369. 第34回 - 寺田屋大騒動
本日はキャラ別感想。今週は登場キャラ全員が前に出る演出のギャグパートだったので、各人別に感想書くのはすごく大変そう…。できるだけ短く区切る!
- 近藤勇(香取慎吾)
- 深雪身請けの建前と本心。病弱な深雪を身請けして安静にさせてやりたい、恩返ししたいと思う近藤局長。これらも彼の本心であると思う。しかし、多くの視聴者が疑う通り、つね様に見破られた通り、やはりそれだけが本心ではありませんでした。そりゃそうだよね。若奥様と三年も会えずに仕事ばっかで、身近にはこんな美人で若い(というか優香です!)女性が居たら、下心を抱かない方がどうかしてます。聖者ですそんなヤツ。それかよっぽど優香が嫌いかだね!
女性視聴者の場合は、例えばこう置き換えてみてはどうでしょうか。若旦那と三年も自分の仕事の都合で会えず、その仕事も思ったようにいかず、その仕事では多くの犠牲者を出し、そんな自分をいつもいつも優しく包み込んでくれたのは堺雅人さん。ほーら、気持ちが揺らぐはず。オダギリジョーでもいいっすよこの際。あ、でも、旦那さん捨てないで下さいっ!
「そこまでだー!みんな、それなりにありがとーう!」。近藤さんの周囲の人間は、皆本当に近藤さんが大好きなんだなぁ。いやいや現代でも、男の友情ってやつは、ときどきこういうドタンバ猿芝居やらせますよね。とても情に触れました。
坂本さんとの決別。長い長い友情関係が続いた二人でしたが、本音で日本国の行方を語り合い、ついに決別を口にしました。風呂場で丸裸で語り合うことで、互いが本音をぶつけ合う視覚的な演出を狙ったのでしょうね。
- 土方歳三(山本耕史)
- 伊東、島田と共に西本願寺の和尚(大門伍朗)へご挨拶。挨拶もそこそこに、まさか和尚の前で好き勝手な計画を口にするとは思わなかった…。つくづく世界が自分中心に回ってる人です。あ、「世界はカッちゃん中心に回ってる」人だっけ。土方はわざとやってるのかもしれないけど、もっと礼儀を覚えて欲しい。
平助に呼び戻され大慌てでダッシュ。あの様子じゃ壬生村屯所から寺田屋まで、ずっと全力疾走だったに違いないです。総司も一緒にダッシュしたんだろうな。病人は安静にしてなさい!
源さんの演技に重ねて芝居を決める男の友情には参った。爆笑でした。源さんに殴られて鼻血出てるの、本人気付いてないんだろうな。あの後はずっと澄ました顔(ナルシスト土方は自分の決め顔を会得しているはず)で、そこがまた笑えて。あんたそのうちつね様に粛正されるよ、気を付けて!
- 山南敬助(堺雅人)
- 平助の回想に出てきた山南さん。全場面が新場面だったのでどキモを抜きました。しかも開始早々から、あそこまで出突っ張りとは。千葉道場の師範とは、あんなにあっさりと決別したんですね。今まで御世話になった師匠にあんな沈着な態度で冷めた発言、なかなか言えた物じゃないですよ。
「託す」の文字の書体が、なんだかとっても山南さんだった…。まさか『文字』に涙を流すとは、オレ前代未聞ですよ。
- 井上源三郎(小林隆)
- 今週は登場シーンが非常に多かったです。相談役として近藤さんの側にひっそりと構える源さんが、近頃はとても頼もしく感じます。大福の件もごまかして、全部食べて、その後大福を頬張りながら苦しそうで…頑張ったよ源さん…。それでこそ側近の鏡です!(?)
熟年情熱の演技は、ちょっとシビれた。あまりの下手くそな演技にシビれた。小林隆さんが演じる源さんって、落ち着いた保護者風人格者と、ギャグパートの恥ずかしいおじさんが、とても両極端で名演技だなと常々感じます。
ところで、今まで恋をしたこともなかったって、そりゃアンタあまりにもバレバレの……え、嘘ですよね?
- 近藤つね(田畑智子)
- 言動、仕草その一つ一つが恐ろしく怖かったです。不審そうな表情をしたり、目元や唇だけがギリっと吊り上がったりするだけで、オレは飛び上がって震えてました…。自分の事じゃないから怖がらなくても良いのに。こういう話にはやたらと感情移入してしまう、男ってとことんバカだなぁ。
案の定、勇様の嘘と演技はことごとく疑いに掛かり、最後は全バレ。以前近藤さんの手紙から白粉の匂いを感じたことで、薄々は勘付いていたのでしょう。
女のバトル、つねvs深雪。深雪はひたすら土下座姿勢、黙りを決め込むつね様。思えばこんな優位に立ったつね様、見たことない…! 実家じゃ姑さんにペコペコしまくりの良妻だったのに。今やこれほどの恐妻…いやいやいや、勇くんが悪いんだよ!
