1638. ジャンプスクエア 12月号(創刊号)

エレベータから降りるとき、同乗者にウザがられるのが億劫で、「閉」ボタンを押しながら降りる小心者です。エレベータを言及するときは「エレベータ? エスカレータ? どっちだっけ?」と、胸中で戸惑う小心者です。

「SQ.」は7店もの本屋・コンビニを巡りました。6人の店員さんから品切れ宣告を受け、7人目の店員さんに在庫尋ねる頃には、オレの小心者フラグはあたかも励起状態。もしもあのまま羞恥の揺さぶりが続いたなら「で、電離しちゃうぅぅ……ッ!(ぶるぶる)」と打ち震え、より高みのエネルギー状態へ昇っていたところでした。

フゥー、ジャンプSQ.、末恐ろしい雑誌だぜ。

 
 待ちわびたエンバーミング表紙。前作までのキャラ達も健在。ここから『三組の主人公達の行動が他勢力に干渉するクロスエピソード形式』として展開する妄想を掻き立てられます。創刊号なのにエンバーミング単身の表紙というのもある種潔い。看板漫画の宣伝であり、『実は半数がページ埋め漫画』に過ぎない状況を隠蔽する戦略でもあるというね。
ジャンプSQ.コミックグランプリ
 SQ.は週刊と月刊の作家陣を受け皿にする存在と思いきや、こっちも募集すんのか。漫画部門150万に対しネーム部門100万。印税の取り分は作画:ネーム=3:2なのかな…とかぼんやり想像。まあ「漫画」って時点でネーム+作画だけども。
エンバーミング博物誌
 ウワサの黒崎先生コラム! 『熊とスモウレスリング』を引き合いに動物の解説を切り込む着眼点が素敵です。ヒューリー達が日本童謡を語ってる様子がホトホト可笑しいよ。本作のダーク路線は露もないよ。まるでポップな世界史の授業、あるいは観光案内のような対談が新鮮でした。
地図や写真の図示がまた親切。来月以降も、食べ物、建築物、ライフサイクル、乗り物、職業など、題材にしていただきたいネタは満載です。

赤マルの武装錬金×2、そして読切エンバーミング×2を読んで、心底に思い知ったこと。漫画家にとって「一話に掛ける時間」と「一話あたりの尺」の相性は、作品の完成度をこうも左右するものか。何度も言ってるけど、和月先生と月刊誌は相性がいい。個人的には念願叶い、とうとう月刊誌で和月漫画が始動です!

WJ時代の武装錬金は遅筆が祟って、掲載順が落ちたり、作画品質が落ちたり、一話分の原稿量を削減したり、結果的に物語展開が余計に間延びしたり、「週間連載」の相性を危惧する事態をまま感じました。ところが赤マル版武装錬金は、水を得た魚雷! エロ本を与えた男子高校生! ネーム・作画共に、途方もない完成度で仕上げてきたのでした。

新連載は渾身の50P。その内訳は「導入に10P」「回想に12P」「バトルに12P」「世界観に10P」「展開に6P」と主観で分類しました。中でも「回想」と「世界観」パートは、何気ない説明や描写の中にも、後の伏線に生きそうなキーワードが散々と。

導入
「いつも通りヒューリーが前でボクが後ろ」の台詞はダメ、ゼッタイ! これを深読みするSnowSwallowセンサーの感受性が狂ってる可能性は否めないけど、彼らの攻受関係は提示されました。としながらも、レイスの方が薬漬け拷問などを笑顔で妄想し、際立ったサディスト性質を露わにしたり……。結論、レイスはヒューリーにだけ受け! そんなで納得するSnowSwallowセンサーの感受性、ダメ、ゼッタイ!

