1638. ジャンプスクエア 12月号(創刊号)
エレベータから降りるとき、同乗者にウザがられるのが億劫で、「閉」ボタンを押しながら降りる小心者です。エレベータを言及するときは「エレベータ? エスカレータ? どっちだっけ?」と、胸中で戸惑う小心者です。
「SQ.」は7店もの本屋・コンビニを巡りました。6人の店員さんから品切れ宣告を受け、7人目の店員さんに在庫尋ねる頃には、オレの小心者フラグはあたかも励起状態。もしもあのまま羞恥の揺さぶりが続いたなら「で、電離しちゃうぅぅ……ッ!(ぶるぶる)」と打ち震え、より高みのエネルギー状態へ昇っていたところでした。
フゥー、ジャンプSQ.、末恐ろしい雑誌だぜ。
- 待ちわびたエンバーミング表紙。前作までのキャラ達も健在。ここから『三組の主人公達の行動が他勢力に干渉するクロスエピソード形式』として展開する妄想を掻き立てられます。創刊号なのにエンバーミング単身の表紙というのもある種潔い。看板漫画の宣伝であり、『実は半数がページ埋め漫画』に過ぎない状況を隠蔽する戦略でもあるというね。
- ジャンプSQ.コミックグランプリ
- SQ.は週刊と月刊の作家陣を受け皿にする存在と思いきや、こっちも募集すんのか。漫画部門150万に対しネーム部門100万。印税の取り分は作画:ネーム=3:2なのかな…とかぼんやり想像。まあ「漫画」って時点でネーム+作画だけども。
- エンバーミング博物誌
- ウワサの黒崎先生コラム! 『熊とスモウレスリング』を引き合いに動物の解説を切り込む着眼点が素敵です。ヒューリー達が日本童謡を語ってる様子がホトホト可笑しいよ。本作のダーク路線は露もないよ。まるでポップな世界史の授業、あるいは観光案内のような対談が新鮮でした。
地図や写真の図示がまた親切。来月以降も、食べ物、建築物、ライフサイクル、乗り物、職業など、題材にしていただきたいネタは満載です。
WJ時代の武装錬金は遅筆が祟って、掲載順が落ちたり、作画品質が落ちたり、一話分の原稿量を削減したり、結果的に物語展開が余計に間延びしたり、「週間連載」の相性を危惧する事態をまま感じました。ところが赤マル版武装錬金は、水を得た魚雷! エロ本を与えた男子高校生! ネーム・作画共に、途方もない完成度で仕上げてきたのでした。
新連載は渾身の50P。その内訳は「導入に10P」「回想に12P」「バトルに12P」「世界観に10P」「展開に6P」と主観で分類しました。中でも「回想」と「世界観」パートは、何気ない説明や描写の中にも、後の伏線に生きそうなキーワードが散々と。
導入
「いつも通りヒューリーが前でボクが後ろ」の台詞はダメ、ゼッタイ! これを深読みするSnowSwallowセンサーの感受性が狂ってる可能性は否めないけど、彼らの攻受関係は提示されました。としながらも、レイスの方が薬漬け拷問などを笑顔で妄想し、際立ったサディスト性質を露わにしたり……。結論、レイスはヒューリーにだけ受け! そんなで納得するSnowSwallowセンサーの感受性、ダメ、ゼッタイ!
