1166. 第44回 - 静よさらば

鎌倉、御上の両者から追われる身となった義経。悲劇の物語はいよいよ佳境へ。

法皇の転身

都での戦を回避する決意を固めた義経。しかし行家は、官軍として頼朝を討つべきと反発。行家オジサンは先週まで現実を直視できる奴*1だったのに、今週はとんでもなく空気読めてません。戦事になると鈍感になるのが行家オジサンの個性でしょうか。

後日、地頭として義経は九州へ、行家は四国へ向かう命が下る。先週「ここは辛抱じゃ、思案の時じゃ」とか言ってた法皇様。義経&行家を都から追い出し、鎌倉へ取り次ぐ計画を考えていたようです。この時点では、義経&行家への期待と、鎌倉への期待とは、半々だったと見受けられます。どちらが勝っても滅びないため、絶妙なバランス感覚でピンチを乗り切る。これが法皇様のやり方ですね。


カップル対決
しかしながら、法皇様&丹後局夏木マリ)の熟女カップルの『保険持ち』の手は、頼朝&政子様(財前直見)のインテリカップルには通じません。

  • 頼朝の御家人達を、全国各地の地頭にせよと要求
  • 鎌倉を官軍として、義経と行家に追討の院宣を出せと要求

前者は、頼朝が理想に掲げた国を築くための要求。後者は、法皇に「義経と行家の保険」を切り捨てさせるための要求です。こうして事実上、法皇様の権力は大きく衰退し、逆に鎌倉勢は勢力を広げました。


知盛の逆襲

  • 西国へ旅立つ船旅の途中で嵐に見舞われる。一行はそこで平知盛阿部寛)の亡霊を見た。

武装したまま別れを告げに参上した義経。その姿に狼狽え怯える熟女カップル。法皇様の「う、うん…うん…」というガクブルっぷりが、妙に可愛くて笑えた。どうやら、自分たちも西国に同行させられると勘違いしたらしい。法皇様の臆病すぎる性格は、ドラマ全編に渡って人間味が出てるなあ。

義経と行家は船出の前、兵を集め再び都に上ろうと約束。しかし、この約束は果たされず…。

義経達が海に出ると、嵐に襲われるは、海中が炎上するは、安っぽい合成が高笑いするは…。TVのリモコン踏んづけて「チャンネル変えてもうた…」と思ったやんけ! まさかこんな形で、弁慶(松平健)の元僧侶設定が生きるとは、誰も予想だにしないって。知盛(阿部寛)の中の人も、もっと仕事を選んで下さい。もう、トリックのスペシャルに専念してればいいやん!

  • 義経「知盛殿の亡霊か!」
  • 弁慶「おのれ妖怪!」
  • 知盛(怨霊)「アッハッハッハッハ…!」
  • なにこのB級ホラードラマ。
  • 弁慶(松平健)は読経で知盛の怨霊を鎮魂する。
  • 知盛(怨霊)「お、オワァァ! オワァアァワアァァ!!」
  • 大ダメージ受けちゃってるよオイィィィ!!
  • 弁慶の読経は霊を安らかに眠らせるのではなく、苦しめて消滅させるタイプの能力らしい。そんな僧侶怖すぎる。
  • 怨霊はなんとか追い払ったが、その後船は転覆。
  • 結局、知盛の怨霊は関与しないんだ、その転覆。


法眼先生再び

  • 義経と行家に対し追討の院宣が出たと知り、義経は今すぐ都へ戻ると決心する。

船の転覆でバラバラになった郎党らを気にしつつも、義経・弁慶・静(石原さとみ)の三人は、都への一路を目指す。旅路では何度も義経の討伐隊に襲われ、静は度々危機に瀕する。いくら義経と弁慶が最強コンビとは言え、静を守りきるまで手は回らず。ここで鞍馬天狗・鬼一法眼(美輪明宏)が再登場ですよ。きたこれ、大河ファンタジー

静の危機に法眼先生がファンタジスタな活躍を展開。催眠術に掛けたムササビを飛び道具代わりに、風を操り敵を一掃。なにこの特撮ドラマ。なんでも法眼先生、「西の海に、蒼い炎と知盛の怨霊を見た」から助けに来たらしい。さすが法眼先生のご身分ともなると、とんでもなく無理のある理由付けだぜ。どこからツッコミ入れりゃいいのか分かんないもの。蒼い炎は都の山から見えるくらい近場なのかよ! とか、「知盛の怨霊を見た」って平然と言えちゃう辺りが、笑いのポイントですかそうですか。


集う郎党

「都に戻ってはならぬ」「義経が息災なら郎党はいずれ集う」と、法眼先生のセリフは神の言葉と化した! あんなファンタジーな能力使っちゃったものだから、誰一人として不審に思わない。もうさあ、究極最強の法眼先生が天下人になりゃいいやん…。で、せっかく助けに駆け付けたのに同行してくれません。何しに来たんだアンタァァ!!

金峯山寺に向かう途中、追討兵に襲われる三人。伊勢三郎南原清隆駿河次郎うじきつよし)、佐藤忠信海東健)の救助が入って難を逃れる。敵のお頭も、せっかく静を人質に取ったのに、どうして人質を手放して戦うかなぁ。部下の一人でも呼び寄せれば、義経に手出しは出来なかったのに。

金峯山寺に入るも、御上の院宣の前に、今度は寺の僧兵からも襲撃を受ける。義経さん、すっかり八方塞がりです。


静との離別

  • これ以上は足手纏いになると思い至った静は、一行から離れ都へ帰ることになった。

敵に何度も捕らえられ、更に旅路で具合が悪化。静の足手纏い描写を、クドいほど重ねてきました。いずれにしろ、この先熊野に抜ける山は女人禁制。早かれ遅かれ離別する定めなのでした。そんな事を最後まで黙ってるなんて、弁慶も人が悪いなぁ…。静は別れ際、海にも流されず手元に残った笛を、御守り代わりに託します。若い男女の熱々カップルのお別れというのに、接吻の一つもせずサヨナラですか!! おまえら、それはいくら何でも清純路線を進みすぎて違和感ありまくりだろー!

義経と静、これが今生の別れに。…おいおい。義経も静も、ホントこんな別れでいいのか…。

*1:鎌倉の思案・動向は全てお見通しだった。