303. 第29回 - 長州を討て

月末は予定が目白押しで時間がなかったのですが、ようやく暇ができました。新選組!の今話もやっと見る事が出来ましたので、今更ですが感想です。書くネタが山積みになっているので、文量は押さえ気味に。

今話も歴史の流れを重視する作りで、新選組が登場しない場面は淡々を進んでいるように感じました。長州にとっては重大な事件ですが、このドラマのメインはあくまでも新選組ってことですね。

象山先生の最後。我が道を行く、世界を観る識者、人の名前を覚えない、と個性豊かだった佐久間象山先生ですが、今話でクランクアップされました。この回で死んでしまうのは実に惜しいキャラですが、歴史的にも有名な事件ですので仕方ないのですね。新選組に登場する人物達は愛着のあるキャラクタが多いので、今後はほぼ毎週こういう思いをするのかと思うと気分が滅入ります…。近藤局長とのラストの語らいで「近藤」と名を呼んだのはヤッパリそのネタできたかー!ってなりますよね、分かってるのにジーンとくる。名前覚えてるやん、象山先生!

捨助の扱いは、新選組視点では補いきれないシーンを捨助でフォローする、ドラマ的においしい立場となっているようです。象山先生と久坂の最後、そして今後は長州と桂さんのその後を追うキャラになりそうです。今の捨助は昔と変わらずダメっぷりが目に付きすぎてうざい程なので、性格的に成長してくれると嬉しいなぁ…。

象山先生を斬った河上彦斎。「るろうに剣心」の主人公・剣心のモデルとなった人物です。象山を斬る以前にも暗殺業を生業にし、人を斬るのは野菜を斬るのと同じ感覚だったそうです。この辺は斉藤のキャラにも被っていますよね。しかし象山暗殺をきっかけに、暗殺業からは足を洗ったそうで。人を斬るのが怖くなったとも言われています。ドラマでも象山先生に名前を尋ねられていました(一説にはこのエピソードも史実だったとか)けど、あのやりとりが河上彦斎のトラウマになったのでしょうか。ドラマで今後のフォローがあるのか楽しみです。

総司の労核。今話を見て、現代の若者らしさを最もリアルに描いているのが総司だと感じました。「なんで私だけ」なんてセリフをあんなに若者らしくぼやく総司が、見ていて幼くてそれが痛々しくてやるせなくなります。過去の新撰組作品では総司は冷徹な美少年としてのキャラを確立していて、自分の病のことも運命として重く受け入れられるキャラだったかもしれません。しかし、新選組!の総司はとても人間らしい性格を持っています。自らの病を信じられない・受け入れられないわがままで自分よがりな様子は、総司の運命の結末をを考えてしまうと、今から本当に本当に悲しくなってしまいます。

長州関連。史実の方では久坂は長州の暴走を抑える側だった説が有力のようですが(結局は久坂も一緒に戦っちゃう)、ドラマでは単純に、真木と久坂が筆頭となって禁門の変を起こしたように描かれていました。長州絡みのイベントを一話で分かりやすく凝縮するには、このようにまとめてしまうしかなかったのかもしれませんね。「自分が生まれてきた意味は…」と空を仰いで自刃する久坂が、明日の近藤さん達を見ているようでした。あの演出はまさに、視聴者にもそう思わせるためのものだったと思いますけれど。

桂さん関連。桂さんは近藤さんと一歳しか違わないのに、どうしてここまでおじさん臭いのでしょうか。親しい人間であった久坂が死んだ時、なぜ涙を流さないのでしょうか。このドラマの桂さんはあまりにも『偉い人間』として描かれすぎで、長州のみの振りや日本の現状に達観しすぎで。だから人間味が薄く感じてしまって。冷静だとか慎重というフレーズは桂さんにこそ当てはまるキーワードですが、それにしても今週の桂さんは事務的すぎで、こっちが見ていて悲しくなりました。近藤さんの婚姻の時にも桂さんはやけに年上に見えたのですが、今回もまたすさまじくおじさん臭かったです。もっと若さを下さい。若い情熱や野望を持って幕末を生きて欲しい。

佐之助とおまさ。組の決断を破り一人で動く佐之助がすごく自分勝手なんだけど、彼は彼なりの信念で動いていて、それでこそ佐之助だと感じました。むしろ『好きな人を放って仕事を優先する佐之助』の姿の方がぜんぜん想像つかないですね〜。心身共にぼろぼろになっていたおまさを抱き受ける佐之助、彼には幸せになって欲しいですが…これで数話後にはいきなり子供ができている大河ドラマの王道演出も激萎えします。佐之助とおまさは、もう少し恋愛イベントの挿入を期待。

真木の最後。近藤さんに一通り物言いした後ワンシーンで服を脱ぎ終わっていて、次のシーンではぱたっと倒れて自刃しました。なんじゃそりゃ、えらい簡潔すぎですよ…。どうしても禁門の変は一話分にまとめたかったようですね(^^;

来週からは新選組内の揉め事が頻出しそうで、ドラマを見るのがすごーく怖いです。この間新選組関連の年表を眺めてみたのですが、組としての歴史はまだまだこれからなんですね。あんなに盛りだくさんな出来事を残り十数話にまとめるのは至難の業で、今話の長州反乱イベントがやけに足早なテンポで描かれていたのも納得しました。