650. シャーマンキングの顛末

研究合間に気張らしウォッチング。研究でPC使ってるのに、休憩でもPC使ったら意味ないがな! って話なんですよ。

長時間画面見つめても、ひたすら座り続けても、全然ストレスを感じない便利な作りになっている人間なので、こうした気晴らしでも十分休憩になるんですよ…。他人からはよく呆れられる始末です。

さて、Webをウォッチングしたらいろいろ拾ってしまったので、これはネタにせねばなりません。WJ読者にはおなじみの打ち切り漫画「シャーマンキング」のお話。

いつもツッコミコメントを寄せて下さるid:horylさんより、シャーマンキング最終巻のまとめ話。これに関する大まかな感想はid:horylさんのコメントにも寄せたので、この記事への言及は二番煎じになるのですが、もう一度総ざらいしておきます。

いいかげんな自分の無計画な作品がこれ程までに支持され、
愛される事になるなんて、夢のよう。
故に申し訳ない気持ちで今いっぱいです。

最も気になったのは「いいかげんな自分の無計画な作品が」の部分です。

作家には、作品公開前からある程度物語の骨組みを作り込んで公開するタイプと、行き当たりばったりのタイプのツータイプ存在すると思います。どちらも一長一短ありますが、マンキンが後者のタイプだったことに驚きました。

「無計画な作品」の良点は、読者の要望に合わせた展開をその時々で作り直せたり、良い意味で読者の予想を裏切る演出を描きやすい点にあります。一方で、物語の整合性がつかなくなる危険性、ネタにつまってしまうと筆が止まる週刊連載としての危機感、物語終了までの不安定さが危なっかしいなど挙がるでしょう。「無計画な作品」か「計画的な作品」かは漫画家の相性もあるので、応えてどちらが良悪という話については触れません。

しかしマンキンの作者武井先生は、第一話やシャーマンキング編予選で「主要キャラの顔見せ」を行いました。この描写より、ある程度ストーリープロットを作り込んでいるタイプの漫画だとばかり思っていたのですよ。しかし実際は違ったんですね。

ストーリーは無計画にしておき、キャラクター造形だけ先行して決定したのかもしれません。もしくは、そのキャラに関する人格・人物・能力設定までは予め用意されていたのでしょう。マンキンはシャーマンファイトのトーナメント編以後、ストーリーそのものの進行よりも、各キャラクターを掘り下げる描写が頻繁に登場するようになりました。そうした事実関係からも、この憶測はあながち間違っていないかもしれません。


マンキンは結果としてアニメ終了後、人気を落としアンケート票を集められなくなり、連載順も終盤位置で固定されました。票が集まらないことで最終的には編集サイドから打ち切り宣告が入ります。6年続いた連載漫画ということで連載続行の話もあったようですが、作者サイドが断られたそうです。物語を結末づけるにあたっては、これ見よがしに「未完成」をアピールされました。


その辺りの事実関係と武井先生の心境は、以下の記事より詳しく知ることができます。


シャーマンキングの再連載化を呼び掛けていたファンサイト「まってよう。」より、武井先生の手紙について全内容を記事にされています。元ソースは声優・林原めぐみ氏のラジオ番組内で紹介された武井先生の手紙、ということです。

商業誌という大枠の中での連載は、一部の人気だけで支えられているほどないものではないですし、
僕自身が何よりそう考えているので、【6年続いた作品だから】という理由での編集部の好意を、
簡単には受け取ることができなかったのです。

『長期連載漫画は打ち切り査定の際、連載を優遇される』というWJの都市伝説は実在したようです。集英社も商売で雑誌を売ってるんだから、そうした優遇は然るべきだとも思います。武井先生は結果的に、その処置を蹴ったようです。

さて、ここからが本題。
問題のあのラストですね、【プリンセスハオ】一見ふざけているようですが、
あれは自分なりに考えに考えた、とりあえずの結末です。

自暴自棄でやったのかと思いきや、先生は大まじめでした。えー。

ことの流れを追っていけば、シャーマン終了の宣告を受けたときには、時すでに遅し。
残りの8週でまとめきれるページは、僕には残されていませんでした。

それが打ち切りだもの。特に長期連載漫画ともなると、広げに広げた大風呂敷と多数の伏線をわずか8週で回収しようなんて無理っつー話。WJファンとしては、シャーマンキング最終回から8話前までを再確認したくなります。8週前から武井先生の苦悩が垣間見られるかも。

無理にでもたたもうと思えば、それは、たやすくできたのですが、
ダイジェストによっての結論だけが見えるのでは、そこにはまるで意味がなく、
この作品にとって一番大切なことは、そこへ至る過程だと考えたからです。

作品のテーマと照らし合わせての言及。しかしそこには、武井先生が「シャーマンキング」に対して抱いた温かな愛情を感じます。

こればっかりは絶対、省略したくなかったのです。

愛ですねえ。

言い換えれば、最後はなんだってなんとかなるんです。
「なんとかなる」葉のこの言葉に嘘はありません。

「なんとかなる」「楽にいこう」など主人公・葉の主義は、これまでの主人公タイプにはない斬新なモノでした。そこには、武井先生が物語を(おそらく)ノープロットで描いてきた自身の主義を反映させたのかもしれません。

いつかどこかで、続きが書けることを願っています。

数年後、はたまた十数年後に「リバイバル本」として登場するのもいいと思いますよ。いかにもジャンプ的で。


以上で休憩おしまい。