導入部で余計なエピソード(名前紹介すらも!)を省き、「直情型の大男」と「沈着型の優男」という人間性の対比に留めたのはポイント高い。並のマンガなら、序盤で人物紹介が無駄に説明的になったり、設定を解説してテンポ崩すんだよね。この後すぐ、因縁の敵と対峙してバトル開始一回目の山場まで、わずか10ページです。

回想
表紙の第一印象では、ヒューリーは「考えるよりも行動派」かと思いきやしかし。山火事(?)起こして暖を確保しながら救援の目印にしたり、なかなかの機転屋だ。非力を頭脳プレイでカバーするレイスの立場が無いような…。あと、こんな目立ったらいくら何でも怪物戻ってくるような…。

馬車が立ち往生したのは、人造人間の操り主が仕組んだ手口と予想。報道規制の方は、同一人物の圧力か、あるいは人造人間技術を牛耳る巨大組織の圧力か? 「子供の証言だから」ってだけで収めるには惜しいパーツ。馬車の行き先や目的を隠匿したままなのも、作家側の作為的理由を感じます。

人造人間の創造主は誰か? 次回がその解明編ならば、上述した謎も共に紐解かれることでしょう。

バトル
今話一番の山場。決め絵は墨絵タッチになるかな? と予想したけど、雷のシーンは予想を覆すアメコミタッチ! コマ割り、筋肉のムキムキ感、効果音(雄叫び)のインパクト、どれをとってもアメコミだ。特質すべきはヒューリーの涙。これ、雷のエフェクトなのか涙なのか、曖昧にぼやかした表現なのが奥ゆかしい。

世界観
例えば、『断片的なメモをまとめた二冊の禁書』。これは史実を元にしてるかもだけど、物語としてフィクションで広げるなら、非常に遊び甲斐のある設定です。

例えば、一冊目は『人造人間の創造方法』で二冊目は『人造人間の破壊方法』と各二冊は対関係の意味があったり。あるいは、ヴィクトルのみぞ知る三冊目の禁書をもってして「蘇生の法」となり、人間に在らざる人間=「人造人間」は、「人間」に成りうるとか。ここをちょいと捻るだけでも、物語の終着点をも誘導しかねない。

ところで、人一倍お姉さん属性を備えるオレですが、ピーベリーはあまりピンときません。「白衣+黒下着」は確かに色っぽい記号だけど、オープンすぎて攻略の甲斐がないかなぁ…。武装錬金の千歳さんはド・ストライクで、「清楚系」「奥手ぽい」「気丈だけど優しい」「姉御肌だけど守りたいタイプ」あたりが、すごくツボでした。ピーベリーさんも弱みが見えたら、じわじわ旨味が出てくる人かも。

展開
屋敷に戻ってからの急展開は、次回への繋ぎと引き。上述した「人造人間の創造主は誰か?」の解ですが、現時点で「ワイス卿(旦那様)」か「ジェイス」の二択ッスね。ジェイスの初登場シーンは「うわぁ、思いっきり悪役ヅラだ!」と思っちゃったけど、立場上「ワイス卿」のが黒幕にしやすいね。あるいは共犯説。

レイスを人造人間にしたのも同一人物でしょう。「自分の人造人間が破壊された→現場確認→レイス回収→そろそろ新品の人造人間欲しかったんだよね→レイス改造」という状況は自然ですし、屋敷と戦闘場所の距離もそう遠くない様子です。

加えて、レイス自身は、創造主(ワイス卿?)に感謝してそう。彼は虐待を受けていた親に対し、恨みこそあれ哀れみはない様子でした。忌むべき親を亡き者にし、己の命を救われ、知りたかった「世界の謎」まで教わったのだから。

ところで
ヒューリーがレイスのベストに手を掛け、猛獣の如くシャツを破いて上半身をご開帳しちゃうシーンはダメ、ゼッタイ! 和月先生、そうよう読まれ方するの嫌いなはずなのに! 自ら誘っちゃってるじゃないのー!(悪いのはSnowSwallowセンサーの感受性です)

レイスの腹部にある二つのパーツは、武装錬金みたいな機能があるのかな。当然、ヒューリーの首にも類似したパーツがありそう。首からバルスカっぽい武器が飛び出すなんて想像しただけで絶句。

* 2(-) LUCK STEALER
こちらも過去二回の読切を経、満を持して二年越しの連載。だけどエンバーミングとは違い去年は描いてないから、「なにを今さら…」とブランクを感じた。第一話は過去の読切と同じテンプレート。さすがに三度も類似品を読まされると、舌が麻痺して正常評価は難しいなあ…。

