329. 第31回 - 江戸へ帰る

先週に引き続き人物ごとに感想を。

タイトル「江戸に帰る」なのですが、申し訳ないけど江戸編の印象は相当霞んでしまいました。本編は山南さんの話主体。「山南我に返る」の方がよっぽどそれっぽい、タイトルセンス最悪ですけどね!

まずは江戸編の方々。

近藤勇香取慎吾
老中格松前伊豆守と対面し、上洛説得を行う姿は実に堂々としていました。こういう席での近藤局長、見慣れたのかもしれないけどすごく絵になります。上洛の返事を断られ「今の旗本は腐っている」のセリフも、近藤さんの上様に対する侍魂を思わせます。上洛が実現するのはこの半年後で、この時期の旗本の士気の低さが伺えます。
シーンは変わり、沖田の病状の話について。西洋医学の現状を見せ「それでもあなたは攘夷を良しとするのですか?」というエピソードは史実にもある有名な話のようです。近藤さん、また多いに悩んじゃうのかなあ…。
娘・たまとの再会がすごくお父さんの表情。ふでの「この間げんこつをくわえて寝てました」の小ネタなど、昔の多摩が懐かしいです。でも「ちょっと太ったんじゃないか?」は、しーーっ! 皆に土産を用意しなかったのに愛する妻にはかんざしをプレゼント。今の近藤さんの身分からすると、見た目以上に値が張りそうなかんざしでした。ラストシーン、旦那に抱かれるつねさんがすごく幸せそうで色っぽかったです、超かわいすぎ。手紙の香りの件についてはお咎めなしだったので、次週あるのかな?
永倉新八山口智充
江戸同行には永倉さんを指名。先週のわだかまりをすっきり解消したいところです。山南さんがしっかり間を取り持ち。こういうシーンに山南さんが居ると和みます。土方の思いも分からない事はないのですが、人間関係は近藤さんにまかせるのが正解。さてさてその永倉さん、今話では特に近藤さんとの掛け合いもなく。
多摩の人々とのトークで「大人になりました」発言。第七回・ヒュースケン逃げろ、の時も永倉さんは「私も世間に揉まれて大人になりました」と言ってました。彼は何段階大人になるんでしょうか。
藤堂平助中村勘太郎
先週から江戸に帰っていたのですね。しかし、なぜ一人で江戸へ?という疑問。今週は特にその謎が明かされませんでした。平助曰く「この人になら命を賭けられる」のもう一人、伊藤先生とは細かに手紙で連絡を遣っていたようで。平助って、そんなに伊藤先生に対して未練があるの? いままでそんな面は全く見せていなかったのに、驚きです。第34回以降、伊藤参謀の話中心になってくると、今度は平助祭り(血祭り?/涙)なんでしょうか…。
伊藤大蔵/後の伊東甲子太郎谷原章介
知的・剣豪・イケメンの三拍子揃った逸材が再登場。野心高すぎです。しかしこの伊藤さん、いまいち何がしたいのかよく分かりません。まずは新選組に取り入り、乗っ取るもしくは踏み台にし、自分が歴史の表舞台に立ち、そして結局何がしたいの? 「平助」と呼び重宝する伊藤さんが松平上総介と同様、ものすごく滑稽に見えました。
武田観柳斎八嶋智人
「局長、江戸には誰を連れて行きますか。まあ、私がお供するのは当然として」武田のこういうキャラがだんだん好きになってきました。惜しい。ツッコミ役土方の「決まってんのかよ!」もとうとう声が裏返ってます。毎度土方に突っ込まれては「え、なんで?」みたいな表情の武田がまた好きなんです。ほんと惜しい。
秋月悌次郎堀部圭亮
新選組初期から支えてくれた秋月さんが今週でクランクアップ?なのかな。史実にならって後半戻ってくるかもしれません。「私のような軽輩が、いささか出過ぎたかな」自分の立場に対しなんて控えめな発言、良い人すぎです…。史実の秋月さんは、あまり良くない家柄ながら頭脳明晰であったため京都公用方に抜擢されたそうです。主に外交で活躍しましたが、彼を後押ししてくれていた人物が死ぬと、それを機に秋月さんも失脚したそうです。こうした背景はドラマでは描かれていませんが、知った上で秋月さんの「お役ご免だ」というセリフを聞くと、実にもの悲しいものがあります…。
松平上総介(藤木孝
手のひら返しまくりでみんな大呆然。こういう旗本が居るから! ぐちぐち。

