1799. 週刊少年ジャンプ15号

今週のアンケートハガキは2010年代の『WJ三大要素』を決めるようなお題で、時間をかけて検討したくなる内容です。この選択肢でひときわ存在感を放つのが健康。現実では誰もが当たり前に欲しがる「健康」だけど、WJヒーローほど「健康」が似合わない存在は見あたりません。

ヒロインが頻尿の危機に瀕しているので、有酸素運動で効率よく脂肪を燃やしながら駆けつけて、主人公『年齢のせいと思ったら大間違い、「おしっこが近い」に潜む意外な原因と、その改善ワザ! 分かっていただけましたでしょうか?』ヒロイン「ガッテン! ガッテン!!」(ドン)とやりだすわけです。肝心のバトルや恋が始まらない……。

今週のWJアンケートハガキ

恒例の、今週こそギャグマンガをヒイキしない「10ポイント配点投票方式」です。


作品 id:SnowSwallow id:iolite 合算
NARUTO -ナルト- 3 1 4
めだかボックス 2 1 3
暗殺教室 1 2 3
  新米婦警キルコさん 2 0 2
  ハイキュー!! 0 2 2
  トリコ 1 0 1
  HUNGRY JOKER 1 0 1
  黒子のバスケ 0 1 1
  食戟のソーマ 0 1 1
  BLEACH 0 1 1
  ONE PIECE 0 1 1

採点結果が12作品に分散する事態に。今週は突出したマンガがなく、平均的に面白かったってことかな。『恋するエジソン』は初落選&無得点でした。毎週短編を二話ひねり出すチャレンジ精神あってこその支持だったんですよねぇ……。

我が家がアンケートハガキでチョイスした言葉は以下の結果となりました。

  • 好きな言葉
    • 策略
    • 逆境
    • 誇り
  • 嫌いな言葉
    • 健康
    • 完璧

本当は『安定』『元気』『楽』『平和』『自由』『適当』『絶好調』あたりも嫌いですが、要するにジャンプ脳ってストイックすぎます。虚構の中じゃあ安定した健やかな生活とは無縁なの。少年は老後とか考えないの。

以下、本号でアンケート票を投じた作品を感想します。

* NARUTO -ナルト-岸本斉史) - 第623話「一望」

この過去話をサスケがどんな不満顔で聞いてんのか、ときどき画面右上にワイプを出してほしいです。

NHK大河ドラマで、子役が無茶な伏線を張りまくる第一回が大好きです。この過去編もそれと同じ匂いがするんですよ。成長した柱間とマダラは衝突し、一時代を築いて歴史から去る感じが大河チック。そんな二人の幼少期に芽生える友情と障害。誤解とすれ違いを繰り返して、裏切りや対立が加速して、ますます燃える展開を期待しちゃうなぁ。

で、この過去編、物語の運び方にも隙がないですよね。一見無駄かと思ったらフリだったり、本編の伏線回収だったり。岸本先生は巻末コメントや雑誌のインタビュー記事で「あと一年半くらい続く」と予告しながら、結局間延びしてて反省してましたけど、少なくともこの過去編は冗長さを感じません。大切に温めていたエピソードなんだろなー。

その勢いでもって、満を持してのイズナの登場でした。以前オビトはサスケに「イズナの万華鏡写輪眼(両目)がマダラに託された」とか説明してました。でもイズナの生死は曖昧なまま。イズナが軸に柱間とマダラの友情が引き裂かれてくのかな?

オレの解釈だと「うちは一族は根暗だけど良いヤツら」なので、イズナくん超良いヤツな気がしてます。んで、オレの解釈だと「うちは一族は説明を鵜呑みにするヤツら」なので、別の思惑(マダラの父ちゃんの、うちは一族や家族を愛する意思とか)がイズナの死(?)を利用して、マダラをうちはの軍門に引きずり戻したとか。

柱間とマダラの対立が「誤解きっかけ」だったなら、回想明けの現代で描かれるであろう「マダラVS柱間」リベンジマッチも盛り上がりそうです! だけど物語的には、柱間とマダラの再現者であるナルサスの仲直りが先にあって、その結束に重なるかたちで柱マダも矛を収めるのが自然でしょうか。

* めだかボックス西尾維新暁月あきら) - 第185箱「いちたすいちは」

残響って何か月でも留まれるんだ!? 五千年も生きての残響なら長く居残れる気もしてくるね。でもこんな設定が通るなら、オレだってお姉ちゃんをこの世に残響させたいんですよ。コタツでおせんべい食べながら雑談してくれるだけのお姉ちゃんでいいですから!(逆にぜいたく!)