本作の魅力は唯一「来栖の二枚顔」で語るに尽きます。悪者を人とも扱わないクールな顔と、愛娘だけを溺愛するデレデレパパな顔。このギャップは確かに魅力的で面白い造形です。SQ.の読者層なら、感情移入しやすいでしょう。だけど、過去二回も読切でネタバレしてんだし、さすがに三度目はインパクトないよって話。

だから自ずと「事件の完成度」や「背後の組織関係」に目が向くけど、こちらはウワサのローゼンメイデン8巻くらい薄っぺらな内容。家庭内暴力に怯えるミカの心理描写はリアリティあるけども、いかんせん、TVドラマ等で散々使い込まれたネタで、引き込まれるような恐怖や悲哀は感じられません。といっても、「指輪で殴られた跡」を察してミカの言葉を信じるという繋げ方は捻りがあった。事件の題材も捻れば、まだまだ挽回は利くと信じます!

次回予想
 次回というか、今後の展開予想。花凛が誘拐される事件は、単行本一冊分くらいは引っ張るでしょうね。それから母親関係で一悶着あるだろな。触れただけで運を吸う来栖はどうやって子作りしたの? 両手にはゴム手袋が必要だったの? そして第三の手はゴム越しに触れずとも平気だったの? 様々な謎とオトナの事情が蠢く中、花凛出産の秘密とは果たして……次号へ!!(そんな展開ありません)

* 3(-) 魔法の料理 かおすキッチン
昭和乙女の少女漫画テイストを平成19年の世に再現し、それ自体がギャグになるというロックな作品。表現法だけでなく、行動、台詞、仕草の細部がいちいち昭和主義! このノリが大好きです。ここ最近だと「SKET DANCE」のやり口ですね。さらにノリはジャガーさん的な不条理ギャグ一辺倒。初見ということもあり、ツボにはまりました。

料理を題材にしたり、魔法少女に変身したり、ステッキから魔法を出したり、親友の女の子が黒髪ストレートだったり(ありがち)、ちょっかい出してくる男子がウザいけど妙に気になったり…王道のごった煮だ。女性読者も思わず懐かしくなったりして、かおすキッチンの支持は軒並み高そうです。

次回予想
 表現法がそのままギャグなので、見た目に慣れたらギャグでもなんでもなくなります。表現だけで笑いが許されるのは二話まで。三話以降は読者の目も肥えちゃうぞ。てことで早いトコ、登場人物の個性を深めて、キャラで楽しめる漫画に遷移しないと先がない。安易な新キャラ大量投入で誤魔化されるのは萎えるなあ。

* 4(-) まつりスペシャ
指摘するときりがないけど、最も酷かった箇所を例に。「25戦中25連敗する女の子がチンピラ男子三人をちぎっては投げ」って、なんて説得力がない展開だ。「本気出してない」の伏線はあったけど、にしても男子三人を無傷KOする逸材だよ!? 本気出してないレベルじゃないし、相手選手だってさすがに察するだろうよ…。

知子のひねた性格も読んでいて悲しい。彼女はまつりの秘密を詮索して、本作の危機感を煽るポジション。だからゴシップネタ大好きな、情報通少女って造形なのは納得だけど、それなら社交的で明るい子でもよさそう。堪えてジメジメした性格で描いた理由は、『女子のリアル』を追求した結果なのかなぁ。そう言われたら返す言葉もないけど、一読者としては不快で楽しめない。

次回予想
 知子が「眼鏡を外したら急に美形化」して、まつりと重松の間に割って入って三角関係になった末、知子がまつりに仕掛けた数々の謀略がバレて、まつりと重松の結束が高まり、知子涙目。読者スッキリ。…って昼ドラチックな展開を考慮してるなら、彼女の灰汁の強さも納得感はままある。というわけで、次回以降期待する展開はこれで!