導入部で余計なエピソード(名前紹介すらも!)を省き、「直情型の大男」と「沈着型の優男」という人間性の対比に留めたのはポイント高い。並のマンガなら、序盤で人物紹介が無駄に説明的になったり、設定を解説してテンポ崩すんだよね。この後すぐ、因縁の敵と対峙してバトル開始一回目の山場まで、わずか10ページです。
回想
表紙の第一印象では、ヒューリーは「考えるよりも行動派」かと思いきやしかし。山火事(?)起こして暖を確保しながら救援の目印にしたり、なかなかの機転屋だ。非力を頭脳プレイでカバーするレイスの立場が無いような…。あと、こんな目立ったらいくら何でも怪物戻ってくるような…。
馬車が立ち往生したのは、人造人間の操り主が仕組んだ手口と予想。報道規制の方は、同一人物の圧力か、あるいは人造人間技術を牛耳る巨大組織の圧力か? 「子供の証言だから」ってだけで収めるには惜しいパーツ。馬車の行き先や目的を隠匿したままなのも、作家側の作為的理由を感じます。
人造人間の創造主は誰か? 次回がその解明編ならば、上述した謎も共に紐解かれることでしょう。
バトル
今話一番の山場。決め絵は墨絵タッチになるかな? と予想したけど、雷のシーンは予想を覆すアメコミタッチ! コマ割り、筋肉のムキムキ感、効果音(雄叫び)のインパクト、どれをとってもアメコミだ。特質すべきはヒューリーの涙。これ、雷のエフェクトなのか涙なのか、曖昧にぼやかした表現なのが奥ゆかしい。
世界観
例えば、『断片的なメモをまとめた二冊の禁書』。これは史実を元にしてるかもだけど、物語としてフィクションで広げるなら、非常に遊び甲斐のある設定です。
例えば、一冊目は『人造人間の創造方法』で二冊目は『人造人間の破壊方法』と各二冊は対関係の意味があったり。あるいは、ヴィクトルのみぞ知る三冊目の禁書をもってして「蘇生の法」となり、人間に在らざる人間=「人造人間」は、「人間」に成りうるとか。ここをちょいと捻るだけでも、物語の終着点をも誘導しかねない。
ところで、人一倍お姉さん属性を備えるオレですが、ピーベリーはあまりピンときません。「白衣+黒下着」は確かに色っぽい記号だけど、オープンすぎて攻略の甲斐がないかなぁ…。武装錬金の千歳さんはド・ストライクで、「清楚系」「奥手ぽい」「気丈だけど優しい」「姉御肌だけど守りたいタイプ」あたりが、すごくツボでした。ピーベリーさんも弱みが見えたら、じわじわ旨味が出てくる人かも。
展開
屋敷に戻ってからの急展開は、次回への繋ぎと引き。上述した「人造人間の創造主は誰か?」の解ですが、現時点で「ワイス卿(旦那様)」か「ジェイス」の二択ッスね。ジェイスの初登場シーンは「うわぁ、思いっきり悪役ヅラだ!」と思っちゃったけど、立場上「ワイス卿」のが黒幕にしやすいね。あるいは共犯説。
レイスを人造人間にしたのも同一人物でしょう。「自分の人造人間が破壊された→現場確認→レイス回収→そろそろ新品の人造人間欲しかったんだよね→レイス改造」という状況は自然ですし、屋敷と戦闘場所の距離もそう遠くない様子です。
加えて、レイス自身は、創造主(ワイス卿?)に感謝してそう。彼は虐待を受けていた親に対し、恨みこそあれ哀れみはない様子でした。忌むべき親を亡き者にし、己の命を救われ、知りたかった「世界の謎」まで教わったのだから。
ところで
ヒューリーがレイスのベストに手を掛け、猛獣の如くシャツを破いて上半身をご開帳しちゃうシーンはダメ、ゼッタイ! 和月先生、そうよう読まれ方するの嫌いなはずなのに! 自ら誘っちゃってるじゃないのー!(悪いのはSnowSwallowセンサーの感受性です)
レイスの腹部にある二つのパーツは、武装錬金みたいな機能があるのかな。当然、ヒューリーの首にも類似したパーツがありそう。首からバルスカっぽい武器が飛び出すなんて想像しただけで絶句。
本作の魅力は唯一「来栖の二枚顔」で語るに尽きます。悪者を人とも扱わないクールな顔と、愛娘だけを溺愛するデレデレパパな顔。このギャップは確かに魅力的で面白い造形です。SQ.の読者層なら、感情移入しやすいでしょう。だけど、過去二回も読切でネタバレしてんだし、さすがに三度目はインパクトないよって話。
だから自ずと「事件の完成度」や「背後の組織関係」に目が向くけど、こちらはウワサのローゼンメイデン8巻くらい薄っぺらな内容。家庭内暴力に怯えるミカの心理描写はリアリティあるけども、いかんせん、TVドラマ等で散々使い込まれたネタで、引き込まれるような恐怖や悲哀は感じられません。といっても、「指輪で殴られた跡」を察してミカの言葉を信じるという繋げ方は捻りがあった。事件の題材も捻れば、まだまだ挽回は利くと信じます!
