1520. 週刊少年ジャンプ - 38号
日曜夜に感想を書き貯めないと、こんなにも延び延びになるのでした。
- ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 −霊の友−
- 単なるカメラの光学現象を、さも「霊の仕業」に仕立てあげる姿勢は悪ノリしすぎじゃないかなあ。子供達が喜ぶ(というか怖がる)と思っての特集だろうけど、デマや曲解を教え込むのは間違ってる。こんなのをジャンプ様が罷り通すとは、ショック。
健闘枠: BLEACH ムヒョとロージーの魔法律相談事務所一護100%の先行感想はこちら。
特集枠: D.Gray-man
修行は第一段階の葉っぱ斬り、第二段階の性質変化も完成し、次はいよいよ最終段階の仕上げかな。風を使ったどんなギミックの必殺技が飛び出すか、すごく楽しみにしてます。千鳥や螺旋丸といった「必殺技の仕組み」を丁寧に描写・解説する、岸本先生のこだわりは大好き。技名叫んで爆炎するインパクト重視の必殺技じゃ燃えないもの。骨格の仕組みが細やかだから、知略戦にも広がりを生むんでしょうね。
ところで、アスマ先生に意味深な描写を重ねてるけど、そんな死亡フラグより紅先生とのただならぬ仲の方が気になる。そして紅先生のメイン化が進めば、オレ達の発情猫・ヒナタ嬢も再登場の算段だ。芋づる式にヒナタ嬢が日の目を見るなら、これはもう、全力でアスマ先生の活躍を応援せねばならない! さあ立ち上がれ世界中のヒナタ嬢ファン!
同情する! オレはファンクフリードくんに同情する! いかにご立派な象さんのお鼻といえど、銃口向けられては萎縮して当然だ。古来より、男子とはそんな生き物だ。脅しとプレッシャーに弱い生き物だ。プライドがある手前、公衆の場ではビビったり叫んだりせず、澄まし顔で平然を装う。しかしいかんせん下半身はお留守なのだ。この手の脅しに、最も敏感に反応する部位は、何を隠そうご立派な象さんのお鼻だ。今回ファンクフリードくんは、フランキーに雄としてのプライドを、大人数の人前で文字通りへし折られた! だからオレは、ファンクフリードくんに同情する!また、男子のゴムゴム論として外せない見解はもう一点ある。ルフィはギア3の反動で小型化するが、その萎縮時間は発動時間に比例という論説だ。なるほど説得力がある。例えば一時間もハッスルし続けると、その反動で萎縮時感が長引き、なかなか二回戦に挑めない。そうした尾田先生なりの経験論なのだ。ルフィの戦いぶりからオレ達男子は、学ばねばならない。一発のギガントでハニーのハートを仕留める(パワー重視)か、複数発のジェットをハニーの身体に乱射する(スピード重視)か。やはり、尾田先生の学説は奥が深い。
ココロさんの人魚伝説はタイミング絶妙だ。まず、彼女がエニエス・ロビー本島についてきた納得感が出た。過去回想編の伏線『美人秘書』もちゃっかり回収か。当時は美人バージョンの人魚さんだった? 孫もペットも人魚の秘密を知らなかったのは違和感。ココロさんは何十年ぶりの変身だったんだろ。あと、ココロさんはデフォで貝殻ブラを装備していたことまで深読みすると、たちまち鬱になれる。
表紙の「今週の佐藤さん」、新シリーズと低人気シリーズをトレードするエンタ制度、ジャンプ広告を逆手に取った表紙ネタ、QRコードにブログなどネットメディアの利用など、遊び心満載のエンターテイメントを作る姿勢にはすごく憧れる。つまり大石先生のネタ作りは、漫画内容にとどまらない。まるで新感覚のピン芸人が毎週ネタを披露する感覚に近い。
だけど、そもそも四コマ漫画のクオリティに難色があったりもする。「微妙に笑えないネタ」の含有率も、決して低いとはいえないレベル。流行モノや色モノばかり追いかけず、しっかり作家としての地盤も固めて欲しいところ。