登場人物のほとんどが女で、主人公は全員からモテ、うぅ目眩が…。この手のギャルゲモノはとことん苦手。SQ.に乗ってなかったらスルーしてます。読後感想としてはやっぱり、キツイ。一方でこの作品、ラノベ原作の漫画化&TVアニメ化が決まり、「原作」「漫画」「脚本」「コンテ構成」とヤケに人手と手間とお金が掛かってる。オタク産業ってこうじゃなきゃ売れないのかあ……とため息。

肝心の本編感想ですが、これまた根底が業界騒然0.02mmの薄々っぷりで、うぅ目眩が…。これ、彼氏が外傷まで負ってんだから、ケーサツは動けるよねえ!? わざわざ有償でボディガードまで雇って、なにやってんすか麻里子さん。

それから主人公の『崩月流』が唐突すぎる。これはもうスイーツ(笑)に匹敵する魔法の言葉だ、崩月流(笑)。女の子を沢山紹介する前に、その『崩月流』とやらを紐解こうぜ! そりゃ、女の子紹介の方が商用的には大切だけど、漫画作りとしてはすごく変だよー…。

次回予想
 崩月流(笑)とやらの深掘りをしないと、どうにもならんでしょ。次回以降もハーレム&モテ展開が続いたら、それはそれで読み方を変えます。

* 6(-) 小説 3年Z組銀八先生
銀魂小説は初読でした。不思議なくらい原作の雰囲気を再現しており、すんなり読了できました。原作もネームが漫才風だから、文章だけになっても型は崩れない訳ですね。「さすが本編で警察やってるだけあって」など、頻繁に原作のキャラ造形を引用してる点がカオス。あくまでもアナザー作品ではなく、原作ありきの二次創作という創作スタンスなのかな。

全てにおいて『原作の限界枠を超えない配慮』が垣間見えたのが残念です。下ネタにしても、人物の行動にしても、原作で扱った範囲までしか書けないようで。だから舞台を現代の学園に移したんだろうけど、やってる事は室内劇。も少し動きが欲しいかなあ。それから、小説媒体ならではの、絵にできないけど表現だけなら可能な下ネタだってたくさんあります。大塚先生はその辺りのセンスに磨きをかけていただきたい。

* 7(-) パト犬
まつり、紅、パト犬の三本は、個人的にSQ.ワースト3と銘打った漫画です。いずれも説得力に欠け、現実味がなく、展開のノリと勢い、作者都合でだけでページを埋める漫画、という第一印象を抱きました。次号以降も連載で続くと思うと残念な気持ちです。「SQ.は買ってるけど半分は読んでない」じゃ、応援したい気持ちも半分になっちゃうもんなあ。是非とも全部読んで全作応援したいので、次回以降、健闘していただきたいです。

パト犬の感想を素直に書いたら痛烈批判の辛口感想になったので、一旦リセット。ここからは、良かった点だけを述べます。

まずは何と言っても、「パト犬」ってタイトルが覚えやすい! 一通り読んでタイトル覚えてた新連載は「パト犬」と「罪花罰」だけでした。次いで、正義に前向きで一途なハヤブサの性格は素敵。『正義』の異議を取り違え、一人の人間をを救うために数百・数千の人間を木っ端微塵に爆死させるドジな一面もあるけれど、彼はまだまだ少年だから。大人になるにつれ、精神面を高め、常識を身に付ければ、まだまだ更生できると思う。

最終回予想
 はい恒例、最終回予想ですが。精神面をを高め、常識を身に付けたハヤブサ。エゴで正義を振りかざすことなく、直情だけで動くことなく、組織の命はそれなりに守り、それなりに異を唱え、物事を多角的に評価・判断してベストを模索する、そんなウルフマンVerハヤブサが、今日も世界平和を守るのでした。

* 8(-) PARマンの情熱的な日々
おっとコイツはトラップだ。このコラム、漫画として読んではいけないわけですよ。いわゆる「絵が沢山入ったエッセイ」として読めば、こんなにも有り難いコラムはありません。人間国宝並みのA先生の日常風景が、文章よりも幾分か分かりやすく、漫画テイストで紹介されるわけです。そんなふうに捉えて身構えれば、なんの不快感もありません。ありがたや、ありがたや。

