1459. 週刊少年ジャンプ - 23号

GWはパソコン離れして旅行にショッピングに遊び回ったので、随分とリフレッシュできました。仕事柄、四六時中PCの前に座り、ネットに繋がってる状況ですから、何日もネットをしないだけで気分転換になります。お陰様で、物書き気力ゲージも充実MAX! 充電完了でございます。

 
 表紙はエム×ゼロ。タイトルがHUNTER×HUNTERと被ってることに今さら気付く。代案立てようよ編集さん…。例えば「エム○」(○にゼロの意味を含ませる)とか、「エム∞ゼロ」(ゼロか無限大かハッキリして欲しい)とか、「エム♀ゼロ♂」(お色気マンガだし)とか、その辺配慮しすればよかったと思う。前回表紙を飾れなかったToLOVEるが、申し訳なさ程度に前回と同じカラー絵で登場してるのは何の呪いですか。
英雄G+!
 折り込みのゲーム広告多いなあ。「ファントムブラッド」心なしか「北斗の拳」とダブって見える。確かに絵柄も作風も、似たような位置にあるよね…。連載終了後何年にもなるドラゴンボールは、続々新作ゲームが出るけど、それほど売れる題材なんだろな。
赤マルジャンプ
 GW中に読み終えました。加持君也先生の作品は期待以上の仕上がりでした。本誌連載で「暗闇にドッキリ」、本誌読切で「暗闇でサッカー」、そして今回は「暗闇でロッカー」ときた。暗闇三部作ですよ! 本当に加持センセは暗闇が大好きだなあ。漫画家は暗闇が大好きだなあ。前回の「サムライスラッシュ」よりはよっぽど面白かったです。

健闘枠: DEATH NOTE
特集枠: エム×ゼロ Mr.FULLSWING

* 1(-) エム×ゼロ(新連載)
「魔法」「恋愛」「学園」の三本柱から各ポイントを分析、先行感想はこちら。

* 2(2) ONE PIECE ワンピース
司法の塔の状況整理。ナミ達だけは亀裂上側に位置する事を再認識。カリファ戦決着と同時に塔が崩壊する筋書きか? カリファをやっつけても、2番鍵は瓦礫の中へ! ますますピンチのゾロ、というか主にウソップ。フランキーは予想外にも伸びてるけど、鍵持ってるし復帰は確実。塔が崩壊する大爆音で目覚めるのかな?

ルフィとルッチは海底の地下部屋でバトル。迫撃最強の二人が激突したら、ものの数話で建物崩壊して海水流れ込みそう。つか、海水流れ込み待ちじゃね? ダチョウ倶楽部の熱湯風呂よりお約束率高くね? 結果的に一時休戦となり、劣勢のルフィが命拾いして勝利のヒントを掴む展開かなあ。…これなんてアラバスタ展開? 頂上決戦は『ためらいの橋』ぽい。

あんなに焦らしたゴールデン電伝虫を、あっけなく押した展開は、泣けばいいのか驚けばいいのか怒ればいいのか、うん、笑っとこう。青キジの召集と認識されたので、彼と因縁深い赤イヌも近々登場か。海軍兵士達へ「オハラの秘密」「プルトンの設計図」「古代兵器と軍事力」「バスターコールの真相」をぶっちゃけたのは、世界規模で革命的な事では? 海軍本部のお偉いさんや五老星に顛末が知れたら、さぞかし驚き憤怒しそう。そっちサイドの反応がすこぶる楽しみ。ルフィVSルッチは後回しでいいからさあ。

0.03mmの超薄型コンドームくらい薄っぺらな説得力だったサイの改心に、疑惑を向けるヤマトさんの心理は実に共感できる。前話時点でサイは「”つながり”の実在を知りたい」と答えを出してるから、読者的には疑う余地もないのが惜しい。前振り演出が長すぎて、サイはどっち派だろうとドキドキするのも通り越し、最後はバレバレだったのが何ともなあ…。0.03mmでも避妊の説得力は確かだったってコトだよね、これ。

バレバレの作り笑顔は伏線で、はにかみ笑顔こそ演技の真骨頂という大伏線もあるいはアリだったかも。そんな神展開が到来したら、世のナルト評価は根底から覆されますよ。忍者のくせにサッパリ忍んでないけど、唯一「間者」としての忍者的表現は卓越しているナルトと評されるに違いない!

