878. 三色ペン活用術(後編)

昨日の後編です。

赤は起承転結
赤はカラーペンの中で最も身近な色。それだけに一番目に入りやすい色。反射的に一番重要な意味の印象を持つ色だと思います。そこで赤は、物語の骨格をザックリえぐる色として活用。

漫画のメモ書き・線引きでは、起承転結の四点に赤を入れます。結果、一つの漫画に赤は四回前後しか使わないことが決定づけられます。赤で引いたセリフあるいは赤メモを読み返せば、それであらすじが分かる構造になります。赤が増えると読み返しが大変なので、だから赤は四カ所程度に止めるのが無難。どれも重要だと惑わされず客観的判断で、ここぞと思う”物語の背骨”を抽出します。


青は過去と未来
赤の次に使われる青。盛り上げ役の赤を合コンを誘いたかったが生憎予定が合わず、じゃあ何かと器用に振る舞う便利屋の青でも誘っとくかー、みたいな色。赤のように人の本能に呼び掛けるほどの重要性はありません。だけど青を見れば「お、青おったんや! まあこっち来いよ!」みたいな人懐こい主張があります。

赤が物語の背骨を露わにする体当たりの真っ向勝負なら、青は物語を側面から多角度で予想・分析する色。伏線回収・小ネタ成就を捕捉(過去情報)し、あるいは台詞から予想しうる展開、伏線を捕捉(未来情報)することで、物語の皮を削ぎます。物語を魚に例えると、一本太く通った背骨が赤で、鱗や皮の飾り付け*1が青。

先に触れましたが、某サスペンス漫画や某長編冒険漫画は、やたらめったら過去・未来を示すキーワードが多いので、普通にメモ書きするとページ中が真っ青になります。そこで、青を多く使う場合は簡単なものを黒、特記する重要ポイントと書き分けます。このようにして特に大切な箇所を差別化できます。


緑は自分のキャラを出す
三色の中では最も使われないレア色。ノートを作っても緑の使いどころはいつも困ります。緑の意味が不透明だと、緑が使われる箇所は統一性がなくなり、読み返したとき「いったいどうしてここが緑なんだ」という事になります。緑ってのは、そんなレアな存在。そこで緑は自分のキャラを出す色に使います。他人の意見が入らない自分だけの意見。それは”面白みの要素”として貴重(レア)です。

赤が背骨、青が鱗皮の外装なら、緑は身の調理。赤や青は、何度も読み込めば誰でも、似たような結果になると思います。しかし緑の調理だけは違う。塩か醤油かみりんか胡椒か、どんな調味料を使うのか。煮るか焼くか冷やすか蒸すか、どんな調理法を使うのか。それは各人の好みや趣向に合うもので良いのです。


緑の重要性
漫画のメモ書きでの緑の役割は、些細な仕草・台詞回しから想像力を膨らませ、他者が考えないような自分だけの個性を表現します。緑メモを感想に盛り込み、感想の色合いが自分色に染まり、その感想がサイトに積み重なる。つまり、本質的に緑はサイトのカラーを代弁するのです。

緑が少なければ必然的にサイトカラーが顕れず、印象の薄い感想になります。と言っても、何でも緑で書けばいいのではなくて。多数派と同意見の内容ばかりを緑にしては、個性も何もありません。緑は、一捻りの創意工夫を混ぜ込んでこそ完成するカラーです。

また、緑ばかりのメモを文章にすると、それは感想というよりネタテキストと化します。その内容が面白ければネタテキストでも存分に光るでしょうけど、読者さんの大半はきっと”感想”を読みにきているので、赤と青の作業も怠ってはいけません。


色のバランスと表現力
赤と青をバランス良く含めた上で、これに存分の緑を加えること。SnowSwallowの感想作りは、このスタイルが基盤となっています。感想の流れは、赤の内容で話を進めながら、進行の適所で青の内容を入れ、隙あらば緑をふんだんに盛り込む形式。ところでジャンプ感想は毎週18〜20漫画もあるので、時には特定の漫画を緑のみで押し切り遊び心を持たせると、書いてる本人が楽しくなりモチベーションが上がります。


以上、いつの間にか「漫画・小説感想の書き方」みたいな話になってしまいました。偉そうなことをとつとつ語ってますが、SnowSwallowも十分地味で知名度もない感想サイトですので、烏滸がましいにも程があります…。

そもそも三色ペン活用術はあまり効果がない、もしくはオレが使いこなせていないのかもしれません。でも、文章の読解力や、読書の集中力は高まりそうなテクニックなので、今や読書に三色ペンは欠かせなくなりました。

*1:本筋を盛り上げるための理由付け