1445. 先行感想 - ToLOVEる―とらぶる― トラブル1 「舞い降りた少女」

今週号の「ToLOVEる―とらぶる―」について、大きくネタバレを含んだ感想記事です。未読の方は閲覧を控えて下さい。


この漫画のタイトル名は「適材適所」でいいと思った。

WJファンの大勢が切望した理想の形。矢吹先生から脚本仕事を取り上げた編集部はお見事です! あの頭痛伴うありがち設定&王道シナリオが二度と読めないのはチョッピリ残念。だけど、これで物語が面白くなるなら、全身全霊で応援しますよ。

本作は、実に1年9ヶ月も前に本誌掲載した読切「トランスボーイ」の焼き直し。随所にそれと分かる設定が残留しています。SFバトルからSF恋愛への路線変更は潔い。しかしどことなく「りりむキッス」の腐臭を感じます。恋愛とお色気のみで突き進むには、絶対安泰といえない作風。


健全なお色気
世間知らずのお姫様だから? 宇宙人だから? ララの方がお姉さんだから? 己の生肌を異性に視られ、知られる事へ全く恥じらいがないのは非常に残念。そりゃお色気シーンが乱発できるメリットあるけど、そんなの全然嬉しくないでしょ。単勝1.0倍のディープインパクトに単騎賭けくらい味気ない。ディープファン(お色気ファン)しか喜ばないよそんな賭け方。

少なくともいちご100%にはそれを思わせる演出があったのですが、ララには一切ありません。見た目は過激でも、精神描写は幼稚すぎます。そんな素の表情でお尻出しても、さっぱり燃えないんですよララさん。まあ、ある意味では非常に少年漫画向きのお色気かもしれません。しかし、ここは、敢えて言わせて欲しい。

知られることを恥じるから、好奇に胸躍るのです。羞恥の表情に染まるから、もっと困惑させたいと意地悪するのです。主従関係を躾けたから、ご褒美を与えるのです。(段々話がズレている)

羞恥心無くしてエロスに非ず。


春菜
ララに比べて性格が薄すぎるのは致命的。控えめなヒロインは、最初で圧倒的な個性を魅せなきゃ。リボーンにおける京子、ナルトにおけるヒナタ、いちごにおける東城のように、最後まで地味の一辺倒ですよ。水着姿のカットインも、ララが全裸登場でインパクトは限りなくゼロ。僭越ながら、SnowSwallowより春菜に起死回生の策を授けるなら、春菜はドMキャラにしてしまえ。すもももももも」の委員長を超越すればいいよ。

ほーら、飼い犬も心なしかバター犬に見えてきた。


ララ
巨乳、ピンク髪、超ロング、シッポ、天然電波系、コスプレイヤー、科学者、お姫様、宇宙人、お色気を恥じない姉御肌など、これでもかってほど強烈な個性を独り占め。少しは春菜に分けてやれ。

このギャップ、ララの創作者が矢吹先生に対し、春菜の創作者が長谷見先生という違いでしょうか。とすると矢吹先生は偉大すぎ。ギャルゲーのプランナーに転職すればいいのに。ホントのところは、ララ誕生から実に20ヶ月の歳月が経過したことで、キャラが内外面で固まり尽くしてんだろうね。

なお、ララには真の色気が期待できないため、以後は春菜の大活躍(読者の想像を絶するドM描写)に期待します。

リト
モテ王・真中は「優柔不断」の性格を利用し、特定女性をくっつかない恋愛展開を狙いました。結果、彼は読者から大バッシングを受けたのでした。対して本作の主人公リトは「女性に奥手」の性格を利用し、特定女性をくっつかない恋愛展開を狙います。

リトの設定作りが上手いところは、女性関係以外で頼もしい一面を発揮すること。リトが能動的に女性のハートを掴むのなら、彼がモテても納得できます。また、真中のように同時多発モテ現象が発生しても、「女性が苦手」という理由のみで誰とも恋に発展しない理由ができますね。

なお、本作が完全に恋愛路線へ走るとも思えません。ある程度バトルできる背景世界を準備してる事からも、リトはいずれ「トランスボーイ」のようなヒーローに変身する余地もありそう。彼が恋愛以外で『感じのいい爽やかな頼もしさ』を発揮できるなら、このマンガは一気に大化けする可能性も眠っています。