いつか球磨川が勝利して吐くと思われた「また勝てなかった」の反対になるセリフ。これずーっと予想してたんですよ。西尾先生のセンスなら気の利いた言葉を用意してんだろなと思いきや、意外と直球勝負で肩すかしな感も……。けれど、めだか復活はこれ単品じゃ予定調和すぎたところを、球磨川勝利の掛け合わせて感動に繋いできましたよね。いやあ泣いちったよ。こういうトコは読者の先を狙えてるなぁと感じます。

新展開は「善吉のお父さん編」か「新入生編」を予想してます。善吉のお父さんは他所でこども作ってそう。だって善吉のお父さんでしょ、女子にモテるじゃないですか。そう考えるとほら、善吉と一歳違いの弟(妹)が箱庭学園に入学する展開しか考えられん!

父の刺客で弟(妹)が差し向けられるって定番の新展開だし。腹違いの兄弟バトルってジャンプ的だし。腹違いの兄妹なら背徳的だし。どう転んでもWJ読者に損はない展開。あと個人的には腹違いの義姉よりも、腹同じの実姉が残響でほしいです。

あとは、前エピの終わり際に、新エピの種蒔きをするのも常套手段ですもんね。異世界でも成長し続けためだかちゃんがメインだとインフレ一辺倒でダレますし。ここらで「善吉と旧生徒会」のパーティでも組んで、スペシャルとノーマルだけの新章を期待したいな。

* 暗殺教室松井優征) - 第34話「先攻の時間」

殺人野球っぽい先週の引きに反して、とっても健全なプレイでした。スポーツ大会で野球を題材にしたのは当初プロットの構想通りなのか。WBCで盛り上がってるから杉野くんきっかけでぶつけたのか。どっちにしろタイミングが合いすぎて怖い。

先週もでしたけどピッチャーの投球フォーム、いちいち見栄えしますよね。フォームの研究や腕・脚を長くスリムに描く以外にも、なにかしらの視覚効果で工夫を凝らしてそうです。松井先生の投球フォームはどうしてカッコいいのか? 解説サイトがあったら教えてほしいです!

殺監督のサインは最後の顔色でバンドorヒットの二択に見えるけど、他意はあるのかな? サインの意味は別として、松井先生ならトーンごとに顔色を決めてそうですよね。先週は色を補足してたけど、今週のサインに色説明がなかったのは既知の情報だからという狙いだったら怖い。松井先生は何でも狙ってそうで怖い。

...感想を一時中断...

「殺せんせー 顔色 トーン」とかでググるも見つからず。この恐怖感は杞憂だったか……。あるいはまだ「まとめ」がないだけで、アフィリエイトとかでひと稼ぎできる題材なのかもですねコレ。まとめるなら今がチャンス、早い者勝ちですよ!(解析班はよ!)

悪巧みなら殺せんせーより一枚上手の理事長。今回も理事長の後出しジャンケンですし、そもそもまだ一学期ですからE組の勝利は望み薄です。けどもし殺せんせーが理事長の介入を予期していたなら、一方的な敗戦にはならないかも。だからこそサインを出せる場所で待機してたとかならチョット熱い。それさえも理事長は見抜いてそうなんだけど、ここまでの「先の先の先」に迫り、E組生徒が殺せんせーの予定より一歩進んで活躍できたなら、負け戦でも理事長から一本取れる見込みはありそうです。

* トリコ(島袋光年) - グルメ225「覚醒!!」

アンケ以外からのプラスワン感想。『トリコ』もやっと感想できた!

今週の「精神的な痛み」みたく、ハッタリを交えて強さの理由を演出するところが『トリコ』のオリジナリティですよね。オートファジーシバリング・低酸素呼吸の類と違って今回のは精神論なんだけど、サニーの信念が痛みを克服したんだって伝わります。ここ最近、この手のハッタリ科学(≒エセ科学)が足りないたせいで、トリコを楽しめてなかったんだなと妙に納得しちゃいましたよ。

そんな理屈を欲しがる一方、虫の急所を攻撃したらなぜか爆発するのはナチュラルに読み流してました。ラングリッサーじゃないんだから。

サニーの髪が触手と化した! 確かに殺せんせーってグルメ界寄りの新生物ですね。この必殺技、今までとは格が違う感が漂ってます。他の四天王も、グルメ界で通用する新技を会得してる(か、今回の戦いで会得する)のかな? トリコも新技をお披露目してたけど、ネイルガンは発展途上の産物で、戦いの中でハッタリ科学を交えて完成させてきたら燃える展開だなー。

トミーロッドが察知した「グルメ細胞そのものが」に繋がる言葉は、グルメ界入りの条件なのかな。それはトミーロッド自身も目指している境地だから、自分が相手になると受けて立ったと解釈。「髪がグルメ細胞そのもの=グルメ細胞で髪を作り替えた」ってことでしょうか。ゼブラは声帯、トリコは嗅覚、ココは視力? トリコとココの五感的特徴はバトル向きじゃないから、毒とか筋肉とか分かりやすい改造になるのかもです。


東日本大震災被災者の皆さまへ、心よりおくやみとお見舞いを申しあげます。