350. 第33回 - 友の死 後編
昨日からの感想後編です。
山南の最後を引き留める隊士達の姿に、何か引っ掛かりを覚えていました。今日やっと思い出した、ああー、あれだと。福本伸行の超人(!)麻雀漫画「天」の最終章、痴呆症を発症したアカギ(連載中「アカギ」から数十年後の物語)の自決について、かつて熾烈に戦った雀友が一人一人止めに行く話。
アカギと山南さんは立場も年齢も時代背景も全部が全部違う。けれど、人と人との繋がりと別れ、そのテーマはかなり類似性があったように思います。シチュエーションも、双方共に相当近い描かれ方だった(一室で待つアカギ/山南に、止める人が次々と来訪して語り合う)。
- 沖田総司(藤原竜也)
- 近藤・土方の意向を汲んで、山南を追いつつ連れ戻さないよう計りました。でも、逃げる側の山南さん、自分から居場所教えちゃうんだもん。あのまま覚悟など決めずに御茶屋さんで顔を伏せていれば。そうすれば総司も、山南さんの存在に気付かない振りをして先に進んだでしょう。きっと山南さんだってそれは分かってた、だから彼は、自分を追ってくれた総司に「沖田君、ここだ!」と叫んだように思えます。
「私の好きな人は、みんな私の剣で死んでいく」と告げた総司が悲しい。そのために剣の腕を磨いてきたわけじゃないんだと。そこに同席しているのが斉藤なので、こっちは見ていて余計に悲しい。人斬りに身を染め介錯に遣われることの多い斉藤もまた、総司のような心境になることがあるのだろうか。
山南切腹。介錯で刀を構える沖田の悲しそうな辛そうな、そして山南さんへのとても愛おしそうな名残惜しそうな表情は、忘れられない。
- 永倉新八(山口智充)
- 建白書による反乱がこの間起こったばかりで、その直後に葛山が切腹。そして今回の山南切腹。ドラマが始まる前まで、永倉や原田は一体どうやって山南切腹に納得するのか心配でした。もしくは、近藤・土方に対して反発感情を強めてしまうのではないか、と。
しかし、これをフォローしたのがなんと山南さん本人。そう来ましたか。今後二本の動乱に巻き込まれていく新選組、近藤さんの側についてやって欲しいと、山南さん直々の遺言。史実では途中で仲別れしてしまう永倉と原田ですが、この遺言がどう扱われていくのか注目です。
更には山南と明里の語らい中、涙を堪えて別室で崩れ落ちた近藤さんを目撃し、反発感情はどうやら完全消滅のようです。しかし、永倉の土方に対しての感情は…とても気になります。
- 斉藤一(オダギリジョー)
- 土方のことが嫌いになりそうだというひでに弁解を始めたのは意外にも斉藤。彼は唯一、戻ってきた山南さんを助けようとはしませんでした。しかし脱走の日、山南さんを見なかったことにしたり、回想で土方・山南の繋がりに理解があったりと、彼なりに山南のことを気に入っていた、そして信頼していたのでしょう。剣の道だけでしか生きられない斉藤にとって、山南さんのような学もある人物にはある種敬愛があったように思います。
- 伊東甲子太郎(谷原章介)
- 温情処置を申し出たのは、半分山南への情、もう半分は伊藤派閥のための根回しのように感じました。同様に最後の俳句も、半分は山南や試衛館からの友人達への情、もう半分は近藤達に媚びを売ったように。…うーん、オレひねくれすぎです?
- 武田観柳斎(八嶋智人)
- 彼は山南美さんの切腹に関して、本当に感心がなかったですねぇ…。上の者にはすり寄って、上の者が消えるとなると内心喜んでそうで。普通はカシさんも憎むべき対象になるんですが、武田の小物っぷりが強くてそこまで憎めませんね。変な気分。
ようやく仕上がりました。今週の新選組は本当に濃厚でした...