- 次回予想
- 次回というか、今後の展開予想。花凛が誘拐される事件は、単行本一冊分くらいは引っ張るでしょうね。それから母親関係で一悶着あるだろな。触れただけで運を吸う来栖はどうやって子作りしたの? 両手にはゴム手袋が必要だったの? そして第三の手はゴム越しに触れずとも平気だったの? 様々な謎とオトナの事情が蠢く中、花凛出産の秘密とは果たして……次号へ!!(そんな展開ありません)
料理を題材にしたり、魔法少女に変身したり、ステッキから魔法を出したり、親友の女の子が黒髪ストレートだったり(ありがち)、ちょっかい出してくる男子がウザいけど妙に気になったり…王道のごった煮だ。女性読者も思わず懐かしくなったりして、かおすキッチンの支持は軒並み高そうです。
- 次回予想
- 表現法がそのままギャグなので、見た目に慣れたらギャグでもなんでもなくなります。表現だけで笑いが許されるのは二話まで。三話以降は読者の目も肥えちゃうぞ。てことで早いトコ、登場人物の個性を深めて、キャラで楽しめる漫画に遷移しないと先がない。安易な新キャラ大量投入で誤魔化されるのは萎えるなあ。
知子のひねた性格も読んでいて悲しい。彼女はまつりの秘密を詮索して、本作の危機感を煽るポジション。だからゴシップネタ大好きな、情報通少女って造形なのは納得だけど、それなら社交的で明るい子でもよさそう。堪えてジメジメした性格で描いた理由は、『女子のリアル』を追求した結果なのかなぁ。そう言われたら返す言葉もないけど、一読者としては不快で楽しめない。
- 次回予想
- 知子が「眼鏡を外したら急に美形化」して、まつりと重松の間に割って入って三角関係になった末、知子がまつりに仕掛けた数々の謀略がバレて、まつりと重松の結束が高まり、知子涙目。読者スッキリ。…って昼ドラチックな展開を考慮してるなら、彼女の灰汁の強さも納得感はままある。というわけで、次回以降期待する展開はこれで!
肝心の本編感想ですが、これまた根底が業界騒然0.02mmの薄々っぷりで、うぅ目眩が…。これ、彼氏が外傷まで負ってんだから、ケーサツは動けるよねえ!? わざわざ有償でボディガードまで雇って、なにやってんすか麻里子さん。
それから主人公の『崩月流』が唐突すぎる。これはもうスイーツ(笑)に匹敵する魔法の言葉だ、崩月流(笑)。女の子を沢山紹介する前に、その『崩月流』とやらを紐解こうぜ! そりゃ、女の子紹介の方が商用的には大切だけど、漫画作りとしてはすごく変だよー…。
- 次回予想
- 崩月流(笑)とやらの深掘りをしないと、どうにもならんでしょ。次回以降もハーレム&モテ展開が続いたら、それはそれで読み方を変えます。
全てにおいて『原作の限界枠を超えない配慮』が垣間見えたのが残念です。下ネタにしても、人物の行動にしても、原作で扱った範囲までしか書けないようで。だから舞台を現代の学園に移したんだろうけど、やってる事は室内劇。も少し動きが欲しいかなあ。それから、小説媒体ならではの、絵にできないけど表現だけなら可能な下ネタだってたくさんあります。大塚先生はその辺りのセンスに磨きをかけていただきたい。
パト犬の感想を素直に書いたら痛烈批判の辛口感想になったので、一旦リセット。ここからは、良かった点だけを述べます。
