1769. 週刊少年ジャンプ51号 - バクマン。 14ページ『ご馳走と卒業』

前話『チョコと赤マル』、今話『ご馳走と卒業』。バクマン。の二本柱である恋愛パートと漫画パートから、各々一言で表現した単語を持ち出して、『○○と●●』というサブタイトルに収める名付け方が好きです。

今話の要点

  • 初掲載が決定した漫画家には編集部から食事をご馳走される。
  • 赤マルで新妻エイジに勝つため、服部担当と二人三脚でネームレビュー。
  • 服部さんは最高たちの連載を、高校卒業後と考えている。
  • 高校進学と共に亜豆は八王子へ引っ越す。
  • 香耶に唆され、最高は卒業式の後に亜豆の元へ向かった。
  • 「いつまで待っててくれますか?」「ずっと待ってる」


ポイント考察 - 服部編集の計算
「王道・エイジ」と「邪道・最高」の勝敗予想は、先週にも述べたので割愛。想像通り、服部さんはアンケート票で勝負の白黒を付けようと考えています。希望を捨てず、真っ向勝負していく本編の姿勢はまさに王道ですね。主人公達には邪道を歩ませながら、大場&小畑先生は王道展開を選択している節、ズルイなあと思います。(褒め言葉)

服部さんの調整虚しく、アンケートでは負ける(予想)けど、赤マルの戦い以後、編集部で話題の新人となる(予想)最高と秋人。これまた服部さんの「高校卒業まで連載させない」の想定とは逆に、編集部からは最高達を担ぐ意思が働くのも必至です。

最高たちが赤マルに起用された理由と同じく、彼らは今後も体のよい新妻エイジのライバルとして当て馬作家の道を歩まされる可能性があります。そこに「最高と秋人」という個性は存在せず、「エイジの当て馬」というだけの認識で見られ兼ねません。

編集部の「職業病」から察するに、エイジと最高たちのような素材が同時期に発芽したら、同時連載を組んで本誌の賑やそうと考えるのが普通です。スキャンダラスな一手を指して、旬が過ぎたら最高たちをポイ捨てするのも、商業的可能性を考えれば小さくないでしょう。

ひょっとすると服部さんは、そういったオトナの思惑まで見透かして、高卒後の連載を薦めたのかもしれません。服部さんって、そこまでデキる人とも思えないですけど…。


ポイント考察 - 漫画家にベストな育成方針はない

しかして、服部さんのように作家を大切に育てるのがベターとも言えません。マンガ家の三大条件「運」を考えれば、最高達のような若輩者が「エイジの当て馬」として連載化の可能性が高い位置にいるこの状況こそ、運と言わずして何と表現できるでしょうか。

確率論として大切に育てる方が安全か。勘で博打して亜豆と結婚するためにエイジの当て馬で連載する方が運命的か。後者の方が客観的に「運」を感じさせるんですよね。そりゃもちろん、成功すれば運と言えるだけで、失敗したら無策無謀だったとしか言いようがないです。運ってキーワードほど後付けできる言い訳もないよなあ…。

そうは言っても、最高たちが連載のチャンスを生かして、「エイジの当て馬」という逆行を覆すなら。「最高と秋人」という認識を勝ち取るのなら。そこで初めて最高たちは、運だけでなく確かな実力で漫画家の地位を勝ち取ったと言い切れそうです。もしもこんな展開になるなら、リアルジャンプ読者をあっとと驚かせる逆転劇に期待したいです。


ポイント考察 - ロマンチックブレイカー・香耶
最高と亜豆の間にあるロマンチックな恋愛を、秋人は小言を漏らしつつも尊重する立場でした。ところが香耶は、ロマンチックを土足で踏み荒らすデストロイ&スクラップな女子。『DEATH NOTE』で言えば、月の計画を斜め上の方向から崩すミサのような役割を担っています。

香耶の行動には品がないので、ともすれば読者から嫌われてしまいそうです。ですが、結果的には彼女のようなリアリストが居たからこそ、最高の手元には実物のチョコがあるし、「ずっと待ってる」という約束を確約できるに至りました。

中高生の恋愛って出たとこ勝負みたいなところがあるんでしょう。恥ずかしさや勇気が足りずに怖じ気づいたりして、なかなか本音を口に出せず初恋が終わってしまう。そんな中、香耶みたいに両者を取り持って、両者の背中を押してくれるような子は、実は貴重だよなって思います。

高校に入ると、最高と亜豆はますます交流は疎遠になります。従って、香耶はますます活躍(?)しそうですね。恋愛パートでは香耶以外はみんな恋愛に消極的で動かないですから、彼女を活かさずして新展開に繋がらないという…。


ポイント考察 - 遠距離恋愛とメール交換
今後の恋愛パートは、ベタに考えるとメール交換が主になります。ビジュアル面の恋愛描写は今以上に疎かになり、今まで以上に地味な恋愛を見せそうでおっかない…。大場先生が巻末コメントで漏らした「地に名作品になりそう」発言は、これからが本番ってわけですか。

ところで、「八王子」って養成学校のメッカなんでしょうか。わざわざ固有名詞を出してきたからには、八王子にちなんだ舞台を用意してくるんでしょうね。


今週のバクダン
一番印象に残った場面はココ。

最高(『待ってる』だけでわかったのに…)

うん、読者も全員分かってた。

次回予想
先週書いた予想が丸々肩透かししたので、次回予想分へ回します。原稿完成より、卒業イベントの方が先立ったかぁ…。

『この世は金と知恵』が完成。赤マルへ掲載。アンケートで大敗。編集部では良くも悪くも「話題の新人」に。さあ、次はWJ本誌の読み切り原稿だ!

エイジは邪道路線がジャンプマンガを冒涜しているように映り、あまり気をよくしない…とか。あるいはエイジは、「同世代のルーキー出現」を嬉しく感じるでしょうか。こちらの場合は、最初は仲良くなっておきながら、後の展開で友情が崩壊して、恨みを買って、エイジに亜豆を寝取られるというドロドロ展開が期待できます。

エイジは感情が読めないので、現状、最もその動向を予想しづらい人物ですよね。そもそもの話ですが、この戦いの末に、果たしてエイジは「最高と秋人」の名前を覚えてくれるのでしょうか…。


残存するキーポイント

以下、これまでの感想で予想した内容をまとめてます。

  • [高][13-] 赤マル勝負はエイジに大敗するが、編集部から高評価を受ける。
  • [高][13-] 赤マル勝負の末、エイジは最高と秋人の存在を意識する。
  • [高][08-] 最高も秋人も挫折しない。「挫折しない不幸」を味わうことになる。
  • [高][12-] 美保は少年誌あたりで水着グラビアを飾り、ブレイクする。
  • [高][12-] グラビアのブレイクを逆手に取り、事務所へ声優路線の意向を強気に示す。
  • [中][06-] マンガ雑誌『少年スリー』は今後も何らかの形で再登場する。
  • [中][07-] 高校進学以後、秋人は香耶を使って「美保の情報」を入手し続ける。
  • [中][09-] エイジと最高の評価に並び、エイジのプライドが傷つく。
  • [中][09-] エイジは最高のマンガを打ち切りに指名する。
  • [中][11-] 最高と美保のクリスマス! プレゼント選びで初恋限定。的な流れ。
  • [低][06-] 中学の同級生「石沢」は意外とプロになっちゃう。
  • [低][11-] 秋人と香耶のクリスマス! デート現場を岩瀬さんに目撃されて…。


これまでのバクマン。感想