「漫画家なのに遊んでばかり」というコミカルさを押し出されたコラムだけど、A先生はもはや、漫画家という概念にはまらない。言うなれば「成功者」という職業。「勇者」みたいな。数々の栄光を収め、多数の賛同者を得て、人生の余生を存分に楽しむ権利のある偉い方なんです。だから「成功者なのに遊んでばかり」ってそりゃ当たり前だー! でもきっと、実際は仕事に忙しい時も多いと思うんだ。結構なお歳を召したA先生なのに、まだ精力的に新連載を持つなんて偉大すぎるよ。

次回予想
 次のコラムネタは、藤子不二雄AのWikipediaを読む限りだと、犬の話は筆頭じゃないでしょうか? F先生関連のイベントなんかも、いつか語ってもらえると嬉しいなあ。

* 9(-) HALLO BABY(読み切り)
本作よりも対談の方が面白いってコトの方が「どないやねん」です! 読者に訴えかけ考えさせるエピローグは、確かに「週刊少年ジャンプ」の土壌には合わない、SQだから許される作品だったかも。むしろ小畑先生の画質が『SQ作品向きではない』と強く思いました。森田先生とのコラボは魅力的な記念だけども、一方で、小畑先生を週刊少年ジャンプで使わなかった『もったいなさ』のが心象に残ります。

全ての答えを投げ出した結末は賛否の差が大きそう。スッキリはしないけど、短編読切ならではの趣は十分ある。インパクトはデカいし、深い余韻も残せている。兄貴の最後の言葉が「負け惜しみ」か「本当」か迷わせるのは、小畑先生が急遽中盤に挿入したらしい『回想』があってこそ。実のところ読者から見てもまったく似てなくて、むしろ『猿の人形に激似』なのは皮肉か。

親視点からすると、自分の(かもしれない)赤ちゃんは、「自分に似てる」と思い込んで母性や父性を芽生えさせる本能でもあるのかなぁ。

* 10(-) CLAYMORE
WJ読切ではサイドストーリーばかりだったけど今話もその部類? CLAYMOREの主人公はクレアって認識は思い込みなのかな。もしかして主人公は変動制で、『初恋限定。』や『エンバーミング』のように、視点切り替えで話を転がす作品なのかな。もしもそうなら俄然燃える!

クレイモアやら覚醒者やらの存在が大きすぎて、「人を食らう妖魔」とやらが空気なのは…いかがなものか。人間関係の構築と破壊を描けば感動は狙えるし、感情移入されやすいから、内部紛争のエピソードが過多になるんだろうなあ。気持ちは分かるけど、本来の敵である妖魔を投げっぱなしじゃ、作品の緊張感が薄れやしないか。「妖魔よりもクレイモアの人達の方が迷惑」みたいな。これ、某幕末の京都で活躍したあの人達みたいな団体だな。

殺伐とした雰囲気はよくよく顕れていて、でもその実「萌え」を衒った描写が多々。このあざとさ、オレは居心地が悪く感じました。ここは完全に個人趣向だけど、そこは狙わない作風の方がもっと好感を寄せてた。独特の「間」が、キャラの天然ボケぽく感じちゃうのもマイナス。バトル描写のフットワークは軽快でスピード感あるのに、ドラマパートだとどうして拍子が抜けてる感覚。同じ「間」でも、あだち充先生のは絶妙に思えるんだけども。

次回予想
 妖魔さんが一晩で頑張ってくれます!

血も涙もないと批判されかれない中、正直な気持ちを申しますと。WJ読切に掲載されたテガミバチは「作者のメッセージ性が押しつけがましくて物語展開が追いついてない、読者置いてきぼりじゃないの?」と悪評しちゃってた。んでもって今話、多少そのように感じた部分も否めないけど、前回よりはよっぽど楽しんで読めました。ってなんだこの上から目線感想、サイテーすぎる。

作詩に目覚めた中学生が日々したためた生温い手帳を参考にネーム作りしたような、そこはかとない「クサイ」そして「クドイ」台詞や決めセリフのオンパレードには、セックスレス5年目熟年夫婦並の温度差を感じずにいられません。これらフレーズが『太陽にほえる』などに並んでいれば感動すら覚えますが、作風からして大マジで感動を狙ってる訳で…。これを笑いものにしかねないオレ、サイテーすぎる。なんかもう、これに共感できない自身の冷血な人間性っぷりに凹んだ。