まずは何と言っても、「パト犬」ってタイトルが覚えやすい! 一通り読んでタイトル覚えてた新連載は「パト犬」と「罪花罰」だけでした。次いで、正義に前向きで一途なハヤブサの性格は素敵。『正義』の異議を取り違え、一人の人間をを救うために数百・数千の人間を木っ端微塵に爆死させるドジな一面もあるけれど、彼はまだまだ少年だから。大人になるにつれ、精神面を高め、常識を身に付ければ、まだまだ更生できると思う。
- 最終回予想
- はい恒例、最終回予想ですが。精神面をを高め、常識を身に付けたハヤブサ。エゴで正義を振りかざすことなく、直情だけで動くことなく、組織の命はそれなりに守り、それなりに異を唱え、物事を多角的に評価・判断してベストを模索する、そんなウルフマンVerハヤブサが、今日も世界平和を守るのでした。
「漫画家なのに遊んでばかり」というコミカルさを押し出されたコラムだけど、A先生はもはや、漫画家という概念にはまらない。言うなれば「成功者」という職業。「勇者」みたいな。数々の栄光を収め、多数の賛同者を得て、人生の余生を存分に楽しむ権利のある偉い方なんです。だから「成功者なのに遊んでばかり」ってそりゃ当たり前だー! でもきっと、実際は仕事に忙しい時も多いと思うんだ。結構なお歳を召したA先生なのに、まだ精力的に新連載を持つなんて偉大すぎるよ。
- 次回予想
- 次のコラムネタは、藤子不二雄AのWikipediaを読む限りだと、犬の話は筆頭じゃないでしょうか? F先生関連のイベントなんかも、いつか語ってもらえると嬉しいなあ。
全ての答えを投げ出した結末は賛否の差が大きそう。スッキリはしないけど、短編読切ならではの趣は十分ある。インパクトはデカいし、深い余韻も残せている。兄貴の最後の言葉が「負け惜しみ」か「本当」か迷わせるのは、小畑先生が急遽中盤に挿入したらしい『回想』があってこそ。実のところ読者から見てもまったく似てなくて、むしろ『猿の人形に激似』なのは皮肉か。
親視点からすると、自分の(かもしれない)赤ちゃんは、「自分に似てる」と思い込んで母性や父性を芽生えさせる本能でもあるのかなぁ。
WJ読切ではサイドストーリーばかりだったけど今話もその部類? CLAYMOREの主人公はクレアって認識は思い込みなのかな。もしかして主人公は変動制で、『初恋限定。』や『エンバーミング』のように、視点切り替えで話を転がす作品なのかな。もしもそうなら俄然燃える!クレイモアやら覚醒者やらの存在が大きすぎて、「人を食らう妖魔」とやらが空気なのは…いかがなものか。人間関係の構築と破壊を描けば感動は狙えるし、感情移入されやすいから、内部紛争のエピソードが過多になるんだろうなあ。気持ちは分かるけど、本来の敵である妖魔を投げっぱなしじゃ、作品の緊張感が薄れやしないか。「妖魔よりもクレイモアの人達の方が迷惑」みたいな。これ、某幕末の京都で活躍したあの人達みたいな団体だな。
殺伐とした雰囲気はよくよく顕れていて、でもその実「萌え」を衒った描写が多々。このあざとさ、オレは居心地が悪く感じました。ここは完全に個人趣向だけど、そこは狙わない作風の方がもっと好感を寄せてた。独特の「間」が、キャラの天然ボケぽく感じちゃうのもマイナス。バトル描写のフットワークは軽快でスピード感あるのに、ドラマパートだとどうして拍子が抜けてる感覚。同じ「間」でも、あだち充先生のは絶妙に思えるんだけども。
- 次回予想
- 妖魔さんが一晩で頑張ってくれます!
