989. フラクタル

マンデルブロー集合

学生時代に気まぐれで受講したフラクタル幾何学の世界が、なんと現在業務で使用中の某ソフトウェアの構造にも息づいていて驚かされた。あんなの数学者の趣味の世界だと思ってたのに、仕事を始めて件の理論と再会することになろうとは。

フラクタルといえば「マンデルブロー集合」の図形や「海岸線」の例が有名。要約すると、海岸線は地図レベルだと複雑な凹凸形状をしているけど、拡大観測しても細かい起伏が出現し、結果として拡大・縮小しても似たような凹凸形状の図形が観測できる、というもの。分子レベル以上の拡大は不可能だけど、理論的には類似した図形は無限大に測定できる。フラクタルの世界では「拡大・縮小しても類似する図形」を理論的に合成する。その一例が、この記事の画像「マンデルブロー集合」。

それから、「フラクタル」と「カオス」の類似性もよく出てくる話。カオスとは、哲学的は「混沌」の領域、数学的には「予測不可能」の領域と定められているモノ。全く関係ないけど、ファンタジー世界の敵のボス名でよく出てくるフレーズなのは、カオスの「混沌」は人智を超えていて、それが恐怖を抱かせるからかな?

これまたカオスを要約解説すると、人類やコンピュータには到底計測不可能な事象を示す。例えば天気予報。現代の天気予報は80%程度しか当たらない。「北京で蝶が羽ばたくとニューヨークで嵐が起こる」というバタフライ現象の話は、カオスの定説に起因する。

インターネットの世界でいえば、「ネットワーク」がカオスか。ネットワークのルート自体は人間が個々に設定するにもかかわらず、ルートは人間の手によって不特定多数に増えていくものだから、今はAのルートを辿っていても、1分先の話は計測不可能ってわけです。

この「混沌性」について、カオスは科学的に(データ統計を)観測する立場。フラクタルは理論的に(図形などを)合成する立場。「フラクタル」と「カオス」はルーツが同じ所為で、こいつらはやたらめったらセットで出現しては、学生を悩まさせる。

いつも一緒でつるみやがって。おまえら裏で付き合ってんだろ!(中学生男子の発想) え、どっちも男? 男同士なのに仲良くしすぎてあの人達アヤシイわ…(中学生腐女子の発想) 要は数字を小数点で表現するか、分数で表現するか、表現法の違いって事。やっぱりフラクタルはおおらかな心で理解するに止めるのが幸せ。

微分積分が社会に出て何の役に立つ!」なんて学生の邪なフレーズがあるけど、フラクタルが社会に出て何の役に立つ!」と言ってたら役に立ったからシャレにならない。いやはや、学生時代は自分に興味のない分野も浅く手広く勉強して、似非博識になっておく方がいいよ。