つね様は本当に勇を愛しているんだなぁと。あまりにも度のすぎた理解がありすぎて、現代の女性からは腑に落ちない、理解できない、ついていけない、と思われそうです。つね様なりに、自分の一番愛する旦那が、どのような環境にあれば最もベストか、それだけを考え私情を捨てた決心だったのでしょうか。
- 深雪太夫(優香)
- 今回一番の不幸者…な気がしました。身請けされたらドタバタに巻き込まれ、源さんや土方の演技にも合わせ(結構ノリノリだったけど)、現妻へはひたすらペコペコ、愛しの勇様からはひたすらペコペコ。身請けには嬉しそうな様子だったけど、これは返って気が重くなったんじゃないでしょうか。病状が回復するどころか、ストレスで悪化しそう…。なんだか可哀想だなぁ。冗談はさておき、ラスト「京にいる間だけ」と約束した深雪。切なそうな表情を浮かべながらも、その約束を固く決心した、女性の強さと弱さを同時に垣間見ました。
- 沖田総司(藤原竜也)
- 色沙汰に関しては子供扱いされる総司。大人ぶる土方・近藤が腹立たしいからか、近藤「身請けのこと、手紙で知らせますから」って暴露宣言。そのくせ、つねやみつが来たら大慌て。根っこに近藤擁護派の思想が植え付けられてますね、これ。
平助に連れられ姉上との久々の再会…も、大ショッキングな表情。ものすごく笑った…総司らしくて。ひでのことを手紙で「かわいい」と告げていたり、意外と総司も隅に置けません。というか、可愛いと思ってたんだね、驚きました。ひでちゃんへの想いはあるが、病気を理由にその気持ちを抑えてましたか。青春だなあ。
- 藤堂平助(中村勘太郎)
- 額の傷にも見慣れてきました。久々のレギュラーぽい出演。山南さんとのペアでの絡みが著しく少なかったけれど、それでも試衛館での食客仲間だったことには違いなし。江戸で聞いた山南さんの話を回想しながら友の死に涙する平助の姿に、じーんときました。
- 永倉新八(山口智充)
- 山南さんの脱走や切腹の処置には理解があるようで安心しました。実直で正義感の強い永倉だから、一歩間違えば「山南切腹」は新選組との完全な決別にもなっていたと思います。山南さんが最後の最後で上手に取り繕ってくれたおかげかもしれませんね。それから、明里のおかげ。
「そして俺たちはいつしか、男と女になっていた」って、自分達のことをお話仕立てでナレーションしちゃったよ! これはもろツボに入りました。どうか幸せになって欲しい。
- 原田左之助(山本太郎)
- 永倉にも「てごめ」にした女性がいたとなり、今後はこれ以上におまさちゃんへの猛アタックを行うかも…おまさちゃん、南無。永倉とのコンビがとても安定しています。ここまで仲良くなったきっかけは何? 建白書を提出する直前、佐之助が永倉に「芹沢暗殺」に荷担していたことを告白したあたりからでしょうか。見ていて安心、こいつらはいつまでも仲良くやって欲しい。
- 斉藤一(オダギリジョー)
- あらゆるブログで取り沙汰されていましたが、オレも今週のMVPは一くんに贈りたい。5両をつね様に返した後の展開読めてましたよね。みんな読めてたと思うんです。でも、まさかあそこまで落ち込むとは。「オレの所為だ…全部オレの所為だ…」って紐房をイジイジイジ。完全にキャラ変わっちゃってますよ!
- 伊東甲子太郎(谷原章介)
- 和尚への挨拶。山南と島田の無礼な振る舞いに、伊東は顔をしかめながらも黙りを決め込みました。もう、土方には特に関わりたくなさそうですねえ。山南さんがこの場にいたら「土方くん、そのくらいにしておきましょう」って制止していたよ。はぁ。
- 武田観柳斎(八嶋智人)
- 毎度、めげずに自己主張を繰り返す武田。彼にも死の間際にはお涙頂戴なエピソードが挿入されると思います。ここまで自己主張を繰り返し、偉い人物に取り入り、出世を目指す彼の動機はいったい何なのでしょうか。近頃気になるのですよ…彼も山南の切腹を悲しんだ人物の一人だったそうですので(三谷幸喜談)。
- 坂本龍馬(江口洋介)
- 山南さんから思いを託され、ついに坂本さんは日本を動かし始めます。昨日も少し触れましたが、山南の死が坂本のこれからの行動の原動力にまで繋がる流れは、このドラマにおいて「山南敬助の死」に絶大なファクターが与えられていることを意味します。彼の死がのちに薩長同盟を成立させ、結果的に新選組を窮地に追い込むという展開は…もはや皮肉としか言いようがありません。
- 桂小五郎(石黒賢)
- 知略家で、争いを好まずなんでも穏便に済まそうとしてきた桂さん。彼がここまで薩摩藩を嫌い憎み一戦交えたがっていることからも、この時期に薩摩と長州が手を結ぶことがどれほど奇抜な思想だったを物語っていますね。桂さんが今後どのように思いを巡らせ薩長同盟へ揺らいでいくのか、見所です。
寺田屋の帰り際、みつさんに遭遇(というか一方的に声を掛けられてたけど…)。自分の存在を危うく暴露されかけ、その仕返しにと「近藤勇のお妾さんが、この宿のどこかにいるらしいぞ」ニヤニヤいやらしい笑顔。桂さんのこのいじわる顔、久々に見ましたよ〜。
- 滝本捨助(中村獅童)
- どんどん重要な伏線を貯め込んでいく捨助。おりょうに関する龍馬との駆け引き、ハタキの行方も気になります。最終話まで、どんどん重要な役所を担っては伏線を貯め込んでいきそう。フィクションキャラだからってやりたい放題で、美味しいなぁ捨助は。
- 沖田みつ(沢田端子)
- 武田とすっげー息ぴったんこで笑えました。どこまでもおてんばなところが微笑ましいです。でも、みつさんってこの時、何歳なんだろ……。
最後に。
ろくでなしの日々様より。今話と第五話「婚礼の日に」の演出が巧妙にリンクしているという、鋭い考察がこちらの感想で挙げられていました。文章を読みながらハっとした場面が盛りだくさん。このリンク演出に気付かなかった方はぜひ、ろくでなしの日々様をご一読することをお勧めします。