1162. 北斎展

上野は東京国立博物館の「北斎展」へ足を運んできました。

東京国立博物館

およそ300点に及ぶ出展作品を通して、浮世絵師・葛飾北斎の芸術生涯を堪能できました。「東洋と西洋の融合芸術」とはこのことか。たっぷりと肌で感じてきましたよ。

実は二日前までは、葛飾北斎の事なんて、なーんにも知らなかったんですよ。先週、彼女さんから『北斎展に行きたい』とリクエストされたもので、急遽、葛飾北斎を一夜漬け。今週はムヒョとロージーの記事ばっかり書いてたわけじゃないんですよ! そいでね、調べ出すとこのジイさん、とんでもない逸材なの。そりゃ歴史に名を残して当然だわ。

まず、北斎は19歳でデビューした後、芸術生涯が70年です。江戸の鎖国時代、「人生五十年」と言われる中で、このジイさんは89歳まで生きました。これを現在の平均寿命(80歳強くらい)に差し替えて考えると、北斎のジイさんは119歳まで生きてた事に…。つまりそんくらい長生き。しかもね、ただの長生きジジイじゃない。89歳でも現役だったのが、このジイさんのとんでもないポイント*1。ここ赤線引いとけ受験生。

次に、北斎はとんでもないチャレンジャーだった。とにかく芸術の芸風に関して貪欲なの。国内に目を向けては、数多ある浮世絵文化の流派を転々とした。職人気質が強い時代だからか、同職からは嫌われ、破門もあったそうで。果ては国外の芸術にも目を向ける。鎖国という巨大な障壁を乗り越え、中国の水墨文化、欧米の油絵文化を吸収しまくる。

で、その集大成と思ったのは『潮干狩図』*2人物は浮世絵、近場の背景(波や浜)は水墨画、遠くの背景(空や山)は油絵で表現してる。これぞ芸術のコラボレーションですよ。これ、鎖国だった江戸時代にやってるんスよ? ありえないのもいいトコ、20世紀でTVとインターネットを融合させるくらいありえない。この絵を描いたのは40代というから驚き。北斎の芸術生涯から見ればまだまだ通過点だったんです。

ごめんよ、北斎のジッチャン! オレは中学の時あんたのこと、「富士山と大波の絵を描いた人」としか認識してなかった! だけど今日のあんたの姿……めっちゃ輝いてたぜ!(もう死んでるけど。)

東京国立博物館

特に印象に残った絵は、黒龍の絵と、二羽の千鳥の絵。

黒龍の絵は、墨絵で表現された黒煙の中から、龍の目玉と鱗と爪が浮かび上がってるの。特に爪の表現がとんでもなく格好いい。黒煙の中に白く光る爪がギラギラしてて、非常に鋭そうで、一端の棒きれ付いてる男なら全員が全員「格好いい!」と唸るハズ。ポストカードは売られてなくて、すごく残念。

千鳥の絵は、二羽の千鳥*3が仲良くじゃれながら空を飛び回る素朴なもの。千鳥がふわふわで丸々してて焼き鳥にしたら肉汁たっぷりで美味そう萌えました。春画の百倍萌えました。こっちもポストカードは未販売。うーん、悔しい!

*1:1760-1849

*2:大阪市立美術館より。

*3:脳内ではカップル設定。