747. WJ連載漫画の男脳と女脳

ライトラさん経由(WJ11号感想)

元記事は、最近の「美少女が出てくる漫画」について、男脳と女脳で描かれた漫画をそれぞれ分類する、という興味深い考察です。「男脳」「女脳」という用語は、名著『話を聞かない男・地図が読めない女』のアイデア

女脳は、例えば朝に歯を磨きながら、今日着る服とかお弁当のことなどを複合的にイメージしていくことができる(中略)オムニバスっぽい漫画が多く、日頃思った些細な事がテーマだったり、オチを重要視しない
(中略)
男脳だと歯を磨くという1つに集中しますので、あらかじめテーマやオチが決まっていて、それに沿って描かれている漫画が多くなる

元記事は美少女漫画の分類ですが、このアイデアはもっと広義に捉えられそうです。「男脳で描かれた漫画」「女脳で描かれた漫画」の定義をそれぞれに決めれば、漫画というフィールド自体を二分化できると思います。そこで考えてみました、男脳と女脳の漫画定義。

男脳の漫画定義
男脳は一つの目的に集中する反面他に目を配れないタイプといえます。これを物語作りの工程に比喩すると、作中テーマ(目的)やオチ(結果)を先だって決め、それに沿って物語を進行させるタイプといえるでしょう。物語あってのキャラクタ(=駒)という思考から、基本は「物語至上主義」になりそうです。話の区切りがキャラでなく物語の”章節”に発生するため「長編傾向」になりがちです。更に、物語の目的がハッキリしているので、主人公は何らかの「ナンバーワン」を目指します。以上を整理すると

  • 作中のテーマやオチを先行決定
  • テーマやオチに沿って物語を進行
  • 物語至上主義
  • 長編傾向
  • 強さを順序化、数値化(ナンバーワン主義)

「男脳の漫画」は、おおよそ上のような特徴を多く含むと言えます。もちろん、「男脳の漫画」はこれら全てを含む訳ではなく、あくまでも目安です。

女脳の漫画定義
女脳は物事を並列に思考できる反面一つに集中できないタイプといえます。これを物語作りの工程に比喩すると、作者は見聞・思いつき・体験談など、周囲の小ネタや知識を活用してその時々にお話を考えます。物語に一貫したテーマやオチを結ぶことが目的ではないので、作者の興味本位で話題・視点が飛びます。キャラクタ(=作者の分身)達あっての物語という思考から、基本は「キャラ至上主義」になりそうです。当然「短編・オムニバス傾向」になりがちです。キャラクタが作品人気の肝なので、何らかの技能や個性に特化したキャラ造形を行い、各キャラは他にない「オンリーワン」を目指します。

  • 作中テーマや作中オチを最優先しない
  • 作者の興味本意で物語を進行
  • キャラ至上主義
  • 短編・オムニバス傾向
  • 個性を並列化(オンリーワン主義)

「女脳の漫画」は、おおよそ上のような特徴を多く含むと言えます。男脳の定義と同様に、「男脳の漫画」はこれら全てを含む訳ではなく目安です。

各漫画の特徴分類
以上の定義を利用した一例として、週刊少年ジャンプ連載漫画を分類してみます。
分類表(0〜4: 男脳の特徴 5〜9:女脳の特徴)
0. 作中のテーマやオチを先行決定
1. テーマやオチに沿って物語を進行
2. 物語至上主義
3. 長編傾向
4. 強さを順序化、数値化(ナンバーワン主義)
5. 作中テーマや作中オチを最優先しない
6. 作者の興味本意で物語を進行
7. キャラ至上主義
8. 短編・オムニバス傾向
9. 個性を並列化(オンリーワン主義)
上リストの数字と、下のリストで漫画タイトル横に表記する[012…789]の番号は連動しています。0〜4の数字が多ければ「男脳」に分類、5〜9の数字が多ければ「女脳」に分類、同数なら「中性脳」って仕組みです。

以上は個人の独断で判定しています。

どれとは言いませんが、「物語至上主義」でありながら「作者の興味本位で物語が進行」する某バトル漫画はどうして微妙なのか、少しだけ分かった気がします。作者のハートがイノセンスすぎるんですよね。

どれとは言いませんが、0〜9までの全てに数字が付いたアレは色々な意味で測定不能な変態漫画だよなと、再認識しました。

どれとは言いませんが、100%女脳の判定にもかかわらず内容が気持ち悪いくらい男性向けだから、作者は男心を理解できないのだと疑心を高めてしまいました。パンチラすりゃいいってもんじゃないよ。

こんな批判文じみた文章書いてたら、うちみたいな雑魚サイトは1日でファンに潰されるよ。これネタですから! 本心じゃないですから! …いや本心だけど。悪意は込めてないんですよ。

男脳の漫画
「男脳」は長編を描くに最適です。

昨今読者側の読解力が高まり、またWebではファン同士で情報交換や情報整理を行われ、物語のあら探しが一般化しました。これにより長編物語の作品は物語の整合性こそが絶対条件として求められるようになりました。

現代の創作文化において、長編モノを描くには「男脳」が必須なのかもしれません。

女脳の漫画
「女脳」は短編を描くに最適です。

例えばギャグ漫画、キャラ主体の漫画などは一話単位に爆発力が求められます。「女脳」が天才的に発達していれば、浮かぶネタはどれも鋭くさえます。一例として銀魂ピューと吹く!ジャガーなどは、作者のやる気さえ衰えなければ無敵です。

ムヒョとロージーの魔法律相談事務所未確認少年ゲドーのような、「続きモノながら短編を繰り返す物語」は、最近の主流です。このタイプのお話は「男脳」と「女脳」の両方を持っていると、上手くバランスが取れて安定しそうです。

一方で、長編物語モノでありながら「女脳」の方が特化しているBLEACHD.Gray-manは非常に希なパターン。ただし当初のブリーチは「続きモノながら短編を繰り返す物語」だったので理に適ってます。ソウルソサエティ編以後は長編になったので、実は作者の作風に合わないのではと危惧しています。

さて問題は後者グレイマン。「男脳」に長け「女脳」を持つなら面白い逸材ですが、さてどうでしょう? 今のところ、キャラ至上主義なファン層が大半を占めるので、物語がどうなろうと、戦闘描写がヘボかろうと、ファンは知ったこっちゃ無い様子ですが…。このままでは、一般読者との溝は深まるばかりかも?

中性脳の漫画

「中性脳」は男脳と女脳を均等なバランスで持っています。常人には理解到達できない天才かもしれません。一度当たれば中毒者多数で社会現象を起こすとんでもない逸材です。逸材であり変態です。ぶっちゃけ分類不能


当方は週刊少年ジャンプしか読んでいないので、漫画はこれだけしか分類できません。マガジンやサンデー、ヤング○○などを愛読されている方は、これを機に「男脳」「女脳」を分類してみてはいかがでしょう? 意外な特性が顕れて逆に納得するかもしれませんよ。