1660. はてブの主役を「Webサイト」から「利用者」へ

前回のエントリを要約します。

はてなハイクは「お題→投稿→評価」の流れがメインフローのコミュニティサービスだと結論付けました。はてなスターで「評価」するので、コメントの煩わしさもストレスもありません。

はて☆は『はてなid』が分かるので、さながら『Web拍手』の非匿名版です。短文投稿型で消費スピードの速いハイクと、ワンクリックで投稿者と評価者が意思疎通できるはて☆は、短期間に多数の交流機会を与えます。『はてな村コミュニティ』の形成に、はてハとはて☆は非常に相性がよかった、というお話でした。

今回のテーマは、はてなブックマークはてブとはて☆の相性も、同様のコミュニティ形成率を誇るはず。しかし、どうにも本領発揮できていないような気がして悶々、という件。

はてなブックマークって実は、見方によっては、はてなハイクと大差ない用途も可能と思います。すなわち、下のようにすり替えれば『はてブ村コミュニティ』を構築できるのでは、ということ。

  • お題=Webサイト
  • 投稿=ブクマエントリ
  • 評価=ブクマエントリに対するはてなスター

ハイク流に考えるとこうなります。注目のWebサイトを肴に、利用者たちが短文の意見・投稿を重ねる。評価者(=利用者)は面白い投稿に☆を付ける。これを飽きるまで繰り返す。この際、1サイトに1ブクマなんて制限は不要です。ハイク流はてブ『Webサイトではなく、投稿の方を評価する』のです。

それだけでは、Webサイト管理人の方が蚊帳の外にされて面白くないでしょう。ですので、お題(Webサイト)を評価するソーシャルブクマ機能は現状を据え置き、外野からは今まで同様に見せておきます。内野の「はてブ村コミュニティの住人」は、住人だけで楽しめる遊び方がある。そんな二層構造のサービスを、はてブは狙えたのではないかと思います。

しかし、現実はこうです。

  • 主人=Webサイト
  • 従者=ブクマエントリ
  • 野次馬=ブクマエントリに対するはてなスター

圧倒的多数は、はてブソーシャルブックマークツールと認識しています。事実その用途で、はてブは国内シェアトップの座に君臨しています。その用途は、突き詰めると個人プレイ。コミュニティ形成を睨んだ「お気に入り」機能も、現状は所詮、個人プレイの集積閲覧に過ぎません。

はてブの『コミュニティ性』に着眼すると、横のつながり(ユーザ同士の連携)の希薄さは否めないです。極論で語ると、現状のはてブでは、(お気に入り機能で)既存の知り合いを身近に感じることはできても、赤の他人のはてブユーザを身近に感じることは難しいです。

そしてまた、はてブはシェアNo1といえど、一般社会的な地位としては『ごく少数派の趣味』に成り下がります。世間的にはマニアックなサービスの一つに過ぎません。一般大衆に浸透させるには、個人ツールの域を、ユーザの輪が自然に広がる「コミュニティツール」のラインまで押し上げることは必然です。

そもそもはてブは、「個人ツール」ではなく「コミュニティツール」の目的を意図して設計したかった節があります。CNETの記事を拝見して、そういった気持ちが強まりました。

「○○さんがこのエントリーを面白いと思った」みたいなデータが大量に溜まっているのに、全然それを活用できていない。 また、はてなブックマーク人気エントリーの仕組みは最新順などでしか見せられていないんですが、もっと文章の意味なども考慮して、非線形な感じで見せられるはずなんです。

これらは、はてなハイクのサービス周りでは、割と有用活用できている部類です。あの面白い「○○さんのデータ」の群集を活用した表現が、サービス上にデザインでき、コミュニティ形成の補助機能として回れば、横のつながりをフォローするひとつの柱になりそうです。

「お気に入り機能を真ん中に据えた見せ方」、「コメントをどうやってモデレーションするか」、「ブックマークされているサイト運営者の、ある程度はてなブックマークをコントロールしたいという要望」などをどんどん実行していきます。

重要課題に挙がったこの三点も、「Webサイト」ではなく「はてブユーザの投稿」を主眼においています。ここからも、コミュニティツール化を睨んだ戦略を匂わせます。次世代はてブにキャッチフレーズを与えるならば、主役は「Webサイト」から「利用者」へ。…といったところでしょうか。

Webサイトが主役では、はてブユーザは注目サイトへハイエナの如く集る一時的集団に過ぎず、そこから生まれるコミュニティは一過性のものです。はてブユーザが主役なら、一個の注目サイトに囚われず、ユーザ間の連携において連続性のあるコミュニティが保たれます。

というのは、ただいまハイク脳に冒されているオレの妄想でした。実際のはてブが次のステージでどのような展開を見せるのか、楽しみです。


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