せめて最強幼女ニッチなどに興味を寄せればモチベーションも高まるんだけど、幼女やパンチラには興味ありません。パンツの隙間から見え隠れするお尻の割れ目も、パンチラした時点でただの肌色の皮膚よ。バトルパートも『格好良さと感動詩集を魅力的にアピールする舞台』でしかなく、バトルを楽しみにするのは読み方として間違っているようで…。浅田先生の作品って、『中高生読者層』のこそウケそう。BLEACHの読者層に近いんじゃないかな。社会人層が厚そうなSQ.では、分の悪い勝負にならないだろか。

次回予想
 まずはコミックス読んで復習しておきたい。冒頭の車椅子少女にときめいて読めば、もすこし穏やかな読み方ができそう。

あの先生は霊媒師いずなで復活し。あの先生も初恋限定で復活し。今さらながらサザンアイズが懐かしい。さすが妖怪繋がりとあって、シナプスが活性化されまくりです。他意はないよ。

WJ読切も辛かったけど、今回もまた身の毛も弥立つハーレム展開。性なる青い稲妻が僕を責めて心も身体も焼き尽くすぜ。んでまた「こういうの好きな人ってギャルゲとかエロゲ好きなんでしょ?」とか言いがちだけど、『男女比が均等』なエロゲだってたくさんある。むしろエロゲ様に失礼だ! と評したいね。登場人物が女ばかりに偏りすぎる本作自体が、一種の禍々しい妖怪なのでは…。

話の筋道やら現実性やらはガチ無視し、キャラ設定とお色気でごり押しする展開はToLoveると同一性の作風か。能力モノだといってバトル展開に転んでも、最終的にはバンパイア最強でなし崩しに決着されそう。だいたい、この手のハーレムモノに『恋愛の駆け引き』なんて方向性を期待する方が馬鹿げてる。毎回月音を争奪して紆余曲折あってとろとろの表情になる女の子を愛でる、という読み方が正解なんでしょう。好き放題書いたけど、それでもSQ.では主力マンガの一本だと感じます。

次回予想
 100%限定理論でいけば次はサキュパスさんがメインの話か。お色気だけじゃないマンガだってとこ見せて、良い意味で予想を裏切っていただきたい。そういう観点で今後に期待します。

* 13(-) ドラゴノーツ-THE RESONANCE-
最終回まであと3話! とでも言いたげな早足展開。キミらはアレか、東京駅の通勤ラッシュを無表情で駆けるサラリーマン的な人か。設定や人間性の表裏を表現できておらず、すべてを包み隠さずオープンにしすぎでは。読者も暖まってないうちから、様々な謎や設定を打ち明けすぎてる。絵はキレイだしキャラ立ちもしてる、起承転結も標準レベルなだけに、『読者を惹き付ける技術』が乏しいのは実に惜しいです。

人類vsドラゴンという一辺倒な対立だけでは、展開がワンパターンになるしテーマ性も薄く、物足りない。今はドラゴンを憎むだけのジンが、何かを契機にドラゴンとの共存を模索しはじめると読み応えありそう。今だってドラゴノーツは共存できてる訳で。ただ一点、『ドラゴンの卵は人間が飼い慣らせば生命力吸われない』ってトコに致命的矛盾を感じるので、ここを次話以降の設定でフォローしていただきたい。

次回予想
 二人目のドラゴノーツが登場して思想の違いに対立し、早速のドラゴノーツ対決かな。結局、考えも喋りもしないNPCドラゴンより、ヒトの想いがぶつかり合うの闘いを描く方が、読者に分かりやすいし伝わりやすい。CLAYMORE同様、ドラゴン=妖魔は空気と化して、ドラゴノーツ同士の衝突でドラマ作りに走りそう。個人的には勘弁してほしい展開だなあ。

