1733. ぼくのわたしの賢者学 - 第2回「インテリ・トライアングル」

みんなで「賢い人」を目指す『ぼくのわたしの賢者学』。

第2回は、要領のよさを育むための思考法「インテリ・トライアングル」を提案します。…と、本題に入る前に、おさらいと補足から。


あらすじ
「賢い人」のパズルを完成させるにあたり、「要領のよさ」というピースは必要不可欠だ…という導入が、前回のお話でした。前回あらすじを下記の三行に濃縮します。

  • 「勉強ができる人」と「頭のいい人」の差は要領のよさにある
  • 要領がいいだけでは「頭のいい人」止まりで、「賢い人」にはなれない
  • だけど要領がわるいと「賢い人」にはなれない


前回の反応に対する返答
コメント欄でレトさんからご意見をいただき、オレの考える賢者像とはこうだったのかなと、改めて頭の整理できました。ここで改めて紹介しておきます。

個人的な見解で申し訳ないのですが、ここで挙げられる「頭のいい人」というのは秀才のことですね。ギフテッドは努力してなれるものではないので議論の余地がないですけど。

ギフテッド(先天性の天才)はもはや雲の上の存在で、これと比較すると「賢い人」「頭のいい人」はどちらも秀才クラスに分類されます。「賢い人」「頭のいい人」の書き分けたい自分としては割と実も蓋もないので、ここは新たに言葉を増やし、新たに表現分けすることにします。

  1. 天才=ギフテッド
  2. 賢者=賢い人
  3. 英才=頭のいい人
  4. 秀才=勉強ができる人

(天才>> [越えられない壁] >賢者>英才>秀才)といった感覚が伝れば幸いです。まずは「要領のよさ」を習得することで「英才」に至り、英才からさらなる付加能力を伸ばして「賢者」に到達したいのが、本エントリの最終目的です。気が遠くなります。


「課題の本質」を見抜く能力
そもそも「要領がいい」とはどんな原理からくる代物でしょうか。ここからは、一人で問答を続けてみます。

前回のお話で、「要領がいい人」とは「普通の人が100パワー必要な課題を50パワーで解決する人」(数字に根拠はない)と述べました。普通の人よりコストパフォーマンスに優れる。普通の人より手抜きしても平気。それってつまり、課題の本質を見抜き、効率的な作業ができるということですよね。

それでは「課題の本質を見抜く」とは何か。それは、疑問を「分解」して、原因ごとに「分類」して、答えを「構築」することだと考えです。はい、ちょっと気難しい表現になったので整理します。

  • 分解 ... 解決すべき課題とは何か、どんな些細な問題も片っ端から拾い上げる
  • 分類 ... 多数の問題を種別ごとにグループ化して、一つ以上の原因を見つけ出す
  • 構築 ... 分類した原因ごとに対処を試みて、一つの解決策を示し、正解と照合する


「分解」「分類」「構築」プロセスの省略

とりわけ「複雑な課題」というものは、複数の「単純な問題」が数多に絡み合って形成されています。例えば、算数の問題を思い出してみてください。

花子さんが2000円のお小遣いで、140円のリンゴと60円のバナナをそれぞれ何個買ったら、お釣りがいくらになるか。ここで、消費税も加味したらどうか。途中でリンゴがバーゲンセールになり買い足したらどうか。帰り道に太郎くんから財布の中身の84%をカツアゲしたらどうか。花子さんは補導されたらどうか。

こんな調子で、一つ一つは単純な問題も、複雑に絡み合って「一つの課題」となるものです。これらを「分解」「分類」「構築」することこそが、課題の本質を見抜いて解決するということだと考えます。ですが、これではまだまだ効率が悪いですよね。

「要領がいい」とは、この「分解」「分類」「構築」プロセスを省略できるということでしょう。それは、持ち前の経験、勘、センス、積み重ねてきた知識によるもの。そういった類のスキルで、疑問を最小単位に分解しなくても原因が見えたりします。原因を分類した時点で対処法を知っていたりします。類似問題を応用して機転を利かせたりします。


「疑問」「思考」「解答」の三本柱

要領がいい人になるには、「分解」「分類」「構築」を省略できるようになること。ですが要領がいい方々は基礎力があるからそれを省略できるのです。オレたち素人は「分解」「分類」「構築」の基礎を修得することが先決です。

「分解」「分類」「構築」なんて気取ったフレーズは、そろそろ止めにします。分解とは「疑問」の能力。「分類」とは「思考」の能力。「構築」とは「解答」の能力。この三本柱が揃ってはじめて、『課題の本質を見抜く』スキルが向上します。