作詩に目覚めた中学生が日々したためた生温い手帳を参考にネーム作りしたような、そこはかとない「クサイ」そして「クドイ」台詞や決めセリフのオンパレードには、セックスレス5年目熟年夫婦並の温度差を感じずにいられません。これらフレーズが『太陽にほえる』などに並んでいれば感動すら覚えますが、作風からして大マジで感動を狙ってる訳で…。これを笑いものにしかねないオレ、サイテーすぎる。なんかもう、これに共感できない自身の冷血な人間性っぷりに凹んだ。
せめて最強幼女ニッチなどに興味を寄せればモチベーションも高まるんだけど、幼女やパンチラには興味ありません。パンツの隙間から見え隠れするお尻の割れ目も、パンチラした時点でただの肌色の皮膚よ。バトルパートも『格好良さと感動詩集を魅力的にアピールする舞台』でしかなく、バトルを楽しみにするのは読み方として間違っているようで…。浅田先生の作品って、『中高生読者層』のこそウケそう。BLEACHの読者層に近いんじゃないかな。社会人層が厚そうなSQ.では、分の悪い勝負にならないだろか。
- 次回予想
- まずはコミックス読んで復習しておきたい。冒頭の車椅子少女にときめいて読めば、もすこし穏やかな読み方ができそう。
WJ読切も辛かったけど、今回もまた身の毛も弥立つハーレム展開。性なる青い稲妻が僕を責めて心も身体も焼き尽くすぜ。んでまた「こういうの好きな人ってギャルゲとかエロゲ好きなんでしょ?」とか言いがちだけど、『男女比が均等』なエロゲだってたくさんある。むしろエロゲ様に失礼だ! と評したいね。登場人物が女ばかりに偏りすぎる本作自体が、一種の禍々しい妖怪なのでは…。
話の筋道やら現実性やらはガチ無視し、キャラ設定とお色気でごり押しする展開はToLoveると同一性の作風か。能力モノだといってバトル展開に転んでも、最終的にはバンパイア最強でなし崩しに決着されそう。だいたい、この手のハーレムモノに『恋愛の駆け引き』なんて方向性を期待する方が馬鹿げてる。毎回月音を争奪して紆余曲折あってとろとろの表情になる女の子を愛でる、という読み方が正解なんでしょう。好き放題書いたけど、それでもSQ.では主力マンガの一本だと感じます。
- 次回予想
- 100%限定理論でいけば次はサキュパスさんがメインの話か。お色気だけじゃないマンガだってとこ見せて、良い意味で予想を裏切っていただきたい。そういう観点で今後に期待します。
人類vsドラゴンという一辺倒な対立だけでは、展開がワンパターンになるしテーマ性も薄く、物足りない。今はドラゴンを憎むだけのジンが、何かを契機にドラゴンとの共存を模索しはじめると読み応えありそう。今だってドラゴノーツは共存できてる訳で。ただ一点、『ドラゴンの卵は人間が飼い慣らせば生命力吸われない』ってトコに致命的矛盾を感じるので、ここを次話以降の設定でフォローしていただきたい。
- 次回予想
- 二人目のドラゴノーツが登場して思想の違いに対立し、早速のドラゴノーツ対決かな。結局、考えも喋りもしないNPCドラゴンより、ヒトの想いがぶつかり合うの闘いを描く方が、読者に分かりやすいし伝わりやすい。CLAYMORE同様、ドラゴン=妖魔は空気と化して、ドラゴノーツ同士の衝突でドラマ作りに走りそう。個人的には勘弁してほしい展開だなあ。
「水に濡れると溶ける素材」を的確かつ簡潔に突っ込むセンスには恐れ入りました。罪花罰は、単なる変態マンガという枠で括り付けるには惜しい作品です。揺るぎないギャグセンスを支柱にうらずけられた、笑いの安定力がある作家だとお見受けしました。
ただ一点心配は、三上先生の変態ポテンシャルがどれほどのレベルかという点。正直なところ、お尻だけでは押しが弱い。次回以降は『足指』『くるぶし』『鎖骨』『うなじ』『乳頭』など、パーツごとに一話消化するような、とんでもないフェティシズムを表現しうる作家先生だと信じたいです。
