1735. 中二病患者のみんな集まれ〜! 『TIME HOLLOW』のススメ

中二病サイトSnowSwallowを愛読されている中二病読者の皆様に、今すぐご紹介したいゲームソフトがこれ。『TIME HOLLOW -奪われた過去を求めて-』コナミがやらかしてくれました!

昨日あれだけ『繰り返し世界ゲー』を持ち上げておいてなんですが、「TIME HOLLOW」はその類のゲームじゃありませんでしたというちゃぶ台返し

ぜひ皆さんにも体感いただきたい「新感覚中二病SF・TIME HOLLOWを、今日はネタバレしない程度にご紹介いたします。


中二病ポイント1 - ネーミングセンス

まず知って欲しいのが中二病的ネーミングセンス。

なんたって主人公の名前は時尾歩郎。ゲームタイトルがタイムホロウだから時尾歩郎(ほろう)。17歳になった歩郎は時尾一族に代々受け継がれる「ホロウペン」を駆使して、過去を修正します。

息子の名前を「ホロウペン」から当て字しちゃった父ちゃんは何考えてんの。そして時間を操るホロウペンを所持できるから時尾一族。能力が苗字でバレバレじゃないの!

登場人物の苗字には必ず一〜十二の数字が付きます。まあ、「一柳」とか「二宮」なら許容範囲だけど、「十一谷」とか「十二林」って苗字はあんまりだ! 「じゅういちや」くんて。「じゅうにばやし」さんて。雛人形の種類みたいじゃないの!

歩郎の飼い猫の名前はフォ郎。だめだ、フォローしきれない…。なんて思っていたら、フォ郎は猫のくせに、歩郎の能力ゲージを稀に回復してくれます。プレイヤーがフォローされる側だった。

極めつけは、歩郎が親友たちとたまり場に使ってる喫茶店の名前が「黒の巣」。なぜならクロノスだから! いやいや…こんな怪しい名前の喫茶店が流行るかっての。しかし、真に恐ろしいのは、歩郎少年が物語後半の第四章で呟いたこのセリフです。

歩郎「黒の巣……クロノス…! 店の内装が黒いから黒の巣だと思ってたよ…」

歩郎くん、第四章にして今さら気づいちゃった。遅っせーーーよ。どんだけハードル下げてるの。こんな製作サイドの都合から歩郎くんがアホの子みたいなセリフを吐かされたと思うと…。涙なくして鑑賞できない…。


中二病ポイント2 - 時間に干渉する演出

「ホロウペン」を駆使して過去を修正する一連の演出があまりに中二病です。過去を修正すると「影響した過去」がフラッシュバックで見えます。このフラッシュバックをして、歩郎くんは…

歩郎「クッ…! なんだ今の映像… いや、僕は知っているぞ…!

だめだーっ! 歩郎くんがアホの子だーっ!「僕は知っているぞ(笑)」みたいなセリフを、まさか独り言で、真顔で、割とたびたび声に出して語っちゃう少年。中学の頃、こういうクラスメイトが一人くらい居ましたよね。

きっと学校でも「ぐわっ…! 誰だ、僕の過去に干渉する奴は…」とか口走ってるんですよ。「くぉっ…! また過去が変わった… 今度は何が変化したんだ!?」とか家族の前で言っちゃいます。そのたび周囲の人間はあまり関わらないで距離を置こうという気持ちに…。

そんな歩郎くんですが、なぜか女子にはモテまくりでした。アドベンチャーゲームの都合ですね。この辺の設定が、また中二臭いです。それからネタバレは控えますが、「ホロウペン」にも様々な制約があり、その設定のテイストがまた、どれもこれも中二臭漂っています。

詳細は、ご自身の目で確かめてください。


中二病ポイント3 - ミステリアスな美少女

タイムSFモノといえば定番中の定番。「謎の美少女」的ポジションの登場人物も、この作品にはまんまと登場しちゃいます。さすが『TIME HOLLOW』、王道展開は僅かばかりも外しません。

ミステリアスな美少女「キミの力で運命を変えてみなさい?」

女の厨二病きたわあ。まさか歩郎の、中二センス抜群のセリフに、絶妙に合わせて来るとは…。侮りがたし十二林さん。

ミステリアスなポジショニングを締めながら、さらに苗字が突拍子のない「十二林」という彼女は、このゲーム中で不気味すぎるくらいキャラが立ちすぎています。思い入れの強いキャラほど設定過多になる。中二病ゲームには割りとよくある話ですね!

十二林さんをこれ以上掘り下げるとネタバレになるので、このくらいにしといてやんよ。


ゲームにとって「中二病」は褒め言葉

ここまで「中二病」という言葉を使い、『TIME HOLLOW』をバカにしてきたように聞こえたかもしれません。オレとしては大絶賛しているつもりです。今どきここまで昭和テイストを迸らせる作品というのも珍しい気がします。

一言でいうと、ものすごくパワフル! それでいてゲーム自体は結構面白いんです。決して「クソゲー」でもなければ「バカゲー」でもない。言うなれば「ネタゲー」です。一本筋の通った、生粋の「中二ゲー」がここに濃縮されているのです。

このゲームをやったからには、誰かと酒の肴にせずには居られません。そんな味わい深い作品です。


IME HOLLOW』を真面目に紹介

最後になりましたが、『TIME HOLLOW』をクリアした一プレイヤーから、真面目に感想を残しておきます。

歩郎(プレイヤー)は過去を修正するホロウペンで様々な事件を解決していきます。過去を弄るためには「場所」「時間」「トリガー(情報やアイテム)」が必要です。条件を揃えるために町を歩き回るあたりは、従来型のアドベンチャーゲームでした。

『TIME HOLLOW』の着眼点が新しいのは、過去を修正すると現在が変化する演出を、ゲーム性にまで落とし込んで表現したこと。作品の根底に流れるSF概念を、プレイヤーの操作面に委ねています。具体的な例で説明しますと、このゲームは…

Aさんを救うため過去を修正したら、今度はBさんに悪影響が出て、別の過去を調整してやる

…といった基本作業を繰り返すのです。単調な作業ながら、作中世界に入り込みやすかったのは、「過去の修正」をありのまま「ミニゲーム」に仕立てたおかげでしょう。まあ、それでもちょっとコツを掴むまでは、演出の意図が分かりにくかったりもしましたけど。

まどろっこしいゲームに見えそうですが、実のところ小学生でもぬるいと感じる程でしょう。なんたってプレイ時間は10時間弱です。攻略情報は一切不要でサクサク解けるゲームバランスは、携帯ゲーム機に相応しい難度とも思えます。

むしろこのゲームは、クリア後に物語(時間軸)の整合性を考察して楽しむ類の作品です。従って余韻は深いです。分岐なしの一本道シナリオながら、幾多の「可能性世界」を体感させてくれます。よくもプレイ10時間弱シナリオに収めたなあと感心しきり。

AVGに億劫な人も、SFが苦手な人も、ゲームをあまり遊ばない方も、たった10時間でクリアできる「TIME HOLLOW」はお手軽でお勧めできる一本です。


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