今や天野先生が筆を滑らせる目的はただ一つ! 山本をいかに描写して女性ファンを拡大させるか。今までの泥臭い試合とは、一味も二味も違う。なにかしら神聖な気迫を感じてしまう。格好いい山本、艶やかな山本、スタイリッシュな山本、ウェットな山本、色気たっぷりの山本、クールかつ情熱的な山本。「ハァ ハァ」言っちゃう山本。流血しちゃう山本。水滴を散らす山本。今シリーズはアレですか。山本写真撮影会のイベントですか。
スクアーロの語る『秋雨』は、山本の知る時雨蒼燕流の八の型とは異なる技らしい。山本父はこうも語ってましたね。蒼燕流の型は「実戦の中で培い積み重ねた全てに意味のある動き」と。スクアーロに打ち破られた『秋雨』はおそらく、進化した型となって山本に継承されたハズ。『秋雨』を進化させたのが山本父なら、スクアーロが打ち破った蒼燕流の使い手は、父の知り合いだろうな。その辺の背景も掘り下げて、まだまだ山本×スクアーロ戦は激化しそう。
ペイジの失態
ペイジさんに関わる全エピソードが薄っぺらく感じてしまう。魔法律検定での大失態は、作中全体へ悪影響を及ぼしてるよ。ペイジが登場する話は毎回、こんな気持ちで読み進めなきゃいけないのかなあ…。
アントニオ作丸「良い魔法律家を育てるのじゃ!」そりゃ何の冗談ですか。育てた弟子の一人は禁魔法律家に! 再び育成を図った強化合宿も大失敗! ああペイジさんの偉業の数々。目も当てられないよ。
ペイジ「元凶である奴を倒さねば何も終わらんのだよ…」元凶はキミら魔法律協会だー! この辺り、既存の現実世界へ「魔法律協会」を強引に溶け込ませたことが仇になってるのかも。魔法律に関する全ての厄災は、いやが応にも、魔法律協会にフィードバックするのだから。もちろん、魔法律協会がダメ組織であることも、十分に加味すべきだけどね。
ホントはすごい作丸さん
ペイジさんと魔法律協会の悪行の数々が影響して、作丸さんまで酷い人に見えてしまう。ペイジと作丸、二人は似た者同士だから、必要以上にキャラを重ねてしまうのかなあ。
しかし実際、作丸さんはベストを尽くしている。さすが『当時最強の執行人』だ。あるいは魔法律協会の四賢人にあるまじき執行人、とでも表現したい。
- 懐かしの「魔法律戦略図」を使い、周到な戦術を練った形跡がある。
- 作戦会議で執行人を召集したのは「上級魔法律」のため。
- 詠唱に時間が掛かる上級魔法律を、ティキに阻止されず執行できている。
- 万策尽きても、協力者の退路は用意していた。
- ティキの能力を目視した者(ペイジ)を、後世に残した。
- 作丸は作戦を指揮した責を取って、最後まで敵前逃亡せず殉職した。
以上の描写は、いずれもそつなく仕上がっているためか、どれもインパクトに欠ける。「作丸がティキにしてやられた」「大量の執行人を巻き添えにした」「作丸が弟子を崖に突き落とした」など、魔法律協会の汚名として美味しい、高インパクトの演出に目を引かれてしまう。
結果として、『ペイジと作丸は同レベル』という読まれ方になりがちだ。西先生は、ホント惜しいことをしてると思う。早くペイジさんの汚名を拭わないと、このままじゃ作品の寿命すら縮めかねない。今シリーズは勝負どころだ。
山の精? 山の神?
山の精vs洋一。相変わらず疾走感のない、ドタドタとした、不器用なバトル描写ですこと。ま、そこはいつものご愛敬。決め絵となる「魔封石の術」と、そこに至る小さな伏線の張り方などはお見事でした。ペンと杖と破魔丸と、多彩な魔具を駆使して悪霊を討つ展開も魅力的。
で、煽り文では「山の神」と言い切ってるけど、結局精なの? 神なの?