続いて山南編の方々。

山南敬助堺雅人
8/8の感想参照。山南さんは、もう土方の事が憎くなってしまったのでしょうか。土方は明らかに山南さんに対して未練があるので、そうなると 土方→山南 の片思いに…。うわーん、戻ってきて山南さーん!(オレが戻ってくるべきです。)
明里
8/8の感想参照。「難しい話をしている人を見るのが好き」って、ものすごくツボセリフです。こんなセリフ言われたらめっちゃめろめろになりそう(相手によるんだけど)。白塗りの塗り方が一般のモノと逆だったんですが、コレは地方の文化なんでしょうか。『山南のキモい笑顔が見られるのは、明里だけ!』って煽り文が入りそう。
坂本龍馬江口洋介
8/8の感想参照。龍馬と新選組総長の食事会って、おかしくない? 亀さんが殺された後なのに、どうしてこんなに和やかなんだ坂本さん! あと、坂本さんは有無言わさずに山南さんをこのまま連れ去ってくれ。それが山南さんにとって一番幸せになれそうだから…。
土方歳三山本耕史
永倉さんが近藤さんに同行する事が決まったのも一人猛反対。会議で自分の思う通りにいかないといつも不機嫌です。この癖は直した方が良いんじゃないかな。いくら源さんに自分の弱みを見せたとしても、それとこれとは別です。土方の新選組に対する思い・やり方は理解してますけど…。今話の土方は、山南さんにも以前みたく自分のやり方に賛同して欲しい、という呼び掛け・アクションが実に多かったです。一人で意地を張ってきた土方ですが、ここにきて大分ダメージが蓄積されてきたのかな? 山南さんが側にいれば、土方にとってこれ以上心強い事はありません(新見・芹沢だって落としたベストペアの実績もある)。それだけに土方は山南さんに未練大ありでしょう。何とか山南さんを自分の側に引き戻したい土方と、今の新選組の(土方の)方針には付いていけなくなった山南さん。前話までを見ていると『土方が山南さんを遠ざけている』ように見えました。しかし実は『遠ざかる山南さんを何とか連れ戻したい土方』という、とてつもない土方の片思い状態になっている事が判明。「奴を殺したのは俺とお前だ」と発言しながらも、葛山切腹で逆に山南さんの怒りを買った土方。痛すぎ…。
井上源三郎小林隆
近藤さんだけでなく、土方までにも心の寄り所にされる源さん。源さんって重要人物なんだけど、セリフ少なめですよね。我を主張せず親の目でじっと見守るような源さんだからこそ、二人の心のよりどころにされるのかもしれません。
沖田総司藤原竜也
山南さんと二人で語らい。山南さんを尊敬している総司の図式。これは来週以降(脱走山南を連れ戻す総司)の伏線か。山南さんに一定の尊敬を見せながらも、山南さんの土方に対する愚痴には「土方さん頑張ってますよ」と弁護。沖田は土方派だから、ここに愚痴を吐いちゃダメですよ〜…。近藤さんのためならどんな事でもできる土方、確かに恐ろしいです。どんな非行も「近藤さんのため」という理由をよりどころにする、これはもう一種の宗教「新選組教」ですから。色々話した後におすず登場、一頓着のあとに「何の話でしたっけ?」の山南さん。このシーン、腐女子・奥様の方々が山南さん萌え萌えではぁはぁする部分に違いないっ! ああ総司の立場が。
斉藤一オダギリジョー
さらりと嘘をつき、さらりと介錯までこなす斉藤くん。心が鋼鉄で出来ています。ここまでできてしまうなら逆に清々しい。だから決して、うじうじ悩むような姿は描写しないで欲しいです(今の姿と矛盾する)。これで総司より年下なのかと思うと、末恐ろしいですね。
原田左之助山本太郎
のれんを自分でこしらえたモノにするちゃっかり者。おまさちゃんは今回は信じ込んじゃってましたが(字が上手いだけあって、これはだまされても仕方ない?)、後でばれそうですよね。風呂に入らない佐之助が男六人の小部屋に…あの部屋すげえ異臭を放ってそうですよ…。
葛山武八郎(平畠啓史
狭い部屋でひたすら読書にふける武八郎に斉藤が問い、「本を読むのが好きなんですよ」だなんて。死ぬ前に限って、隊士の日常・志が露呈されて、悲壮感が際立ちます。以外に鋭い視点を持っている武八郎、内通者が居たことを勘ぶったものの「俺じゃない」と斉藤にはさらりとかわされました。その後、総司に謹慎部屋から自分だけ呼び出され、非常に怯えていました。自分の運命を察したのでしょう。土方に切腹を命じられ、自分は下書きを写しただけだと言い訳し、ついには「山南を呼べ!」と悪あがき。彼はつくづく取り入る組織を間違えたのです、何で新選組隊士なんかに面接しちゃったんだよ〜…。そんな武八郎の姿に土方も一安心。こいつ殺しても罪悪感は残りすぎない、って心境だったんでしょう。切腹シーン、「作法がわからんのです」ってセリフ、ものすごくほろりときました。侍になりたかったわけでもない。社会を変えたかったわけでもない。日暮らしできればよかった一庶民が、組織に利用され消される間際、彼の言い訳じみたそのセリフに、新選組という組織の非社会性を感じずにはいられませんでした。こんな話通じるわけ無い!という武八郎の心の叫びが、最後の最後まで悲痛でした。ラスト、斉藤に対して(?)「裏切ったな!」と責め立てる彼は、つくづく鋭い。その武八郎をためらいなく斬る斉藤も、やはり逸材。平隊士の切腹をここまでこと細かく描くとは思っていなかったので、驚かされました。
滝本捨助中村獅童
長州志士の「桂先生を呼べ!」ってセリフに「オレを先生だと思え」だなんて、とっても偉そう。目の前にいるのは頭も腕も立つ屈託の志士では無かろうか…。そんな彼らが捨助なんかを上座に置いて…すごいギャップを感じてしまいました。