ところで、サイは「木の葉に強硬姿勢を示していた霧隠れの上忍」を暗殺したと触れてるけど、これって逆効果では? 木ノ葉を敵視する霧隠れの上忍を「木ノ葉の暗部」が殺したら、火に油を注ぐようなものじゃないか。ますます霧隠れから恨みを買い、木ノ葉は立場悪くしそう。サイは上忍レベルの使い手と仄めかす意味なんだろうけどさ…。

* 4(12) DEATH NOTE
今回のラスト、月は案外「リンゴ1箱上げるから助けておくれ」で助かったのかもね。

最後の言葉
一時はレム、ワタリ、Lを一掃する手腕を発揮した月が、最後は未練たらしく生を渇望。「ち ちくしょう………」と咆哮して幕引き。月の最後の言葉は期待したけれど、独創性は皆無。Lのように謎の言葉を発したり、心に響くコトバを残したり、誰かの身を案じたり、懺悔したり、最後まで己の正義を信じたり、パターンは色々あるんですよ。

今と昔
それら全てを放棄して、メロとニアに推理ゲームで負けた悔しさを表現する「ちくしょう」。落ちるところまで落ち、寧ろ、凡人レベルの思考に回帰したと感じました。キラの計画を正義と信じた純真な頃の月と、神の権限にどっぷり浸かって汚濁した今の月。対比表現にしてんだろうな。当初の月は、自分が「権力」に溺れるなんて考慮しなかったんだろう。

月とリューク
第一話から傍観を決め込んでいたリュークが、ついに己のデスノートを行使する。ノートには夜神月の文字。この結末が、大場先生が第二部当初から考えた”絵”なんでしょうね。月がLや総一郎に「友人」や「父親」など人間らしい情を抱かなかったのと同様に、リュークもまた、数年行動を共にした月を消すことへ躊躇いも情も抱かない。なんてクールだリュークさん。なんてドライだ二人の関係。

天国も地獄もない
「天国も地獄もない」はリアルの話だけど、デスノートの作中世界は『死神』が実在するだけに、天国や地獄の存在も仮定できるのではないかと、読んでて引っかかりました。「死んだ後にいくところは、無である。」はまさしく事実だけど、これを小学生が読んだら夜眠れなくなりそう。死神の姿や、人殺しシーンや、ホラー演出なんかよりずっと、心理的にプレッシャーを与える一文です。

一番の笑いどころはザスティン登場シーン。ラブコメを意識して作中の絵柄をソフトにしたのに、彼の容姿だけそこはかとなく『イマジンブレード・LV.2!』って雰囲気。こんなじゃ、この人が剣とか抜いただけで爆笑しちゃうでしょ! リトと春菜の間柄は非常に浅い関係のようで、ララとの全裸抱擁を見られてもサッパリ危機的を煽られない。リトに『春菜しか選べない理由』でもあれば違うんだけど。古くからの許嫁とか、既に恋人関係とかね。こんな調子で毎週、出し惜しみなく全裸描くのかな矢吹先生。ダメだ、「矢吹先生」って字面だけで吹きそうになる…!

* 6(3) BLEACH
猫や鳥の行動から結界がいかなる存在か説明的に描く、さりげなさが心地よい。王鍵の説明は仮面の皆さんにも聞かれたのかな? この辺の場面描写が割愛され、かえって気になります。仮面の皆さんは王鍵絡みで空座町に訪れたか、一護を獲得するため集結したのか、いい判断材料になる場面なのに。

織姫とチャドの能力は、死神・虚・仮面の三面共に正体不明と出ました。一護の垂れ流し霊力にあてられて発芽した能力と思ってたけど、どうやら「王鍵」の影響と推測した方が正解に近い? 斬魄刀無しでそつなく能力を発動するので、死神化というよりは、確かに『人間の虚化の方が的を射た表現に感じます。(→有無さん/前号の感想より

その他の見所

  • 「はちぎょうそうがい」ってジャンプ感想の人が漢字で書いて下さるのをコピー待ちです。
  • 「ワタシが仮面化してから独自に作り出した漢字…」だったらどうしよう。
  • 「パソコンの辞書で変換することは不可能デス…」
  • 無防備な織姫登場! そんなミニスカで急な階段降りるから、皆様に『じい…っ…』って視られるんだ!
  • 立ち去る織姫を追う者。彼女の能力の正体を気にする仮面の誰か? キャラ掘り下げに繋げてほしい。
  • 滅法師サイドでも「結界」の中で修行してるけど、竜弦(雨竜父)と鉢玄(ハッチ)と織姫の結界は別種なの? ややこしいね…。

