325. 第31回 - インスピレーション

詳細な感想は明日に。

着々と山南さんの最後に向けて動いている8月の新選組

第33回まで、30-32回は山南さんメインの話になるのでしょうか。一山南ファン、一ドラマ視聴者としては、どうしても山南さん関連のエピソードに目が行きがちです。平助の動きや伊藤の入隊、近藤とつねの再会など、どうしてもぼやけてしまいました。第33回が終わった後も内輪揉めの頓着は続きますので、山南さん関連のエピソード以外は全部34話以降の伏線に思えます。

ちゃんと見ておかないと34話以降が複雑になりそうで。でも今は山南さんの話で頭がいっぱいで。今全てを整理しながらこのドラマを見るのは、精神的にものすごく難しいと思います。

坂本と再会の山南さん。薩摩=西郷、長州=桂、土佐=坂本、会津=近藤(!?)なんでしょうか。まあそれはやりすぎとしても、こうした学も武もある人間達を勝海舟の下でまとめ、強い国家作りを行うという話は、山南さんには非常に魅力的に映ったと思います。内外問わず敵となる人間は次々と殺める集団・新選組よりも、同士を募り一丸となって協力し新国家を作る集団・坂本さんの構想の方が、山南さんの性格上合っているんです(決定打として、山南さんに人は殺せない)。

視聴者にはそういうところがありありと分かるし、だから次回の『山南脱走』にも合点が行きます。山南の性格付けと史実の流れを上手に組み合わせて、山南脱走の動機付けをスマートにまとめ上げています。いつもながらこの脚本は偉大。

おすずと話している時の山南さん。このシーン、得意の「キモい笑顔」が崩れる事はありません。初対面のおすずに一目惚れしたわけではないんですけど、不幸が続いても明るく振る舞い生きているおすずを見て、山南さんも元気が出たんでしょうか。また、山南さんはそういった性格のおすずに惹かれて、あんなに安らげていた(=キモい笑顔)のかもしれません。それにしても堺雅人さんの必殺・キモい笑顔、めちゃめちゃ格好良すぎです。男でも惚れます。

屯所に帰り葛山の死体を発見する山南さん。「葛山を殺したのは、オレとあんただ」の発言に、土方をじっと睨み据えます。山南さんは八・一八の政変の時、御所のお花畑で土方の「オレは鬼になる」発言を聞いています。今の土方が「山南が疎ましい、邪魔」といった私情で葛山を切腹させたのではないという事を、山南さんも少なからず察しているでしょう。あの睨みは、そういった意味の睨みでは無いと感じます。

内輪揉めに終始する新選組。その源が土方で、彼の人を殺めるだけのやりかたには、もはやついていけない。彼の目指す新選組と、山南さんの目指す新選組は大きく違えてしまいました。この一件で、新選組の隊士は皆、土方のやり方に従うこととなります(近藤・土方に逆らえば切腹)。山南さんが思いをなす新選組像には、もう誰も賛同してくれないでしょう(山南に賛同すれば処罰)。こうした新選組の在り方に、山南さんの『近藤さん率いる新選組で攘夷を目指す』思いは急激に冷めたのでしょう。今までにない山南さんの怒りにまかせた鋭い睨みは、新選組(=土方)との決別の意味が籠もった睨みのように思えました。

今の新選組に、山南さんのキモい笑顔はもうありません。