* 14(-) 罪花罰
絶好調じゃないですか三上先生。とんでもない尻フェチ変態作家が登場したもんだ。SQ.は和月先生と三上先生のためだけに500円出しても過分ないよ! それほどに惚れ込みました。罪花罰は近い将来SQ.の看板を背負って立つマンガだ。桔梗と薔薇紋の性別はあくまで「中性」として読めば、ボーイズ系ギャグが苦手な読者も頑張れるのでは。体毛も汗も筋肉も存在しない『ドリーム男子』の描写は若干の嫌悪感を催すけども、男性作家の『ドリーム女子』に比べればまだまだ手ぬるいよね。

「水に濡れると溶ける素材」を的確かつ簡潔に突っ込むセンスには恐れ入りました。罪花罰は、単なる変態マンガという枠で括り付けるには惜しい作品です。揺るぎないギャグセンスを支柱にうらずけられた、笑いの安定力がある作家だとお見受けしました。

ただ一点心配は、三上先生の変態ポテンシャルがどれほどのレベルかという点。正直なところ、お尻だけでは押しが弱い。次回以降は『足指』『くるぶし』『鎖骨』『うなじ』『乳頭』など、パーツごとに一話消化するような、とんでもないフェティシズムを表現しうる作家先生だと信じたいです。

次回予想
 植物×桔梗で触手プレイ。そして桔梗はこの職種に戸惑いを覚える。

* 15(-) 世界の中心で太陽にほえる
WJ本誌の予告でタイトルを見かけた時は『おもしろそう! SQ.界のこち亀になればいいな』と期待したのだけど、そもそもポンゼ先生に期待するところから間違ってた。過去一作としてポンゼ作品に共感した試しがなく、今回こそはと思ったけども。

タイトルだけなら独創的なパロディだと思えるも、中身まで太陽ネタをくどくど引きずり回し、まるでオリジナリティが欠如してます。挙げ句に核融合刑事というオチは、体脂肪計の微弱電流並みの体感力。あれ、えっと、SQ.って集英社が総力挙げて創刊した月刊誌ッスよね!? 以降も核融合を引っ張るのはあんまりなので、山田刑事の冠名は毎回ルーレットで決まると信じたい。核融合刑事よりノーパン刑事のが危険度UPだよな。

次回予想
 ルーレット回してギリギリのところでノーパン刑事を逃れる絵が目に浮かぶよ。

* 16(-) TISTA
1000ヤード以上離れた位置から時速40マイルの走行車を打ち抜くヒットマン像といえば、常時クールで動じず人間味薄く、感受性に乏しい印象を持ちます。果たして人付き合いが不器用少女がその正体。ただし、シスターミリティアの活動は10年に及ぶわけで、彼女は少なくとも二代目。眼の能力は初代から伝搬したのか。初代ミリティアは実の親で能力は遺伝性によるものか。そうした謎は提示だけに留め、話はあくまでアーティーを取り巻く事件を主題とするのは、非常に好感が持てました。ドラゴノーツとは正反対ね。

ティスタの性格は、精密機械のようなヒットマン像とのギャップ表現を狙った様だけど、正直ピンときません。素の人間不信な性格、ターゲットを見据える狂人の性格、シャワールームでのアンユイな性格、それぞれ三者三様で一致せず、ピントぼけしてます。遠藤先生自身も、ティスタの性格を掴みきれないまま筆を進めてるんじゃ…と勘繰ってしまうよ。

次回予想
 このマンガはLUCK STEALER同様の一話完結モノか、ティスタとアーティーの関係性を深める連続ドラマかで、方向性は大きく変わりそうです。既にLUCK STEALERとジャンルが被ってるので、TISTAは連続モノとして楽しみたいものです。

* 17(-) 清く正しく美しく
絶対に下着が見えないマンガという性質その一点なら絶賛します。本作はあくまで「読み切り」としてなら楽しめました。女子サッカーのマンガといえど、作者陣が描きたいのはキャラモノで、スポーツ漫画ではなさそう。バンブーブレードのように二足の草鞋を履き、一端のサッカー技術まで描かれたなら、この作品は化けそう。

最大の欠陥は「美少女」以外のキャラ造形。保護者役のデザインがあまりにお粗末で、マトモに読めたもんじゃない。作者側は「清く正しく美しい青春マンガ」を描いてるつもりだろうけど、こんな造形が罷り通るのはギャグマンガの土俵だけ。後半の作風がマジメに偏った分だけ、脇役絵のテキトーっぷりが気持ち悪いです。