* 7(6) 銀魂
ケチャップのぶっかけシーンはまるで流血。黒ベタは血にも見えて危険ッスよ。ケチャップもマヨネーズも、擬音の響きが生々しすぎてかなーり卑猥だ。あと、マヨネーズかけてる時の土方はスゲー真顔ですよね。この瞬間だけは心身共に微動だにしなさそうだ。というか、隙だらけだよこの人。

その他の見所

  • 新八が神楽の存在を察して慌てる様は、ナイスリアクション。流されやすい子だなあ。
  • 近藤さんのご機嫌取りに走る過剰反応な豹変っぷりは、何度読んでも笑えました。
  • 土方の強さの秘密は直感力。今さらだよなあ、この解説。
  • 改めて、平成WJの三本柱『友情』『直感』『勝利』が証明されました。
  • そんなことより、早く近藤さんの本来の実力が見たくてウズウズ。

本編は手抜きなんだけど、表紙のハイクオリティ加減をネタにして笑いを狙うあたりは頭脳プレイ。きっとアシスタントさん達と談話中に、このネタが浮かんだんだろうなあ。最初は冗談のつもりが、面白いネタが沢山飛び出し、思わぬ名作が誕生! 長年のギモンだった『アトリエびーだま』の正体も明かされ、個人的にはスッキリ。

「構成ミスだと思って どんな感想書けばいいものか ジャンプ感想の作業の人もパニックになるだろ!!」

と叫びたくなる内容でした。この手の遊び心は大好きです。テキストサイトのネタを読んでる感覚。

期待通りの脇役固めパートに入りました。今週はみちるのトラブルメーカー、次週で壬生の剣道、その次が木下の俳優ってローテーションか。早くも壬生に正体バレしそうなので、村雨くんはおろか連載ごとジェノサーイドされないよう祈るばかり。村雨くんが忍者の末裔だから、壬生先輩は侍とか騎士の末裔だったりするのかな?

みちるを「トラブルメーカー」の能力者に添えたことで、今後物語が学園外に飛躍しても、彼女はまずレギュラー落ちしません。囚われヒロインと化せば自動的に紙面に出なくなるけど、物語からフェードアウトよりずっとマシ。『天然で鋭い』という設定により、みちるがトラブルを起こした挙げ句、彼女に正体がバレる可能性を秘める二段構えは、面白みを増しますね。

  • 【表紙ネタ】
     大石先生は必要以上にダメ出ししてるけど、お母さんの小ネタ面白いよ。何度もクスクスきましたもの。あと、達筆すぎる。
  • 【バカ彦くん】
     公園の背景がやたら丁寧に見えるなあと思ってたんですが、巻末コメントを見て納得。
  • 【イケナイいとり先生】
     いつになく先生らしい振る舞いじゃないか。まあ本来ならそこは保健体育の教科書を与えるべきなんだけど。算数の先生のくせに、パーフェクトガイドを常時持参してる献身ぶりが、教師としてパーフェクトな気もする。彼女なら本を与えるばかりか、この後は保健室で授業になって、手取り足取りパーフェクトに実演ガイドして頂けそうです。

「了平の右」というサブタイは鳥肌モノ、かっけえー! 拳圧だけで薙ぎ倒すのと、塩の結晶を散弾するのと、さほど大差がないっつーか、後者の方が応用性が高く使い勝手が良さそうだ。この手のトンデモ解説は天野先生の得手する分野ですね。設定があまりに飛び抜けてるもんだから、否定意見を考えて論破する気力も沸かず、脱力感に苛まれ納得せざる得ない。裏を返せば、こうした天野先生のトンデモ設定は、それほど説得力を持つ完成度ってコトなんだろな。

法律書を破壊し機関車さんの再生能力を滅し、すかさず冥王ルアラリエを召喚。上級魔法律の条数は二桁で確定しました。冥王を使うなら蝿王の再生能力なんて気にすることも無かったんじゃ…と思ったけど、天才・六氷さんの判断は絶対ですからこのマンガ。六氷の冥王&草野の六倍煉で、完全に食われてしまった五嶺と恵比寿の友情、憐れなり! 前半と後半で目的がすり替わり、しかも長期戦が災いして、「なんでバトルしてんのこの人達?」な印象持たれそう。ファンじゃなきゃ付いていけないよ、こんな展開。