少年誌向けの恋愛モノは、主人公のモテる理由が必要不可欠。


騙された妹キャラ
どうでもいい話ですが、今回、リトの妹には痛い目に遭わされました…。

初登場シーンでね、彼女はリトの姉だと勘違いしちゃったんですよ。もう、ソコだけで異常なまでにヒートアップしちゃって。このまま顔を見せずに生足を見せつけるお姉さんキャラを維持してほしいと、切に願ったわけですよ。そりゃもう、オレのWJの妹初登場シーンのコマが、今後の期待を込めたメモ書きでビッシリ真っ黒になるほど。

そしたらね、妹だったんですよコイツ。しかもいきなり顔出ししやがった。さらに駄目押しのロリ顔。…フザケンな、ToLOVEる!!! じゃあ最初から顔出しとけよ! 妙な期待もたせんなよ! オレの姉妄想に耽った五分間と労力を返せ! …殺意が芽生えた瞬間でした…。

どうして「萌えキャラ=妹」みたいな方程式が世の標準なんだろう。死にたくなった。(←文化系男子気取り)


地球人の感性
奇想天外な状況下で、地味に冷静なツッコミを唱えるリトは微笑ましくて、非常に好感を持てました。「カンベンしてくれよ〜 土足でカーペット踏んでるし…」の台詞回しは地味に上手いよ。ジャガーさんの無茶なイベントに無理矢理誘われて、一番庶民的なポイントにツッコミ入れるピヨ彦くらい上手い。この感性は今後も大切にして頂きたいなあ。


ここがあざといToLOVEる
あまりにあざとすぎて、あざとさがギャグではないのか、WJを読んでる誰かに確認したくなるほどでした。あざといと思ったシーンに赤○のメモを付けたので、以下に書き出します。例によってこんなデータに何の需要もないのはSnowSwallowの仕様です。

  • 扉絵。ララの衣装から乳首浮き。その衣装はビニールかレザー仕様なのか。あざとい。
  • 「お帰リィー リト」生脚で主人公を呼び捨てにしたから、彼女を姉と誤解したんだよ。あざとい。
  • 脈絡なく春菜の水着姿。「女性が苦手」なリトを説明する上で、こんな絵必要ないし、あざとい!
  • 春菜の水着姿リベンジでリトがボッキッキ。このぼかし表現はあざとい。
  • 「脱出成功っ!」 股間に不自然なもやもや。いちごフィルタリング現象の一種です。あざとい。
    • 運が悪いと脱出性交になってたぞララ。
  • 「それ以外考えられねー」胸元を見せびらかすようにタオルを引っ張るララ。売春かよ! あざとい!
  • 「タオル借りてるよ」足下を内股加減に向けてかわい子ぶるララがあざとい。
    • でも、この仕草は正直かわいい。やってほしい。
  • 「地球人にはないでしょ?」(プリ〜ン)
    • 時代錯誤もいいとこだよ、この擬音!
    • 女の子の生尻ってOKだったんだ、週刊少年ジャンプは…。
  • 「何で赤くなってんの? カワイー」この言い回しはお姉さんらしくてグッときた。
    • すべからく主導権を握り、立場逆転したくなるよネ!
  • ペケのデザインはD.Gray-manの絵柄だなあ。
  • コスプレ・変身要素を追加して、変身願望の強い若年女子層の獲得を狙った。あざとい。
    • コスプレしたララはnot生足の白タイツ。破きたくなるユーザ多数。(ユーザ?)
    • スカートに見せかけてスカートではないフリフリがあざとい。女の子が大好きそうであざとい。
  • ”ペケの帽子”の表情変化は上手いなあ。あざといなあ。
  • 商用化を睨んでかケータイ型電送機まで投入。売る気満々だぁーっ! 営業戦略的にあざとい!!
  • 「掃除機か!?」掃除屋じゃなくてよかった。
  • 「結婚しよ!」”あててんのよ”で胸がやんわり歪んでる。ポストタカヤを狙った、あざとい!

黒服の目付きが全員グリード様なのもあざといです。黒猫ファンを虜にするつもりか。本当にあざとい!