  • 疑問 ... 質問する力(課題から疑問を分解する)
  • 思考 ... 想像する力(疑問から原因を思考する)
  • 解答 ... 調査する力(原因から正解を探求する)

「課題」という曖昧な対象も止めましょう。例えば、「学校の講義」や「会社のプレゼン」などを耳にしたとしましょう。その内容に対して、どれだけの疑問を挙げられるか。どれだけの仮説を深掘りできるか。どこまでの事実確認をとるか。そのどれもをスマートにこなせる方は、よく訓練された『要領の良い人』です。


インテリ・トライアングル
「疑問」「思考」「解答」の三本柱は、トライアングル状の循環系を形作っています。三柱を順々にぐるぐる回して考えを巡らせると、『問題と正解とその理由』を正確に理解・記憶できるハズです。

普通、人間は己に興味・関心の深い物事ほど、対象を長期記憶しやすいです。なぜなら、好きな物事にはどんな些細な疑問も知りたくなるし、よくよく想像を膨らませるし、事実を確認するからです。しかも、そのプロセスを無意識化に繰り返します。より高みの疑問・思考・解答を得ようと、螺旋階段をぐるぐる昇るのです。

インテリ・トライアングルの循環系をトレースすれば、『好きな物事』を追跡するプロセスを擬似的に再現できます。そうすることで、「疑問」「思考」「解答」の三本柱は自ずと鍛え上げられます。つまりは、『課題解決を省略する基礎力』を身に付けるトレーニングになるのです!

…と、ここまですべて、SnowSwallowオリジナルの考えです。全部が考案レベルなので、まったく見当違いの内容かもしれません。だいたい、『インテリ・トライアングル』というセンスのない名前からし信憑性が希薄だ!


一柱が欠損しているケース
インテリ・トライアングル<の三柱のうち、一柱だけ能力が低かったり、欠損している方は、下のような症状を自覚されるかもしれません。いわゆる「勉強できる人」タイプに多いのが、このケースだと思います。もう一歩だけ踏み出せば「頭のいい人」になれるハズ。

  • 疑問の欠損 ... 暗記型。疑問を抱かないと知りたい力が芽生えない。
  • 思考の欠損 ... 没個性型。教科書の内容を真に受けてばかりで独創性がない。
  • 解答の欠損 ... 独り善がり型。真実とは異なる持論、誤った認識を正せない。

「要領のいい人」まであと一歩なので、ご自身に足りないと感じた能力を意識して、今後の課題解決に当たってみてください。


二柱が欠損しているケース
インテリ・トライアングル<の三柱のうち、二柱が欠損している方は、下のような症状を自覚されるかもしれません。ハッキリ言ってしまうと、世間体では嫌われるタイプの人間になっている可能性があります。

  • 疑問のみ ... 教えてくん。考えないし覚えない。一から十まで他人任せ。
  • 思考のみ ... 妄信家。他人の話を聞かないし、他人に意見を求めない。
  • 解答のみ ... カンニング人間。問題が出たら、とにかく解決すれば何でもいい。

もしも自覚症状があって、周囲との人付き合いを気にされている方は、これを機会にご自身の思考プロセスを見つめ直してみてはいかがでしょう。


三柱が揃っているケース
「疑問」「思考」「解答」の三本柱が揃うと、課題解決の要領がよくなり、『問題と正解とその理由』を素早く正確に取り出せます。それは新たな経験値となり、次回の課題はもっと素早く正確な課題解決が期待できます。これを繰り返すことで、周囲からは「手を抜いてるのに効率よく作業ができる人」と一目置かれたりします。

結局は努力の賜物なわけで、幼少の頃から『インテリ・トライアングル』のサイクルを身に付けていた人ほど、より効率よく物事を考えられる人間となるでしょう。…もちろん、個々の素質・環境を無視した話ですが。でもきっと、「頭のいい人」はそんな風にして完成するんじゃないかなあ…と考えました。

一方、『インテリ・トライアングル』の思考術は非常に面倒なのが現実です。これはもう一種の「考え方のクセ」として身に付けないと、なかなかできないことでしょうね。「楽」をしては「要領のよさ」は身に付きません。ですが、「要領がいい」と後々「楽」になるというジレンマ。

「要領のいい人」の作り方、その結論としては、子供の頃に『インテリ・トライアングル』で教養すれば「頭のいい子」ができそう。うわ、身も蓋もない…。


今回でひとまず、「要領のいい人」に関する話題はおしまいです。これをマスターすれば「頭のいい人」レベルには到達できるかもしれません。ですが、『ぼくのわたしの賢者学』はその先にある「賢い人」レベルを目指します。

次回は『賢い人』の共通点、「多芸性」について。