今週の草野くん乙女チェック
久々にやりますよこれ。最近マジに考察し続けたので、たまには息抜きも必要だよネ。[○P△c]の表記は、○P…ページ数、△c…コマ目の意味です。

  • [1P1c] 日記60冊よりも、古い食器よりも、お母さんの手紙よりも、一番大切なのは草野です的な西義之先生の想いがこんもり籠もった草野ダイビング! キミ、無闇に目立ちすぎだろ!
  • [1P6c] 虚ろな眼差しで汗を流し、両手両足は流砂に拘束というシチュエーション。この夏はこんなネタで筆を奮う同人作家サン多数か?(こんな考察したくない…)
  • [2P2c] 同じく虚ろな表情で苦しそうに『入らない』と嘆く草野。ええいツッコミ待ちか!(文字通り)
  • [2P7c] 草野に関しては一挙動ずつ丁寧に描き上げてきますよね、義之先生って…。
  • [3P1c] なにこの「入った!」みたいな反応。
  • [6P4c] トーマスの魔法律書を破壊するという最高の見せ場なのに、男らしいと言うより女々しい表情だ!
  • [7P2c] 草野たるもの、いつ何時も愛らしく。転け方もこのように愛らしく。
  • [13P3c] 最後まで守られヒロインの座は譲れない! これが草野のヒロイズムクオリティ!
  • [19P2c] その「惚れ直したよムヒョォ…」みたいな表情止めてください。見せつけないでください。
  • [19P6c] 「……!!」(ズルルルル)って脱力の仕方の愛らしさはあざとい。
  • [19P7c] さりげなく涙を流し、「僕が一番ムヒョに守られたんだよ」と読者に過剰主張。
  • 七菜よりも五嶺よりも恵比寿よりも、ヒロインポイントを総ざらい。
  • 抜き打ちでチェックしてもこれだもの。ホント美味しいなあ草野は。

* 13(17) Mr.FULLSWING
序盤から最終回に掛けての感想を一気網羅した先行感想はこちら。

  • 「マンガで読んだでぇ 毒手!」
  • せめて幽々白書ネタで抑えてればいいのに、他紙のネタ引用しちゃってるよ!
  • 毒手に怯える菊丸達のデフォルメ化はタカヤのノリを感じる。
  • 浪速のスピードスター(笑)
  • またスピード自慢か。縮地法や分身までできるキャラがいるのに、それ超えられるの?
  • 失言でした。超えられますよね、なんたって許斐先生ですもの。
  • 不動峰の二人も浅くオーラが光ってるので、彼らもダブルスでシンクロするんだろうなあ。
  • 今、ナチュラルに『シンクロ』って書いてしまったけど、これ水泳じゃないんだから…。

天使と悪魔風のデビルバッツが、さり気なく同意見でセナを追い詰めるやり取りに笑。さすが筋金入りのいじめられっ子体質だ! 彼の脚力が近く限界を迎えるのは読者の目にも明らか。その中で、ヒル魔達の夢をカス呼ばわりする阿含に対して、WJ伝統の『友情』パワーで限界突破する主人公像は熱い。「想いの力」で己の極限値を脱却するセナの姿は大変エネルギッシュです。

一方で、セナの友情パワーとは別種の因果から、極めて理論的にドラゴンフライを打ち破るラストも、見応えがあってゾクゾクものでした。単なる根性論やご都合主義だけじゃない。シビアなスポーツの駆け引きが、そこには確かに存在してる。阿含超反応は、意識せずとも全神経系がオートで動く『反射』だ。従って彼の意志では抑える術もない。瞬間のプレイの中、阿含が次に取る行動は、まさしく阿含の身体全体に顕れる。反射の一挙動を見抜けば阿含の行動を先回りをできる突破口を見出したのでした。

もちろん、阿含超反応は一瞬の中の出来事。阿含が次に取る行動を先読みできても、それを阻止できるか否かは、文字通り『スピード』の問題。だからセナの光速の足が切り札になる。攻めはひとまずヒル魔の知略に任せ、セナは守りに専念すれば、ドラゴンフライ破りも現実味を増してくる。

