廻り組にもお尋ね者の捨助。残り三話にしてキャラが変わらず。結局捨て助は最後まで捨て助なのか…ちょっと残念。でも現状のお尋ね者歴を考えると、捨助って別の意味でスゴイのな。山崎を救ってあげたり、新選組が江戸へ帰るとあれば一緒に帰ると順応したり、根は素直で優しいんだねえ。
松平容保筒井道隆
 「徳川の時代は名実共に終わったのじゃ」と建前の発言をするも、近藤さんの熱い説得を受けて、次第に本音が現れてくる。「ここまで戦って死んできたものはどうなります」「帝や上様のために心血を殿のお気持ちはどうなるのです」と熱い言葉を繰り返す近藤を背に、松平様はとうとう膝を折る。「余は……余は悔しい」人柄と育ちの良さが目立った松平様なんですが、ここに来て最大の挫折です。裾をぎゅっと掴む演技、最高に熱かった。
徳川慶喜今井朋彦
 完全にバカ殿化してるゥゥ! 教育係は勝海舟さん。「では、どうすればよかったのじゃ!」とか普通にぶっちゃけ。もう勝さん、ずっと慶喜の側に居てあげてよー!
勝海舟野田秀樹
 とても徳川の家臣とは思えない口ぶりと態度、おまけに毒舌家。「これよりひどい手はござりません」「おかげ様で、江戸の町が焼け野原に。おありがとうございます」など、ノリノリで答えてしまう。新選組にも言及し「ただの時代遅れの剣術屋風情じゃありませんか。あやつらなどに、もはや時代の波を止めるなどできはしない」ときっぱり。今後の幕府の動き方として、甲府で一度わざと負ける、と。この負け戦を新選組に当てて、捨て駒にする目算でしょう。
佐々木只三郎伊原剛志
 日曜日の本編感想参照。
山崎蒸(桂吉弥
 日曜日の本編感想参照。
近藤周斎(田中邦衛) 近藤ふで(野際陽子
 日曜日の本編感想参照。
榎本武揚草薙剛
 え。たったこれだけですか?


そして、残り三話。

11月28日、12月5日、12月12日(最終回は60分放送)の三回しか残されていない。12月12日以降の残された2004年がとても寂しくなる。

思えば今年は新選組!熱に振り回されっぱなしの年だ。各地をいろいろ回ってもみた。各種書籍、文献を漁ってもみた。極めつけはNHKスタパまで行って、お土産まで買い込んだ。

そうした経験は、12月2日の放送分が終わった時点で、すべて思い出に変わってしまうのだ。切ないなあー…。寂しいなあー…。

来年の大河ドラマ義経」は真面目に観るか未定状態。面白くても、こんなに深い感想文はもう書かないと思う。来年四月からは社会人だし、時間が作れなさそうだ。