- 次回予想
- 植物×桔梗で触手プレイ。そして桔梗はこの職種に戸惑いを覚える。
タイトルだけなら独創的なパロディだと思えるも、中身まで太陽ネタをくどくど引きずり回し、まるでオリジナリティが欠如してます。挙げ句に核融合刑事というオチは、体脂肪計の微弱電流並みの体感力。あれ、えっと、SQ.って集英社が総力挙げて創刊した月刊誌ッスよね!? 以降も核融合を引っ張るのはあんまりなので、山田刑事の冠名は毎回ルーレットで決まると信じたい。核融合刑事よりノーパン刑事のが危険度UPだよな。
- 次回予想
- ルーレット回してギリギリのところでノーパン刑事を逃れる絵が目に浮かぶよ。
ティスタの性格は、精密機械のようなヒットマン像とのギャップ表現を狙った様だけど、正直ピンときません。素の人間不信な性格、ターゲットを見据える狂人の性格、シャワールームでのアンユイな性格、それぞれ三者三様で一致せず、ピントぼけしてます。遠藤先生自身も、ティスタの性格を掴みきれないまま筆を進めてるんじゃ…と勘繰ってしまうよ。
- 次回予想
- このマンガはLUCK STEALER同様の一話完結モノか、ティスタとアーティーの関係性を深める連続ドラマかで、方向性は大きく変わりそうです。既にLUCK STEALERとジャンルが被ってるので、TISTAは連続モノとして楽しみたいものです。
最大の欠陥は「美少女」以外のキャラ造形。保護者役のデザインがあまりにお粗末で、マトモに読めたもんじゃない。作者側は「清く正しく美しい青春マンガ」を描いてるつもりだろうけど、こんな造形が罷り通るのはギャグマンガの土俵だけ。後半の作風がマジメに偏った分だけ、脇役絵のテキトーっぷりが気持ち悪いです。
- 次回予想
- 無難にチームメンバーの掘り下げかな。サッカーで青春を描くにしても、女学生の青春を描くにしても、キッカとトモミだけでは人数不足でしょう。今回空気だったつかさとノンもキャラ立ちさせて、役割分担させた方が盛り上がると思います。
- 次回予想
- 捕縛され地下牢で目覚めたルカ達は、新たな仲間を得て脱走を企てる的な、いかにもRPGにありそうな展開にならないことを祈るばかりです。
そして本命のララ美☆リアリティでトドメを刺された。SQ.という土壌だからこそ、より効果的にヒットした。かおすキッチンの立場が形無しじゃないか。コンタクトレンズ一つで無茶な妄想を重ね続け、まさかレンズが寿司に化けたところで完全にKO、完敗ですよ増田先生。ガリレオで侮ってごめんなさい。打ち切りをちらつかせて従順になる作家の性がオチというのも味があって良し。ごちそうさまでした!
で、レポートの題材も「耳かき専門店」ってなにこの強烈な今さら感。開店当初にあれだけTV、雑誌、Webで話題になったのに…。この細野編集って人の入れ知恵とセンスを、本格的にどうにかしてください。千代さんの「準備しますので少々お待ち下さいませ」の手つきが妙にいやらしく、不覚にもドキドキした。マップ案内も分かりやすいです。やっぱり稜之先生の方には素質あるよ!
読後感としては、「思ったより予算付かなかったんだなSQ.」という印象。大物ネームが多数名を連ねたわけでもないのに「低予算でページ埋めに使ってるマンガ」が目立つし、「メディアミックス展開の題材を取り上げて予算確保」の動きがちらつく。
一定予算枠の中で運営するのが雑誌の宿命。魅力的な作家陣で紙面を埋めることが適わないのは当然だし、安い給与でページ埋めてくれる筆早の新人・無名作家を使う戦略も理解できます。それにしたって、予想以上に散々だった印象です。ジャンプ作家って、思った以上に層が薄いんだなあ…。
それはそれとして、次号の藤崎先生、その後に復活予定の「変態仮面」、そして今後のジャンプSQ.に期待します。来月号は、もうちょい増版しといてください。