読者心理としては明神の活躍は二の次で、ガクがいかにキメるかの期待感で胸いっぱい。結論からいくと攻撃は外れ「姫野を守る」以上の見せ場には至らない。しかし、ここ一番で活躍し損ねるヘタレっぷりも、ガクらしい一面だと思う。一方コモンは狐たちの謀反に苦しみ、意外な局面へ。こつこつ描いていた仲間割れ描写は、このための伏線でした。最終局面、か細く地味な伏線たちがじわじわ効いてる。この伏線の地味っぷりは、やはりバトル向きではなく、推理・サスペンスモノのそれだ。ここでもやはり、岩代先生の才能は非バトルマンガ向きだと感じてしまう。

テンションが低迷してると思った今話。

  • 「かかし」の元ネタはジャスタウェイなのかな? 偶然にしては被りすぎのデザイン。
  • 食パン人形は可愛いだけにヤラれ方が残酷だ。
  • ジャンプマンガで『死亡』と明記するのも珍しいよね。
  • 子コアラは可愛いだけに蜂蜜漬けが残酷だ。
  • 子コアラ諸共、親コアラもライオンに食われそうだけどな、こんな近寄ったら。

山場も超えてほっと一息つける内容。ネウロと弥子、サイとアイ、笹塚と笛吹。それぞれの、一筋縄にはいかない恋愛模様を現状確認できた読者サービスでした。次週は、弥子が笛吹に虚実織り交ぜてあることないこと説明するコトになりそう。この二人はメインでどっぷり絡んだ覚えがないので楽しみです。ただ、笛吹さんは冗談が通じないから、弥子はこっぴどく絞られそうだ。

人間になるリスクを背負っても「謎」を食らい続けるという、ネウロの覚悟…いや違うな、この場合「執着心」の強さには、改めて驚かされる。ずいぶん以前に語られてた『人間とは進化の可能性に藻掻く生物』の定義がトリガーとなり、「サイ≠魔人」を証明する結論付けは痺れた。

あの時ネウロが語った人間の定義は、はサイのために用意した伏線ではなく作中テーマの根底に息づくモノ。だけど、その活用法やテーマの持ち出し方、展開運びは一流。この一件で、松井先生が常々作中で表現している「人間描き」は、ますます深みを帯びたと思います。

島のそこかしこに生える大砲型のパイプ、明らかに人工物と思ったのに生物オチとは恐れ入った。ツギハギの一つのウリとして、独自の生態系をでっち上げ、作中世界に深みをもたらす演出があります。これは第一話からのスタンスですが、最近ご無沙汰だったので、その作風は止めたのかと残念な気持ちに暮れていたのだけど…。このセンスはツギハギ唯一の真面目な長所なので、今後も大切にして頂きたい。ヒットとかスマッシュとか、脱糞オブジェ伏線は明らかに不真面目な長所の類なんで。完膚無きまで出し抜かれたけど、負けを認めたくないこの屈辱感は一体…。

恒例のJOJOネタはもちろん、ワンピの「騎士道」、テニプリの「照明落下」、DBネタ多数など、有名ドコロの名場面で乗り切った感あり。そこまでパロディに走らずとも、今話は悠と翠の絡みだけで充実できたと思うんだけどなあ…。というツッコミは無粋で、そもそも大先生は、単に名場面をパロってみたい欲求を満たしてるだけなのかも?

サブタイの「最終」表記は読者全員が固唾を呑んで見守ったはず。これに触れないジャンプ感想の人は皆無の気がします。DQネタや「タカヤヴィジョン」など、使い古されたネタを得意げに披露する芸風はサムイ。しかし、一話全体を通して評価すると、まとまりアリ。今すべき事が定まってるので、地に足が付いている。ギャグ抜きでも十分な安定感です。タカヤとジュニアが親睦を深め、それを安らかに見守る周囲。ありがちな友情モノだけど、少年誌的にはとても健全。「友情」「努力」「勝利」を文字通り素直に描ける人なんだな、坂本先生って。

* ピューと吹く! ジャガー
どっかの中高生が王道展開を寄せ集めて作った学芸会の脚本っぽい青臭さが充満しています。新幹線が犬だったり、ユウジの見送りが赤フンドシだったり、久美子の可愛さレベルに迷走してたり、どこか珍妙な作風が漂ってる。うすた先生の「どっかで何かを仕込んでやろう…でも…あれ? なかなかネタを入れる隙がないぞ…? つか、残り2ページどうやって繋ごう…」的な戸惑いと動揺と緊張感を、生々しく肌で感じることができました。ところでオチだと、次回に続くのかな?

 

ジャンプ感想を初めてそろそろ二周年を迎えます。三年目のSnowSwallowも、変わらずご愛顧頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。