音を盾にする戦略、という安直な予想は大外れ。「もっと=hut」と、インモーションの二重伏線による神展開でした。見事に騙されてスッキリ爽快。ラストも、セナが阿含に挑むと思い込んでいた。ヒル魔がタッチダウンしたのはインパクト絶大だ。『少年漫画のお約束』を利用し、読者の予想をも裏切る、稲垣先生なりの戦術だったのかも。高校生で伸び盛りの阿含が、この一年全く走力が伸びてないのは違和感。この位の年頃なら、試合で走り回るだけでも基礎体力は高まりそうだけど…。むしろ、阿含がヒル魔の走力をコンマ刻みで覚えてる方がすごい記憶力だよ。本格的に天才だな。もしくは本格的にストーカーだな。…あ、 「逃げられやしねえよ…!!」ってそういう意味ですか。
シルバークラスとタイマンマッチのレベルになると、いよいよ九澄もガチンコだけでは対処できないハズ。ここいらで、九澄が主人公としての真価を見せるのでは。理事長の話では「エムゼロカード」にも何らかの能力があるようだし。エムゼロって言葉からイメージを膨らませ、対象の魔法力を無効化したり、MPをゼロにするような効力があったりして。マホトーンぽいなにか。ところで、愛理がさっぱり絡まないのも、かなり口寂しいです。
史実キャラのミツバさんは、今まで登場の機会を窺ってたのかな。土方とミツバのただならぬ仲は後付け臭いけど、結果的に総悟との仲の悪さを説明付け、なんちゅう整合性の良さ。おかげで何の違和感もなく、ミツバが銀魂世界に溶け込んでる。シスコンのデレ総悟、動揺しまくる土方など、珍しいモノが沢山見られて満足です。ミツバの「激辛せんべえ」を食べた土方が、すぐにそれと気付かないのは疑問点。そこにせんべいがあれば、自動的に手を伸ばしてしまうのは、日本人としての性なのか。一つフォローすると、斬のバトル描写って、すごく読みやすい。ONE PIECEは一コマに情報を含めすぎて読解しにくい。BLEACHは流血と爆煙と必殺技ばかりで誤魔化してる。ナルトは描写が細やかさに躓いてくどさと焦れったさが残る。D.Gray-manはもはやアートの粋だし。ムヒョロジは「動と静」の描き分けがなってないし。リボーンはカッコよさが第一だし。
そんな中で斬は大健闘してるよ。誰がどのように攻撃するか、どのように動くかが単純明快に分かる。これは偏に、無駄な線のないこざっぱりした画風のおかげだ。長い解説を入れる場合は、バトル時間が完全に停止するから分かりやすいし、小学生から大人まで幅広く受けいれられる設計だ。また、進んでる方角や、刀を握る手が逆になる。これは正当派バトル漫画を読み慣れた玄人向けの扱いにくすぎる表現力って算段。すげえよ斬バトル。もはや立つこともままならない。
真剣勝負の合間にも、「風でスカートがめくれそう」なことをざわざわ女の子に説明させて辱めるという、ハイレベルなお色気描写を忘れない杉田先生。もちろん斬は、例に漏れずお色気漫画の一角を担うジャンプ漫画です! 杉田先生、今後も励んで下さい。
ネウロとの戦闘を通してスフィンクスがパワーアップするシステムも面白いアイデア。撲殺、銃殺ときて、次は刺殺だろうけど、ネウロに接近戦を挑むのは苦しい気もする。春川の殺害と同様、人間大砲のように刃物を咥えて特攻するのかな。次週はもの凄い絵を期待してしまう。
今回はスフィンクスの作戦上、弥子を狙わなかったけど、最終戦では「ネウロの弱点は弥子」と気付いたりしてね。弥子を庇って傷付き倒れるネウロ(想像できない!)の前に、どれほどの助っ人が現れるか楽しみ。本命は笛吹達警察勢、対抗は早坂兄弟だろうなあ。アヤが歌いながら登場なんてのも、ネタ的に期待してしまう。あとドーピングコンソメ…。
今週はさすがベテラン先生、一話分の物語圧縮率に感心した。心が死んで、一度は自決を図ってからの起死回生。四対一のバトルも、今までに散りばめた伏線を回収しつつ逆転劇。キャンディで先生に戻る予想に全てを投げ打ち、あまつさえその賭けに勝った村雨くんは、強運も持ち合わせているように感じる。締めは監禁状態で意識回復。たった一話でよくここまで進めるなあ…。
数話前に登場した「オヤジ狩り」されてたサラリーマン神吹は、もっそいはっちゃけ登場だなあ。意外すぎて笑うしかない。ここで案内屋の救援は、敵陣への揺さぶりにもなるね。敵がこれ以上増えなければ、計画通り逃げおおせるだろうけど。神吹さんはこの性格じゃ戦いそうだ。
一ページ目から「今度はいつ出発されるんですか?」と問われる太臓が不憫。女ばかりか男の間人にも嫌われとる! 扉絵の阿久津兄妹編もいつか回想して頂きたい。「上半身と下半身は別人格」「しょんぼり」など、今週号は男性器に関するトリビアが多いなあ。回想編は側近バジンが見所か。宏海の代わりに、彼がツッコミからリアクションまで一通り賄ってる。当時は何とも思わなかった「ちくわと鉄アレイ」も、こうして冷静に判断されると笑いが止まりません。なんで鉄アレイだったんだ。- 【一番印象に残った台詞】「拙者一秒ごとに成長するタイプだから!」
ああ今週は苦しかった。次週は早めに仕上げたいよ。