1768. 週刊少年ジャンプ50号 - バクマン。 13ページ『チョコと赤マル』

祝、巻頭カラー! なんだかんだ言ってもバクマン。は、今ジャンプで「次号の展開が気になるマンガ」のベスト3に君臨し続けています。作品性として引っかかるところ、危なげに感じるところはあるけれど、一つのエンターテイメントとして評価するならこのマンガ、すごく面白いです。ジャンプ好きの読者ほど惹き付けられてしまうのではないでしょうか。


今話の要点

  • 新妻エイジ状況。赤マル用に巻頭カラー・50Pの読み切りを執筆。
  • 新作『この世は金と知恵』の向け画を戻し、ネームに過去作のアイデアを盛り込む。
  • 21作品から好きな漫画を3本選ぶ確率は1/7。
  • 「1/7」を人気漫画ライン「1/5」にもっていくキツさに気付く。
  • 恋を選ぶと最高しか見えなくなる。だから亜豆は頑なに夢を選んでいた。
  • 主要メンバーの高校入試は全員合格。
  • クリスマス、バレンタインと恋のイベントは着々と消化。
  • 最高&秋人の原稿がついに赤マル掲載決定。高校合格より喜ぶ。
  • 赤マルジャンプ新妻エイジと勝負!


ポイント考察 - 「王道」VS「邪道」
最高と秋人は「邪道」のジャンプマンガで活路を開いてゆきます。一方の新妻エイジはく「王道」のジャンプマンガを描ける人間です。これは、手塚賞で圧倒的評価を得た実績からも動かざる事実です。

相反する二者が、それぞれの持ち味を色濃くして初対決する舞台は整いました。…とはいえ、新妻エイジが圧勝する結果は見え見えです。ここで「圧勝」とは、アンケート票で圧倒的大差を付けるということ。ところが、アンケート票ベースで勝敗を語ると、そもそも「王道」路線をいくエイジに分があるのは当然の話です。

そもそも、『邪道なジャンプマンガ』が『王道なジャンプマンガ』を超えることは、不可能を可能にするという話です。もしそれが適ってしまったら、途端に『その邪道』は『新しい王道』へと取って代わるのです。ちょうど、与党と野党の立場が逆転するように。

「王道」の定義とは、メイン読者層に親しみを持たれやすいマンガのことです。対して「邪道」は、いわゆる「天の邪鬼な読者」「目の肥えたマンガオタク」を狙った奇襲戦法に似ます。「邪道」を選んだ最高たちは、そもそもアンケートで一位を狙うマンガは描いてないんですよね。

ですから、今回の赤マル対決で「勝負!」とか謳っても、実のところ「王道」VS「邪道」は真っ当な勝負になりません。評価基準を『アンケート票』とした時点で、「邪道」はそもそも勝負から降りていると思います。


ポイント考察 - 狙うは「編集部」の評価
しかしながらこの赤マル対決、勝敗の評価基準を『アンケート以外』の観点でもってすれば、最高たちの勝利と判定できるポイントがあります。結論からいうと、編集部にアピールできるか否か。結局のところ、ジャンプ本誌を発行する中枢に影響を与えれば、『アンケート』なんて二の次だと思うんですよ、赤マル時代なら。

ジャンプ編集部に新妻エイジに匹敵しそうなルーキーが到来した!」と予期させるアピールが適えば、最高たちの勝利です。「やはり新妻エイジの一強時代か…」とエイジの巨大な存在感に隠れてしまうなら、最高たちの敗北です。

「邪道」で戦う最高たちは、『勝ち』よりも『価値』にこだわっていいんですよ。編集部に「コイツらアタマオカシイ(褒め言葉)」と思わせればよし。「新妻エイジには絶対に描けないマンガだ」と思わせればよし。

ただ気がかりなのは、『バクマン。』という一マンガ体として最高たちの勝利をシンプルに描くなら、それはやっぱりアンケート基準だと思うんですよね。「邪道だから〜うんたらかんたら〜編集部の話題作になれば勝ちだ!」って話を持ち出すと、うんたらかんたらの説明が冗長すぎます…。


ポイント考察 - 最高も秋人も挫折しない図
長々と「王道」VS「邪道」の対立推移について予想しましたが、一つ言えるのは、この勝負に負けても最高達はまたしても挫折しないということ。

  • 正面からマトモにぶつからないので、負けても言い訳できる
  • 勝敗に関わらず「最高たちのも奇抜で面白い」という評判を得そう
  • 編集部から「期待のルーキー」として注目視されそう

勝負に負けても、今までと同じく「新妻エイジがすごすぎる…」「漫画描きのキャリアが違う」というニュアンスで敗北を受け入れ、前向きに捉えるんだろうなと思います。


今週のバクダン
チョコは樹脂含浸標本としてコーティングしとこう。

次回予想
『この世は金と知恵』が完成。赤マルへ掲載。アンケートで大敗。編集部では良くも悪くも「話題の新人」に。さあ、次はWJ本誌の読み切り原稿だ! という展開を予想します。対するエイジは、邪道路線がジャンプマンガを冒涜しているように映り、あまり気をよくしない…とか。

あるいはエイジは、「同世代のルーキー出現」を嬉しく感じるでしょうか。こちらの場合は、最初は仲良くなっておきながら、後の展開で友情が崩壊して、恨みを買って、エイジに亜豆を寝取られるというドロドロ展開が期待できます。エイジは感情が読めないので、現状、最もその動向を予想しづらい人物ですよね。

そもそもの話ですが、この戦いの末に、果たしてエイジは「最高と秋人」の名前を覚えてくれるのでしょうか…。


残存するキーポイント

以下、これまでの感想で予想した内容をまとめてます。

  • [高][13-] 赤マル勝負はエイジに大敗するが、編集部から高評価を受ける。
  • [高][13-] 赤マル勝負の末、エイジは最高と秋人の存在を意識する。
  • [高][08-] 最高も秋人も挫折しない。「挫折しない不幸」を味わうことになる。
  • [高][12-] 美保は少年誌あたりで水着グラビアを飾り、ブレイクする。
  • [高][12-] グラビアのブレイクを逆手に取り、事務所へ声優路線の意向を強気に示す。
  • [中][06-] マンガ雑誌『少年スリー』は今後も何らかの形で再登場する。
  • [中][07-] 高校進学以後、秋人は香耶を使って「美保の情報」を入手し続ける。
  • [中][09-] エイジと最高の評価に並び、エイジのプライドが傷つく。
  • [中][09-] エイジは最高のマンガを打ち切りに指名する。
  • [中][11-] 最高と美保のクリスマス! プレゼント選びで初恋限定。的な流れ。
  • [低][06-] 中学の同級生「石沢」は意外とプロになっちゃう。
  • [低][11-] 秋人と香耶のクリスマス! デート現場を岩瀬さんに目撃されて…。


これまでのバクマン。感想