次回予想
 無難にチームメンバーの掘り下げかな。サッカーで青春を描くにしても、女学生の青春を描くにしても、キッカとトモミだけでは人数不足でしょう。今回空気だったつかさとノンもキャラ立ちさせて、役割分担させた方が盛り上がると思います。

題材となっているゲーム設定の部分は魅力十分。異能者の証を歪な影の形で表現したり、異能者を法で取り締まる世界観など、設定上の掴みは十分だった。一方で海堂先生の力不足が目立ちました。何しろツッコミどころ満載。空腹を理由に道の真ん中で寝るって何なの。イリアが寝てる間コーダはどこ行ってたの。つかコーダの存在意義って何なの。『ゲームがそうだから』と、ありのまま引用するセンスのなさにガッカリです。原作は面白そうなだけに。

次回予想
 捕縛され地下牢で目覚めたルカ達は、新たな仲間を得て脱走を企てる的な、いかにもRPGにありそうな展開にならないことを祈るばかりです。

ガリレオのエロネタはクド過ぎて中盤で飽きたけど、そのクドさはあくまでニキビケアへの伏線! ガリレオの直後に毛根の拡大図を持ち出す増田先生のエロエロセンスに脱毛。いや脱帽だ。さすがSQ.はオトナの雑誌だなあ。

そして本命のララ美☆リアリティでトドメを刺された。SQ.という土壌だからこそ、より効果的にヒットした。かおすキッチンの立場が形無しじゃないか。コンタクトレンズ一つで無茶な妄想を重ね続け、まさかレンズが寿司に化けたところで完全にKO、完敗ですよ増田先生。ガリレオで侮ってごめんなさい。打ち切りをちらつかせて従順になる作家の性がオチというのも味があって良し。ごちそうさまでした!

* 20(-) アキバザイジュウ
こちとら秋葉原スポットの紹介なんて真にどうでもいいんスよ。「秋葉原に在住してるとこんな事件やイベントに巻き込まれて賑やかです」的な、庶民のセンスで彩るコラムを期待していた分、残念すぎて涙が出そう。稜之先生の発案だった「秋葉原周辺の不動産屋巡り」とか「引っ越しレポート」の方がよっぽど面白そうじゃないか。マジ、なんてことしてくれてんだ細野編集! 諸悪の根源はこの人だ!

で、レポートの題材も「耳かき専門店」ってなにこの強烈な今さら感。開店当初にあれだけTV、雑誌、Webで話題になったのに…。この細野編集って人の入れ知恵とセンスを、本格的にどうにかしてください。千代さんの「準備しますので少々お待ち下さいませ」の手つきが妙にいやらしく、不覚にもドキドキした。マップ案内も分かりやすいです。やっぱり稜之先生の方には素質あるよ!

 

  • たあたんちぇっく先生
     ああ、サッカー漫画って意志はあったんだ…。
  • 服部昇大先生
     暖色系というか炎上系というか、SQ.って真っ赤なイメージだなあ。
  • 三上骨丸先生
     素敵と称するにはあまりに高度差を感じる変態的な笑いをありがとうございました。
  • 稜之大介先生
     悲運の境遇にある稜之先生を、今後も応援します。編集なんかに負けちゃダメだ!

読後感としては、「思ったより予算付かなかったんだなSQ.」という印象。大物ネームが多数名を連ねたわけでもないのに「低予算でページ埋めに使ってるマンガ」が目立つし、「メディアミックス展開の題材を取り上げて予算確保」の動きがちらつく。

一定予算枠の中で運営するのが雑誌の宿命。魅力的な作家陣で紙面を埋めることが適わないのは当然だし、安い給与でページ埋めてくれる筆早の新人・無名作家を使う戦略も理解できます。それにしたって、予想以上に散々だった印象です。ジャンプ作家って、思った以上に層が薄いんだなあ…。

それはそれとして、次号の藤崎先生、その後に復活予定の「変態仮面」、そして今後のジャンプSQ.に期待します。来月号は、もうちょい増版しといてください。